経済的DV夫をボロクソに批判しても別れない妻|他人には言えない本当の理由
今回は「経済的DV夫をボロクソに批判しても別れない妻|他人には言えない本当の理由」について説明します。
私たちは初回の面談時「ドケチで、収入が低い、まともに働かない、そして自身の加害性を認めない」夫と夫婦再構築をしたいという妻に対しては離婚を勧めることがあります。
その理由は明確です。
収入自体は簡単に増えるものではなく、加害性を認めない夫と一緒にいても被害者にはデメリットしかないからです。
特に子どもがいる場合は、ご本人がすぐに就業できない状況であっても、生活保護を受給した方が様々な手当てが受けられて、明らかに離婚した方が生活水準が上がるケースも少なくありません。
このように説明しても「絶対に離婚はしたくない」と主張する妻が一定数います。
しかも、モラ夫に対しては文句や批判しかしていないにも関わらず、です。
この矛盾の背景には、人それぞれの理由があります。
多くの場合、自身の被害者体質を改善したいという理由で、リジェネの被害者体質改善講座を受講されます。
そして、3ヶ月間の受講を通して、離婚したくない本音を吐露したり、私たちが深掘りしていく中で初めて気づく事例もあるんです。
今回は、それらの事例をまとめました。
同じように経済的に困窮している状況でも離婚に踏み切れない、または離婚したくないと主張するモラハラ被害者妻の方に、参考にしていただければと思います。
※この記事は特定の個人ではなく、複数の支援経験から得た知見をまとめたものです。
もくじ
Aさんの事例
Aさんは40代、夫は一回り上の50代です。
お互い再婚のステップファミリーで、Aさんには前夫との間に20代の長男、長女がいます。
現在の夫との間には、小学生の次女がいます。
経済状況
夫婦共働きですが、子どもが幼いため、Aさんは時短パート勤務。夫は自営業で収入が安定せず。
財布は夫が握っており、取引先からいつお金が支払われるのかも不明で、通帳なども一切見せません。
支払い状況を確認しても不機嫌になるだけです。
そのため、電気、水道、Wi-Fiなどが突然止まることが定期的にあります。
何度もこうした事態が起きるため、夫は絶対に自分のしたい仕事しかしません。
ライフラインが止まっても夫は平気な顔をして家で暮らしています。
まともに働かず、消費者金融から借金をしているため、自己破産済。
さらに、知人やAさんの友人たちからも借金をして返さないため、Aさんの人間関係まで壊していっています。
人から貰うのみのテイカーで、人に対してはマウントを取るか嫌味しか言いません。
少し注意をすれば「お前らは全員、敵だ」と逆ギレし「そんなことばかり言われたら鬱になる」と何日も自分の部屋に引き篭もるという暴挙に出ます。
こんな性格なので、Aさんや親族、友人たち全員から嫌われており「あの人のどこが良いのか理解できない」と全員から離婚を勧められていますが、Aさんは頑なに離婚しません。
その理由を質問しても、支援開始当初は、はぐらかしたり、答えようとしませんでした。
Aさん自身のことを深掘りする質問をすると明らかに避けるような態度を取るので、関係性構築の目的で、それらの質問は一旦横に置きました。
3ヶ月目で見えてきた本音
支援が3ヶ月目に差しかかり、Aさんの前夫との離婚事由について改めて質問してみました。
前夫は年下で、高収入ではなかったものの、子どもにお金がかかるようになってからは長時間のWワークをするなど、家庭を運営するために必死で働くタイプ。
現在の夫とは真逆でした。
離婚した理由は、Aさんの現夫との不倫が要因でした。
前夫についての印象を聞くと「年下で頼りがない、育児に協力的ではなかった」とのこと。
その相談を現在の夫にしている内に不倫関係に至り、一回り年齢が上だということもあり、頼れると思ったそうです。
でも現状では、現在の夫は金も稼がず、育児もしない。
体裁上だけの家事のみは行い「パートに行って家事が出来ないから、俺が代わりにやってあげている」という当てつけのような態度を取られるので腹が立つと主張します。
前夫は服装も髪型もオシャレで、音楽的センス、ファッションセンスもあるが、現在の夫は服装や髪型にも無頓着で、服も全く買わないのも気持ち悪いと言います。
ですので、現在の夫のどこが良かったのかと質問すると、「高学歴なところ」と即答しました。
続け様に、長女も現夫と暮らすようになってから勉強が出来るようになって高学歴であると、自分のことのように私たちに自慢してきました。
Aさんは中卒であり、前夫は高卒です。
Aさんは集団生活が苦手なため、高校を中退たことで、自身の最終学歴が中卒であることに強烈な劣等感を抱いていたと気付かれました。
「この人生においての劣等感を克服する目的で、現在の夫を代替え手段として選んだ」「私、現在の夫は全く見た目がタイプじゃなかったけど、この人と一緒にいると、自分も上にいけると思って一緒になって、その勢いで子どもも作った」という気付きに繋がり、ご自身の自他境界線が曖昧であるという問題点に気付かれました。
それでも離婚しない理由
この潜在的な本音に気づいた今、働かないダメ夫と一緒にいるのか?という質問に対して
「子どもが何よりも大事だ」「私が稼いで働く」「稼げるようになった時点で離婚をする」と力強く語り、離婚を後ろ倒しにするという選択をされました。
Bさんの事例
Bさんは大卒、夫は年下で高学歴です。
元会社の先輩・後輩の関係で、Bさんが指導する立場でした。
現在は専業主婦で、子どもは中学生の長女、小学生の長男の2人です。
転勤による孤独と夫の変化
夫は大手商社に勤務しているため、定期的に転勤があり、全国各地を転々としています。
Bさんの地元からは程遠い地方ばかりに転勤になるため、誰も知らない土地で話し相手もおらず、親族や友人にも全く会えず、相談も出来ず、孤独でかなり病んでいました。
夫も転勤によるストレスと激務のため、結婚前は穏やかだったのに変わっていきました。
Bさんの買い物に対して、毎回「レシートを見せろ」と細かくチェックしてきたり、「無駄遣いばかりするな」と批判したり、体型が太ってきたことに対しても「専業主婦で時間があるんだから、ダイエットくらいしろよ」と批判するようになりました。
明らかに人格否定や経済的DVをするようになってきたため、最近は夫と一緒にいるのが苦痛で、極力一緒にいないようにしています。
それでも離婚しない2つの理由
このような状況でも絶対に別れる気はないと言い切ります。
その理由の一つ目は、自身が外に出て働きたくない、専業主婦でいたいからです。
2つ目が、義母への復讐心です。
義母から結婚当初に、Bさんの学歴について「偏差値が低い」「うちの家系には、そんな低学歴な人は一人もいない」「子どもへの影響が心配だ」などと人格否定レベルの暴言を吐かれました。
そのため、義母が絶対に許せず、長女を東大に入れて、義母に一泡吹かせたい。
この復讐を果たすためにも、絶対に離婚はしない。
転勤で友人と会えなくて辛くても離婚は考えたことはなかったと強く仰りました。
教育的虐待の懸念
ただ、一つ心配なのは、長女を義母への復讐の道具に使うことです。
これは明らかに価値観の押し付けであり、教育的虐待の傾向にあることから、まずは何よりも長女の意思を確認することをお伝えしました。
その後、長女については、勉強することに対しては嫌いではないものの、そのご褒美として、定期的に買い物やライブなどに連れて行ってほしいと言われました。
夫は長女のことは溺愛しているためお金を出すようになり、Bさんと長女とで出かける機会が増え、ストレスは軽減してきたそうです。
こちらのケースでは、離婚をせずにストレス要因を減らし、夫との距離を離すという選択をされました。
Cさんの事例
次は、モラハラ妻から経済的DVなどのモラハラを受けているケースです。
Cさん夫婦は共に30代、子どもは上は高校生から下は3歳まで、6人とのこと。
妻は専業主婦で、Cさんは毎日深夜まで残業をして家計を支えています。
ただ、子どもの習い事の費用が月に30万円かかり、生活がギリギリです。
妻からは「もっと稼げ、副業しろ」「私に迷惑ばかりかけるな」「甲斐性なしの役立たず」「勉強しないとパパみたいなダメ人間になる」などと、口を開けば暴言を吐かれ「寝ずに働けよクズが」などと言われます。
この習い事の方針は妻が一方的に決めたことで、夫からは「これ以上は働けないから、収入にあった習い事を習わせたらどうか」と提案したものの「うるさい、黙れ」「ただのATMの分際で生意気な口を利くな」「お前は黙って家に金だけを入れろ」と門前払いを食らったため、言っても無駄だと思い何も言わなくなったそうです。
妻からのモラハラ行為
妻からのモラハラは、それだけに留まりません。
スマホを持つと浮気をするとの理由から、通話のみできる機種しか持たせてくれません。
ちなみに夫は浮気をしたことは一度もないのですが、金を持つと浮気をするとの理由から、ジュース1本も買えません。
会社から支給されている交通費も定期の購入に使わせてくれず、バスにも乗れず、歩いて行けと言われます。
ショッピングモールで、当たりそうになった女性を避けるために見ただけなのに妻からは「浮気だ」とブチギレられることは日常的にあるそうです。
慢性的な過労のため、ゴミ出しや洗い物などが遅れたり滞ると容赦なくブチギレられ「お前みたいな役立たずは、この家から出ていけ」と締め出され、家に入れて貰えません。
真夏や真冬でも、玄関前や車中で夜を明かしたことは一度や二度ではないとのこと。
毎月の生活費の不足分を両親から借りており、200万円以上借りています。
モラハラ被害の状況も悪化しているため、両親からは離婚を検討するように言われています。
それでも別れない理由
このような重度な経済的DVとモラハラ被害を訴えてきたため、私たちは離婚を検討していないのか?と質問したところ、Cさんからは「特に考えたことはない」「別れる気はない」と即答しました。
「子どものためを思ってなのか?」と確認しましたが、明確な答えはありませんでした。
私は、慢性的な疲労と日常的なモラハラによるカサンドラ症候群のような状況のために、正常な判断ができていない状態と思い、精神科への通院を促しましたが、Cさんは費用がかかるとの理由で通院はしませんでした。
Cさんの傾向として、妻が雄弁で一方的に捲し立てて話すため、元から言語化も得意ではないのですが、萎縮して黙ってしまうそうです。
そのため、妻からは「気持ちが悪い」「生理的に無理」「私に近寄るな、触れるな」などとも日常的に言われています。
支援3ヶ月目の衝撃的な告白
ただ、支援開始から3ヶ月が経過したある日、耳を疑う発言がありました。
突然、Cさんから妻が妊娠したので、また費用がかかると吐露されたんです。
経済的に困窮しているにも関わらず、また妻から生理的に無理などと拒絶されていると言っていたにも関わらず、なぜ性交渉に至ったのか、なぜ子どもを作ったのか理解できないと質問したところ、Cさんは「妻とは体の相性が良い」と吐露しました。
ただ、今後も「日常的な暴言や経済的DV、理不尽な人格否定などの酷い仕打ちを受け続けてまで共存するのか?」と質問したところ、驚くべき回答が返ってきました。
「私、妻から怒鳴られたり、罵られるのが嫌じゃないんですよね」「寧ろ、興奮してしまうんです」「だから一緒に居れるんでしょうね」と淡々と吐露されました。
続けて「母親もいわゆる毒親で、ずっと怒っていた」「妻は、母よりも強いが、それは悪いと思っていない」「だから、子どもが6人もできたんだと思う」と吐露しました。
そのような性癖があり、離婚はしないにしても、現実的には、これ以上働くのは不可能だし、Cさんの体が壊れて倒れるしかないと告げましたが「その時は、その時です」と覚悟が決まったと仰られました。
このケースは相手の変わらなさを再確認し、自身を深堀してどこまで受容できるかを把握し離婚をしないという選択をされました。
性的嗜好が絡むと、経済的な破綻が目前でも離婚という選択肢を取れないことがあります。
支援者としては、本人が限界を迎える前に何とかしたいと思うのですが、本人に変わる意思がない限り、介入は難しいのが現実です。
また、我々としてもモヤモヤが残るようなものであっても、価値観や選択は当人の物で正解などありません。
我々のできるのは、選択肢の提示のみです。
Dさんの事例
共に40代の夫婦で、子どもは小学生の長女と未就学児の長男です。
共働きで、妻の方が夫よりも収入があります。
夫は長女は溺愛している一方で、長男への風当たりが強い。
夫は子どもよりも自分を最優先しろというタイプで、まだ幼い長男が妻に甘えることに、明らかに嫉妬からの怒りと思えます。
妻に対しても、子どもたちが夫の勝手なマイルール通りの行動をしないと、「お前の教育が悪い、躾が出来ていない」と怒り、不機嫌になります。
長男への怒鳴りが許せない
妻としては、自分へのモラハラは、まだ我慢できるものの、長男に対して怒鳴ることが何よりも許せず、長男は明らかに父に怯えているため、怒鳴ることを止めさせたいとのこと。
夫は育児にも家事にも非協力的で、家庭のことは妻がすべきという典型的な昭和の価値観を持っています。
妻もフルタイムで働いており、夫よりも収入があり、生活費も夫に言われた通りに入れているため、理不尽だと思っているそうです。
このような夫の態度から、夫への愛情はとっくの昔に無くなっており、関係性は冷め切っていると言い切ったため、改めて、夫との離婚は検討しないのか?と質問したところ「離婚は考えたい」「離婚した位だ」「離婚してやると言った」など、日々の感情のブレが大きくありました。
離婚をする理由もしない理由も明言しなかったため、支援を継続しながら様子を見ることにしました。
4ヶ月目で明かされた本音
ただ、夫からの日常的な不機嫌や長男への風当たりは強くなるばかりで、4ヶ月ほど経過した時点で、再度質問しました。
この状況で、なぜ離婚をしないのか?
収入があるのだから、Dさんが子どもを引き取り、この状況を改善する方が母子共に良いのではないか?
もしくは夫に加害者更生講座を受講させるなどして、夫の加害性を改善しないと、息子が可哀想では?と。
すると、Dさんから驚くべき回答がありました。
Dさん夫婦は度々トラブルがあり、以前はDさんが夫に対して離婚を突きつけたことがあったそうです。
その際に、夫が人が変わったかのように急に優しくなり、Dさんのことを全く否定せず、まるでお姫様のように大事に丁寧に扱ってくれたとのこと。
ただ、夫は自身の加害性自体とは向き合っておらず、いわゆる無理をして良い夫を演じている状態だったため、その期間も長続きはせず、また元の夫に戻り、最近はどんどんモラハラがエスカレートしてしまったそうです。
でも、Dさんとしては、その体験が忘れられず、再度「夫に、あの時のように私だけを見て欲しい」「私をお姫様のように大事に扱ってくれることを、心の片隅でずっと望んでいる」とのこと。
矛盾する本音
ただ、Dさんは当初「自分自身はモラハラをされても良いが、息子に対して怒鳴る行為は絶対に許せないし、絶対に止めさせたい」と言っていたため、矛盾点があると指摘しました。
すると「最悪、息子に怒鳴るのは構わないから、私にだけ優しくしてくれたら、それが何よりも嬉しい」という本音を吐露しました。
その告白をしたことで自身の心のポジションが定まったようで、ちゃんと素直に仲良くしたいと伝えて再構築するという選択をされました。
最終的にはパートナーも受講をし、自身の加害性と向き合ってくれて、息子への風当たりの要因も自覚することで、徐々に家庭内の緊張感は和らいでいきました。
【この記事を書いた人】
経験と専門性
- 夫婦でモラハラの問題を克服した専門家
- ASD・ADHDの混合型診断済み
- モラハラ加害者としての更生を実現
- 週刊文春オンラインでの3記事の連載で加害者心理と更生過程を完全公開
臨床経験(2010年〜)
カウンセラーとして幅広い支援経験
- 公的機関での生活保護・生活困窮者自立支援
- 福祉施設での精神疾患・発達障害者支援
- うつ病の方の復職支援
- 元受刑者・薬物依存者への更生支援
- ひとり親・DV被害者相談
- 企業内パワハラ相談
- 自助グループ・セミナー開催
メディア掲載実績
新聞・雑誌掲載
- 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
- 産経新聞(2021年9月)
- 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
- 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
- ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)
テレビ・ラジオ出演
- NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
- KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)
全国12媒体でモラハラ解決の専門家として紹介
モラハラの問題で苦しんでおられる方々の少しでも力になりたいと思っています。
まとめ
このように人間というのは、本心があってもなかなか言わないものです。
自分自身でも気づいておらず、専門家に質問されて初めて気づくことが多々あります。
今回紹介した事例のように、経済的に困窮していても、周囲から離婚を勧められても「絶対に離婚したくない」と主張する妻たちには、それぞれ誰にも言えない本音が隠れています。
- 中卒という学歴コンプレックスを埋めるため
- 義母への復讐を果たすため
- 性的に興奮するため
- 夫から再び愛されたいという願望のため
これらの本音は、表面的な「お金がないから離婚できない」という理由の裏に隠れています。
私たちは、こうした本音に気づかないまま「離婚した方が良い」と一方的に助言することはしません。
なぜなら、本人が本当の理由に気づかない限り、どんなアドバイスも届かないからです。
もし、あなたが経済的に困窮していても離婚に踏み切れないのであれば、一度立ち止まって考えてみてください。
- 本当の理由は何ですか?
- その理由は、あなたや子どもの幸せよりも大切なものですか?
一人で答えを出すのが難しいと感じているなら、一人で抱え込まず、ぜひ私たちにお話を聴かせてください。
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小さな一歩が、大きな変化を生むこともあります。
あなたが少しでも穏やかな毎日を取り戻せるよう、心から願っています。
モラハラで苦しんでいるあなたへ
私たち夫婦も、かつては離婚寸前まで追い込まれました。
しかし諦めずに夫婦で協力し、モラハラの問題と真正面から向き合い、解決することができました。
現在は幸せに暮らしています。
すぐに離婚だと諦めないでください。解決への道は必ずあります。
私たちがどのようにして危機を乗り越えたのか、被害者妻と加害者夫の両方の目線でリアルに書いています。


