モラハラとは?加害者の特徴と解決策を詳しく解説
この記事では、モラハラ全般、モラハラ加害者や被害者の特徴、または、モラハラ問題の解決法を、モラハラ解決専門家であるリジェネの視点で解説していきます。
また、私たち夫婦も新婚時には、モラハラ加害者とモラハラ被害者に結果的になってしまい、妻を傷つけてしまいましたが、妻の協力の元、夫婦でモラハラを乗り越えて今の幸せがあります。
モラハラ加害者だった僕が、どうやって自身の加害性を克服したのか、また、モラハラ被害者になってしまった妻が、どうやって被害者体質を克服したのかなども説明していきます。
この記事でわかること
- モラハラの解決法について
- モラハラ加害者・被害者の特徴
- モラハラでの様々な影響についての対処法
もくじ
- モラハラとは
- モラハラの4タイプ
- 言葉の暴力型
- 不機嫌まき散らし型
- 経済的支配型
- 悪意の支配型
- モラハラ加害者の特徴
- モラハラ被害者の特徴
- モラハラ被害者に多いカサンドラ症候群とは
- モラハラが起こる仕組み
- モラハラで離婚はできるのか?
- モラハラで逮捕はされるのか?
- モラハラ加害者がストーカー化するケースと対処法
- モラハラが子どもに与える影響
- モラハラは自己愛性なの?
- ASDとは
- ADHDとは
- 自己愛性パーソナリティ障害とは
- モラハラへの対処法
- DV・児童虐待・依存症・離婚相談の支援機関一覧
- まとめ
モラハラとは
モラハラとは、精神的な暴力のことで、言葉や態度によって特定の誰かを傷つける「嫌がらせ」の行為を指します。
1990年代にフランスの精神科医マリー=フランス・イルゴイエンヌによって提唱された概念で、相手の尊厳を損なう行為を意味します。
身体的な暴力を伴わないため、周囲から気づかれにくく、被害者はじわじわと精神的に追い詰められ、深いダメージを負うことが多い特徴があります。
代表的なモラハラ行為
- 侮辱的な発言や批判
- 無視や冷淡な態度
- わざとらしく物音を立てる
- 不機嫌をあらわにして威圧する
- 経済的DVや教育的虐待
モラハラは、特に夫婦間などの閉鎖的な関係で起こりやすく、加害者は外部では評価が高いため、問題の理解や解決が難しいとされています。
2024年4月からはDV防止法に該当するようになり、社会的な認識も徐々に変化しています。
モラハラは、従来は加害者を自己愛性パーソナリティ障害と単純化していましたが、現在では複合的な要因が背景にあることが認識されています。
発達障害、うつ病、境界性パーソナリティ障害、ストレスなどが関係し、多くの場合、加害者自身は無自覚で、必ずしも悪意があるわけではありません。
問題解決には、これらの複合的な要因を理解し、単純な加害者非難ではなく、加害者自身が自身の加害性と向き合うことやコミュニケーションの改善が重要となります。
モラハラの4タイプ
言葉の暴力型
言葉による人格否定や怒鳴るなど、典型的なモラハラの事例です。
例えば、妻がミスをした際に「バカ」「クズ」などと侮辱し、ミスそのものではなく「お前はダメだ」と人格を攻撃する発言が該当します。
また「お前は何をやっても駄目だ」「生活できているのは俺のおかげだ」と繰り返し言うことで、妻が自信を失い、夫に逆らえなくなるケースもあります。
以下のような行為もモラハラに該当します。
モラハラの事例
- 相手を見下す態度をとる
- 身体的特徴や障害を揶揄・嘲笑する
- 出自や国籍を差別的に扱う
- 信仰・政治的信条・性的指向を否定する
- スマホの無断チェックや外出の制限など、監視や束縛を行う
- 相手の体調や気持ちを無視し、性的行為を強要する
モラハラ夫の暴言の事例
- 「お前、そんなこともできないの?」
- 「本当バカだよな」
- 「お前の頭が悪いのは親のせいだな」
- 「娘が勉強が出来ないのはお前の血筋のせいだ」
- 「少しは痩せようと思わないの?」
- 「誰のおかげで飯を食えていると思っているんだ?」
- 「女のくせに出しゃばるな」
- 「専業主婦はいいよな、何もせずにダラダラ生活できて」
- 何を言っても「うるさい、黙れ」と怒鳴る
モラハラ妻の暴言の事例
- 「私に偉そうな口を聞くなよ」
- 「男のくせに弱音ばかり吐くな、情けない」
- 「男は黙って仕事だけしろ。それができないなら夫失格」
- 「あなたの母親は人の気持ちがわからないバカだ。だから娘には絶対に会わせない」
- 「男は家族に良い暮らしをさせるのが当たり前。一々、文句を言うな」
- 「男のくせに!女の腐ったようなやつだ」
このような発言は、相手の人格や存在を否定し、精神的に追い詰める行為にあたります。
不機嫌まき散らし型
例えば、
こんなことはありませんか?
- 突然、黙り込んで話さなくなる
- 話しかけても無視をされる
- 何も言わずに睨んでくる
- 大きなため息をついたり舌打ちをする
- 聞こえるように小言や批判を言う
- ドアを激しく閉める
- テーブルを叩く
- 物を投げる
これらに一つでも該当するなら、あなたの夫の行動は不機嫌ハラスメント、または、サイレントモラハラに該当する可能性が高いです。
夫婦喧嘩における一時的な無視と、モラハラ的な無視には根本的な違いがあります。
通常の夫婦喧嘩では一時的に互いを無視することがありますが、モラハラにおける無視は、一方的で長期にわたり、計画的かつ意図的な性質を持ちます。
夫は気分次第で突然無視し、その理由は不明確なまま、無視の期間が2週間にも及ぶことがあります。
モラハラの無視の特徴
- 無視の理由が曖昧で説明できない
- 無視の期間が異常に長い
- 相手をコントロールする明確な意図
- 無視に関する話題に触れると、さらに不機嫌になる
一般的な夫婦喧嘩では、後日、互いに不機嫌になった理由を話し合い、理解を深めることができます。
一方、モラハラのケースでは建設的な対話が困難で、無視は相手を精神的に追い詰める手段となります。
不機嫌ハラスメントは、舌打ちや乱暴なドア閉め、大きな物音など、相手に不快感や恐怖を与える行動が特徴的です。
例えば、夫は妻の意に沿わないとテーブルを叩いたり、テレビのリモコンを投げたりします。
直接的な暴力こそありませんが、これらの行為は妻に深刻な精神的苦痛を与えます。
モラハラにおける無視は、単なる感情的反応ではなく、相手への心理的支配と制御を目的とした意図的な精神的暴力の一形態と言えるでしょう。
不機嫌ハラスメントについて詳しく知りたい方は「夫が不機嫌な理由と対処法」の記事を参考にしてください。
経済的支配型
これらは経済的DVに該当します。
経済的DVとは、最低限度の生活費しか渡さず、パートナーの金銭的な自由を奪い、精神的に追い詰める行為を指します。
通常のDVのように目に見える暴力ではなく、モラハラと同様に被害に気づきにくいのが特徴です。
収入や生活費は家庭によって異なるため、他の家庭と比較しづらく、被害を認識できないケースが多く存在します。
経済的DVの具体的な事例
- 最低限の生活費しか渡さない
- 外で働かせてくれない
- お金の使い道を厳しく管理される
- 給与明細書や預金通帳を見せてくれない
- 働いた給与を没収される
- 配偶者が浪費やギャンブルで借金をする
「俺が稼いだ金だろ?」「俺が自由に使って何が悪いんだ」とキレる行為や、自由に使えるお金がないのに「やりくりが下手だ」と責め立てる状況は、明らかな経済的暴力に該当します。
子どもの病院代、新学期の準備費用、車検などの予想外の出費も認めず、スタバに行っただけで家族カードを没収するといった行為も見られます。
より深刻なケースとして「性行為と引き換えに生活費を渡す」といった性的DVにも該当する行為も存在します。
判断基準として、夫に収入があるにもかかわらず十分な生活費を渡さず、生活に支障が出ている場合は経済的DVと見なされます。
貯金を切り崩したり、実家から借金せざるを得ない状況も、その可能性が高いと言えます。
経済的DVについて詳しく知りたい方は「モラハラ夫に多い経済的DVとは」の記事を参考にしてください。
悪意の支配型
このタイプのモラハラ加害者は、ガスライティングと呼ばれる手法を用います。
「お前はおかしい」「被害妄想だ」などと繰り返し相手に浴びせ、自己不信に陥らせた上で支配しようとする心理操作の一種です。
通常のモラハラが衝動的な怒りや支配欲に基づくのに対し、ガスライティングは「相手に虐待だと気づかせない形で」計画的に行われます。
そのため、被害者は自覚しにくく、長期間にわたって苦しめられることが多いのです。
ガスライティングの加害者は、冷静かつ計画的に行動し、自身の感情を完全にコントロールし、罪悪感を抱きません。
単なる自己愛性パーソナリティ障害ではなく、反社会性パーソナリティ障害に近い特性を持つ可能性が高いと考えられます。
これは、知能の高い犯罪者、例えば「地面師」と呼ばれる詐欺師と類似する行動パターンです。
IQが高いからといって、誰もがガスライティングを行えるわけではありません。
近年、この手の相談は増えていますが、重要なのは「加害者には愛情がなく、目的は相手を破滅させること」という点です。
そのため、基本的には離婚を検討することをおすすめします。
ガスライティングの事例
- 記憶力が悪いと洗脳する
- ミスが多いと洗脳する
- 受け取り方が過剰だと洗脳する
- 周囲の人たちに反感を持つように仕向ける
- 周りから嫌われていると思い込ませる
ガスライティングについて詳しく知りたい方は「ガスライティングの特徴と対処法」の記事を参考にしてください。
モラハラ加害者の特徴
モラハラ加害者の特徴
- 自分は特別で優れた存在だと思い込み、他者を見下す
- 自己中心的で他責体質、自分の非を認めない
- 賞賛や感謝を強く求めるが、他者への共感性は無い
- 外面は良好だが、家庭内では支配的で攻撃的
- 失敗や批判を恐れ、責任転嫁やごまかしをする
- 相手の行動を監視・制限し、強い嫉妬心を示す
- 目的達成のためなら手段を選ばず、他者を利用する
- 社会的地位や権力への強い執着がある
- 自分の立場が脅かされると仕返しや報復行動をとる
モラハラ被害者の特徴
モラハラ被害者の特徴
- 自己主張が苦手で、他者を優先する傾向が強い
- 人から嫌われることを恐れ、対立や言い争いを避ける
- 周囲への配慮が過度で、空気を読むことに長けている
- 素直で人の言葉を信じやすい
- 責任感が強く、問題が起きると自分を責める
- 真面目で几帳面、規則や秩序を重んじる
- 自己評価が低く、過度に謙虚
- 毒親のもとでの成育歴やヤングケアラーの経験を持つことが多い
- 家族や周囲の人々への貢献欲求が強い
- 自責の念や罪悪感を抱きやすい
モラハラ被害者に多いカサンドラ症候群とは
カサンドラ症候群とは、パートナーがASD(自閉スペクトラム症・アスペルガー症候群)で共感能力が低く、情緒的なコミュニケーションが取れないことによるストレスで、心身の不調をきたす状態を指します。
広義では、発達障害の有無に関わらず、パートナーとの情緒的なコミュニケーションの断絶によるストレスが原因で心身に影響が出る場合にも使われます。
なお、精神疾患や病名ではありません。
慢性的なストレスにより、怒りの感情が抑えられなくなることがあります。
その背景には「誰にも理解されない」という悲しさや虚しさといった一次感情の蓄積があると考えられます。
また、カサンドラ症候群に陥る人の多くは、モラハラ被害者体質を持っています。
特に、幼少期に家事や育児を強いられたヤングケアラーや、親の精神的ケアを担わされた人に多く見られます。
甘えたい時期に甘えられず、自己抑圧が身についてしまうのです。
母親が精神疾患やアルコール依存症の場合、親子の立場が逆転し、感情のケアを求められることが多くなります。
その結果、大人になっても我慢しすぎる傾向が強まり、限界を超えても頑張り続け、やがて心身ともに壊れてしまうのです。
カサンドラ症候群について詳しく知りたい方は「カサンドラ症候群とは」の記事を参考にしてください。
モラハラが起こる仕組み
モラハラが起こる仕組みとしては、加害者と被害者の持つ体質が大きく影響しています。
加害者は他責体質であり、自分の非を認めず責任を相手に押し付ける傾向があります。
一方、被害者は自責体質であり、物事がうまくいかないと「自分に原因があるのではないか」と考えがちです。
この関係性の中で、加害者が「お前が全部悪い」「お前が俺を怒らせる」と強く責めると、被害者は「私が悪いのかもしれない」と思い込み、自分を責めてしまいます。
さらに、加害者から人格否定や理不尽な発言を一方的に浴びせられても「お前が悪い、謝れ!」と言われると、その場を収めるために謝ってしまいます。
この行動によって加害者は「自分は正しい」と思い込み、モラハラが継続してしまうのです。
このような被害者の謝罪行動は、多くの場合、幼少期からの経験に起因します。
例えば、毒母に「お前が悪い」「謝れ」「この家から出ていけ」とヒステリックに怒鳴られる経験をしていた場合、子どもは「親に見捨てられたら生きていけない」という不安を抱えます。
その結果、自己防衛の手段として謝ることを身につけ、それが大人になっても続いてしまうのです。
このように、加害者の責任転嫁と被害者の自責傾向がかみ合うことで、モラハラが継続しやすい関係が生まれてしまいます。
モラハラで離婚はできるのか?
「モラハラでは離婚できない」「無理だから我慢するしかない」という誤情報が広がっていますが、これは事実ではありません。
私たちリジェネのプログラムは基本的に加害者のモラハラ改善を目指しますが、「モンスター級」の加害者の場合は、被害拡大を防ぐため離婚を勧めています。
離婚には協議離婚、調停離婚、裁判離婚の3種類があります。
モラハラが原因の場合、加害者が離婚に応じず裁判に発展することも少なくありません。
法律上、民法770条1項5号の「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき」に該当するかが争点となります。
2024年4月からモラハラ(精神的虐待)もDV防止法に組み込まれ、モラハラを理由とした離婚が認められるケースは増えています。
ただし、離婚には「証拠」が不可欠です。
モラハラの証拠として基本となる日記やメモは、被害者の主観による記録であり、単独では証拠として弱いケースがあります。
最も効果的な証拠は以下の2つです
- 加害者からの精神的DVや暴言の録音・録画データ
- LINEなどのデジタル記録
これらの証拠は、モラハラが長期間にわたり繰り返されていたことを示す重要な材料です。
取得に相手の同意は不要で、裁判所でも適切な証拠として扱われます。
また、別居後の執拗な着信やメッセージも問題行動の証拠となるため、記録しておくべきです。
専門機関へのモラハラ相談歴も有効な証拠になります。
ただし、これらの証拠には人格否定や暴言が含まれるため、読み返すことで精神的負担や複雑性PTSDの症状が生じる可能性があります。
その場合は、クラウドに保管したり、信頼できる親族や友人に預けるなどの対策をお勧めします。
モラハラでの離婚について詳しく知りたい方は「モラハラで離婚はできるのか?」の記事を参考にしてください。
モラハラで逮捕はされるのか?
例えば、夫婦間の喧嘩でも、暴力を振るって怪我をさせた場合は傷害罪、怪我がない場合は暴行罪が適用されます。
これは物を投げつける行為も同様です。
また、直接的な暴力ではなく、あなたのスマホやパソコンを壊すなどの行為は器物損壊罪に該当します。
その際「殺すぞ」「しばくぞ」などの発言があれば脅迫罪も適用されます。
このように物を壊して威圧感を与える行為は精神的DVであり、身の危険を感じた場合は警察への通報をお勧めします。
暴行罪とは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、拘留または科料の罰則が科せられます。
(刑法第208条)
傷害罪とは、15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。
逮捕後に勾留された場合は最長で23日間拘束されることがあります。
(刑法第204条)
脅迫罪とは、本人や親族の生命、身体、自由、名誉、または財産に対する害悪を告知して脅迫する行為です。
脅迫罪が成立するには、「脅迫罪の対象者」に対して「害悪の告知をすること」がポイントとなります。
害悪の告知とは、本人や親族の生命、身体、自由、名誉、または財産に害を与えることを告げる行為を指します。
(刑法第222条)
モラハラで逮捕されるのかについて詳しく知りたい方は「モラハラで逮捕されることはあるのか」の記事を参考にしてください。
モラハラ加害者がストーカー化するケースと対処法
モラハラ加害者との別居中や離婚後に、加害者がストーカー化するケースが増えています。
ストーカー行為への法的対応
- 警察への被害届提出により、警告や禁止命令が発令されます。
- ただし、すぐに逮捕されるわけではなく、警告や禁止命令後もつきまといを続けた場合に逮捕されることがあります。
- 禁止命令違反や被害者が「厳重に処罰してほしい」と告訴した場合は、刑事事件として捜査が開始されることがあります。
- 住居侵入、窃盗、器物破損、傷害などの犯罪が伴う場合は、刑法の適用により逮捕される可能性があります。
罰則規定
- ストーカー行為:1年以下の懲役または100万円以下の罰金
- 禁止命令違反でのストーカー行為:2年以下の懲役または200万円以下の罰金
- その他の禁止命令違反:6ヶ月以下の懲役または50万円以下の罰金
警察は証拠をもとに法的対処を行うため、証拠をできるだけ集めてから相談することが重要です。
証拠不十分の場合、警告や禁止命令の発令ではなく、パトロールの強化など軽度の対応にとどまることがあります。
有効な証拠
- 画像・動画・音声によるストーカー行為の記録
- 手紙・貼り紙・送付物などの直接的な接触証拠
- 着信履歴・メール・LINEの記録
- ストーカーの身元情報
- ストーカー行為の時系列記録
- 精神的・身体的影響を示す診断書
証拠が多いほど、被害届の受理率が上がり、裁判での立証や慰謝料請求にも有利になります。
早めの証拠収集と専門機関への相談をお勧めします。
モラハラ夫がストーカー化したケースについて詳しく知りたい方は「モラハラ加害者が離婚後にストーカー化した場合の対処法」の記事を参考にしてください。
モラハラが子どもに与える影響
父親から母親へのモラハラや、不機嫌な態度、物に当たる、ドアを激しく閉めるなどのフキハラは、たとえ子どもへの直接的な暴力がなくても、家庭内に常に緊張感をもたらします。
モラハラ加害者は気に入らないことがあると突然不機嫌になるため、子どもは父親の機嫌を伺いながらの生活を強いられます。
大人と違い、子どもの生活環境は主に家庭と学校に限られており、ストレスを発散する機会が少ないのが特徴です。
その結果、家庭の不安定さから生じる恐怖や緊張により心のエネルギーが低下し、うつ状態に陥りやすくなります。
子どもへの直接的なモラハラには、暴言や怒鳴りつける行為に加え、教育的虐待も含まれます。
例えば、幼稚園児に掛け算や割り算を強要し、できないと「なぜできないんだ?俺は幼稚園の頃には普通にできていた」と責め立てるケースがあります。
問題が解けるまで寝かせず、泣くと「説教部屋」に連れて行き、正座を強要し、親が納得するまで反省の言葉を言わせることも少なくありません。
特に過干渉タイプの親は、これらの行為に罪悪感を持たず、むしろ自分を献身的な親だと信じていることがあります。
このような環境で育った子どもは「自分には味方がいない」「誰も自分を理解してくれない」という空虚感を抱きやすく、大人になった後も他人を信頼しにくいといった問題を抱えることがあります。
また、十分な愛情を受けられなかった場合、境界性パーソナリティ障害や愛着障害の発症リスクが高まり、不登校や無気力、摂食障害、リストカットなど、さまざまなメンタルヘルスの問題を引き起こす可能性があります。
深刻なケースでは、教育虐待が極端に進み、子どもが親を殺害するような重大事件に発展することもあります。
教育虐待について詳しく知りたい方は「妻と娘に教育虐待を行っていたモラハラ夫が改心するまで」の記事を参考にしてください。
モラハラは自己愛性なの?
従来、モラハラは自己愛性パーソナリティ障害と単純化されていましたが、現在では複合的な要因が認識されています。
発達障害(ASD・ADHD)、うつ病、躁うつ病、更年期障害、アルコール依存症、境界性パーソナリティ障害、仕事でのストレスなど、多様な背景があり、多くの場合、加害者は無自覚です。
特に発達障害傾向のある方が多く「悪意を持って暴言を吐く」というよりも「怒りの感情をコントロールできない」ケースがほとんどです。
高学歴でも同様の傾向が見られ、頭脳明晰であっても感情コントロールは別問題です。
発達障害は生まれつきの脳の特性であり、病気ではありません。
思考や行動パターンに独自の特徴が現れ、定型発達の人でも経験する注意力の散漫さやストレスによるイライラが、より極端に表れる状態と解釈できます。
発達障害は知的障害とも異なり、診断には IQ が70以上である必要があります。
特に ASD(アスペルガー症候群)の方には高い IQ(120以上)を持つ人も多く、大企業の経営者や専門職、教授、研究者として成功を収めています。
イーロン・マスク、ビル・ゲイツ(ASD)、勝間和代、黒柳徹子(ADHD)、米津玄師、楽天の三木谷社長(ASD)などが公表しています。
2020年の厚生労働省発表では、発達障害と診断された人は全国で約48万人、潜在的には800万人とされています。
一方、自己愛性パーソナリティ障害と境界性パーソナリティ障害の有病率は、診断に基づかない不確実な統計で1%未満とされています。
10年以上の公的機関での面談経験からも、自覚のない発達障害やグレーゾーンの方が大多数を占め、感情処理やコミュニケーションが苦手な傾向が見られました。
そのため「モラハラ=自己愛性で治らない」「モラハラ=離婚」という考えに固執せず、発達障害やその他の要因への理解を深めることで、適切な対応が可能になります。
諦めることなく、希望を持って取り組んでいただきたいと思います。
モラハラ=自己愛性ではないについて詳しく知りたい方は「モラハラ=自己愛性パーソナリティ障害ではありません」の記事を参考にしてください。
ASDとは
ASD(自閉スペクトラム症)は、自閉症・高機能自閉症・アスペルガー症候群を含む発達障害の総称で、国際的な診断基準であるDSM-5によって診断されます。
発達障害のASDとADHDは別の障害ですが、多くの場合、両方の要素を持っています。
診断基準を満たさないグレーゾーンの人も多く、混合型と診断されることがあります。
ASDの主な特徴
- 興味や関心に強い偏りがある
- 予定変更や行動を妨げられるとパニックになる
- 空気を読むのが苦手
- 人の気持ちを直感的に理解しにくい
- 曖昧な表現が分かりにくい
- 子どもとの関わりが苦手
ASD夫のモラハラの事例
- 意見や指摘を批判と受け取り、すぐにキレる
- 趣味やゲーム中に邪魔されるとブチギレる
- 経済的DVを行う(子どもの塾や習い事の費用を出さない)
- 育児を妻の仕事と考え、手伝わない
- 妻の容姿を批判する
- 育児で働けない妻を責める
- 妻が子どもを優先すると厳しい言葉を浴びせる
- 妻の病気に不機嫌になる
- 自分のルールや価値観が絶対に正しいと思い込む
- 自分の気持ちや他人の気持ちを理解できない
- 自分の非を認めず、謝らない
ASDについて詳しく知りたい方は「モラハラ夫に多いASDと5タイプの特徴」の記事を参考にしてください。
ADHDとは
ADHD(注意欠如・多動症)は、不注意・多動・衝動性を特徴とする発達障害で、国際的な診断基準 DSM-5 によって判断されます。
ADHDの主な特徴は下記です。
不注意性
- ケアレスミスが多い
- 物をよく失くす
- もの忘れが多い
- 自分が言ったことを忘れる
- ワーキングメモリ(短期記憶)の容量が少なく、不注意や忘れ物が多くなる
多動性・衝動性
- 落ち着きがない
- せっかちで注意が散漫になりやすい
- 衝動的に発言する
ADHDの影響
ワーキングメモリ(作業記憶)の不足
- 一時的な記憶・処理能力が低く、長い説明や長文の理解が苦手
- 直前の説明を忘れ、文脈を理解できない
- 指示がうまく処理できず、ミスにつながる
- ストレスを処理しきれず、衝動的に暴言や失言が出ることがある
情報処理の困難さ
- 多くの情報を一度に受けるとパニックを起こしやすい
- ストレス処理が苦手で、感情が爆発しやすい
コミュニケーションの課題
- 言語化が苦手で、自分の考えや気持ちを整理して伝えにくい
- 自分と他人の境界が曖昧
感覚の偏り
- 感覚過敏(音・光・匂いに敏感)または感覚鈍麻(刺激に鈍感)
- 定型発達よりも疲労しやすく、日常生活でも脳がフル回転し、すぐに疲れ切る
- 自分の疲労に気づかず、慢性疲労が蓄積しやすい
ADHDがキレやすい理由
ADHDの人は衝動性や情報・感情の処理が苦手なため、攻撃性が高く、メンヘラ要素が強い傾向があります。
ADHDがキレる事例
- 知らないことを聞かれるとパニックになりキレる
- 衝動的に暴言を吐く
- 衝動的に嘘をついたり、余計な一言を言ってしまう
- 易怒性が高く、気に入らない話題に急にキレる
- 相手の話を遮り、早口で捲し立てることがある
- 鬼LINE・鬼電話をしてくる
- 約束を忘れたり、守らない
- 乱暴な運転をする
- お金の管理が苦手で、ギャンブル依存になりやすい
- 他人の気持ちを理解しにくい
- 自他の境界が曖昧のため、価値観を押し付ける
ADHDについて詳しく知りたい方は「ADHDとは」の記事を参考にしてください。
自己愛性パーソナリティ障害とは
自己愛性パーソナリティ障害は、一般的にナルシストのように「自分が大好き」な状態だと思われがちです。
しかし実際はその正反対で、正常な自己愛を獲得できなかったために、ありのままの自分自身を受け入れ、愛することができない障害です。
この表面的な「自己愛の強さ」は、実は深い自己不安を隠すための防衛反応であり、本人の苦しみを表しているのです。
この障害の根底には、幼少期の経験が深く関わっています。
両親から無条件の愛を受けられなかった経験から「親の期待に応えなければ見捨てられる」「人に愛されるためには特別な存在でなければならない」という強い不安や信念を持つようになります。
その結果、自尊心が極端に肥大し、他人からの批判や傷つく可能性に非常に敏感になり、自分を守るために高圧的な態度を取ったり、完璧さを求めたりする傾向が現れます。
DSM-5(国際的な診断基準)では、以下の特徴が挙げられています。
自己愛性パーソナリティ障害の特徴
- 誇大性
- 過剰な賞賛への欲求
- 特権意識
- 他者を見下す態度
- 共感能力の欠如
本来、自己愛は自分自身であることを包括的に受け入れるものですが、この障害を持つ人々は自分の思う通りにならない部分も含めて自分を受け入れることができず、また、思うようになれない自分自身を許すこともできません。
そのため、他人の失敗も許容することができないのです。
自己愛性パーソナリティ障害について、詳しく知りたい方は「夫のモラハラは自己愛性パーソナリティ障害が原因なのか?」の記事を参考にしてください。
モラハラへの対処法
モラハラの根本的な解決には、加害者が自身の加害性を自覚し、更生プログラムを受講して向き合うことが必須です。
同時に、被害者も幼少期からの被害者体質を見直し、改善することが不可欠です。
ただ、現実的には、すぐに離婚できるわけではなく「あなたのしていることはモラハラだ」と指摘することも、反撃が怖くて言えない方がほとんどです。
そのため、まずはモラ夫と共存しながら、自分を守るための対処法を身につけることが大切です。
モラハラ被害者に多い特徴
- 暴言を吐かれても言い返せない
- 夫から謝れと言われると、とりあえず謝る
- 暴言をそのまま受け取り、深く傷つく
- 夫のつまらない話にも愛想よく対応する
- 暴言を吐かれた翌日も普通に会話をする
これらの行動により、モラ夫は妻が何を言っても怒らず、反論してこないと思い込み、モラハラはエスカレートし続けます。
具体的な対処法
モラハラ被害者の多くは、幼少期から「いい人」であり、波風を立てないように過剰に気を遣います。
しかし、嫌なことを言われたら毅然とした態度で「そんなことを言うのは止めて」「絶対に許さないから」と伝えることが重要です。
最初は怖いかもしれませんが、はっきりと自分の意思を示すことで、相手の態度が変わる可能性があります。
一度も嫌だと主張せず、理不尽な謝罪を繰り返すと、加害者は支配を強め、状況はますます悪化します。
被害者体質を改善するためには、自分の本音に耳を傾け、少しずつでも意思をはっきり伝える習慣をつけることが大切です。
自分を犠牲にし続けるのではなく、ストレスの少ない人生を選ぶ勇気を持ちましょう。
多くのモラハラ被害者は、反論することや自分の本音を伝えることが極端に苦手です。
世間的には「いい人」「穏やか」「優しい」と評される特性が、パートナーからのモラハラ被害につながっているのが現実です。
言い返すのが苦手な方は「言い返すのが苦手な人のためのモラハラ加害者への対処法」の記事を参考にしてくださいね。
DV・児童虐待・依存症・離婚相談の支援機関一覧
このサイトはモラハラに特化していますが、あなたの状況によっては、モラハラ以外の支援が必要な場合があります。
それぞれの問題に対して、現状に最適な支援機関を利用することで、より迅速かつ効果的な問題解決につながることが多いのです。
相談内容の深刻さや緊急性によっては、即座の対応が求められる場合もあります。
また、モラハラ支援の範囲を超えるケースもあるため、ご自身の状況に合った適切な支援機関を選ぶことが重要です。
そこで、以下に各種支援機関のリストを作成しました。
お困りの際は、それぞれの機関の特性や専門性を参考にし、最適なサポートを受けてください。
まとめ
最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
身体的DVやストーカー被害など緊急性の高い場合は、警察や支援機関に迷わず通報してください。
また、モラハラによるカサンドラ症候群(不眠・動悸・希死念慮)に該当する場合は、精神科や心療内科を受診し、適切な治療を受けることをお勧めします。
夫からのモラハラにお悩みの方は、ぜひリジェネにご相談ください。
モラハラの問題は先送りすると悪化する一方です。
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