発達障害の夫がモラハラをする理由

モラハラ加害者の中には、発達障害の中でもASD(アスペルガー)夫が多いと言われています。

しかし、発達障害と診断される方は、ほとんどがASDやADHDのいずれかというわけではありません。

多くの場合、両方の要素を持つ混合型と診断されます。

ここではASDとADHDを一括りにして発達障害として説明していきます。

この記事はこんな方におすすめです

  • 夫からのモラハラ被害を受けている方
  • 夫が発達障害の傾向だと思われる方
  • ASD夫の脳内が知りたい方

LDと診断される方は少ないため、ここでは省きます。

また、私自身はADHDの要素が強めの混合型と診断されました。

今回はADHDの事例を含めて、モラハラにつながりやすい特性をピックアップして解説していきますので、最後までお付き合いください。

もくじ

  1. ADHDとASDの特徴
  2. ADHDの人がモラハラをする理由
  3. ASDの人がモラハラをする理由

ADHDとASDの特徴

ADHDの特徴

  • ワーキングメモリ(作業記憶)不足
  • 言語化が苦手
  • 感覚過敏・感覚鈍麻
  • 衝動的に思ったことを言ってトラブルになる

ASDの特徴

  • 興味や関心への強い偏りがある
  • 予定変更や行動を妨げられるとパニックになる
  • 空気が読めない
  • 直感的に人の気持ちがわからない
  • 曖昧な表現がわからない
  • 子供が苦手
  • 発達障害児は親から虐待を受けやすい
  • 養育環境の影響

ADHDの夫がモラハラをする理由

ワーキングメモリ(作業記憶)不足

ワーキングメモリは一時的な記憶のことであり、ADHDの人にはこの機能が弱い傾向があります。
そのため、複数の作業を同時に行うことや聞いた情報を頭の中でまとめることが苦手です。
ワーキングメモリの低さから、ストレスへの許容量が定型発達の人よりも耐性が低いと言えます。
ワーキングメモリというのは記憶の保存だけでなく、感情も保存します。
その許容量も少なく感情の制御が困難なため、衝動的にキレてしまいます。
さらに、情報処理の速度が遅いため、ストレスを適切に処理することができず、冷静に解決策を考える余裕がありません。その結果、パニックに陥りやすくなり、他人からの様々な意見や助言を受けると、どうすればよいかわからなくなり、ついイライラしてしまいます。

言語化が苦手

ADHDの人は話しかけられても、すぐに言葉が出ません。
その理由はワーキングメモリが低く、会話の中で相手からの情報量が多すぎて処理が追いつかず、言葉を返せないからです。
また、自分の感情を伝えることも苦手です。
それは自己理解が苦手なためで、自分が何が好きで何が嫌いなのか、今の自分の体調や疲労度、そして自分は今どう思っていて、何がしたいのかもわからないため、相手に伝えることができず、その結果フラストレーションがたまりキレることがあります。

また、ストレスを処理することも苦手です。
定型発達の人はストレスを感じると、その要因を言葉にして理解し、受け入れて処理することができますが、ADHDの人は言語化能力が低いため、自分が何にストレスを感じているのかを理解することが難しく、吐き出すことや消化することもできません。そのため、ストレスが溜まるとキレてしまうことがあります。

ADHDの人は幼少期から言語化が苦手なため、周囲の人が勝手に察して助けてくれることがあります。
このような経験が繰り返されると、困ったことがあっても周りの誰かが助けてくれると思い込み、自分から伝えようとしなくなります。
例えば、テレビを見ているときに母親からお風呂に入るように言われます。
自分の頭の中では、あと30分後に入ろうと考えていますが、言葉に出すのが苦手なため、結果的にそれを伝えずにいます。
すると、母親は無視されていると感じて怒り出し、本人はそれに反発してしまうことがあります。
この問題には、自分が考えていることが母親にも伝わるだろうという想像力の不足も関係していると考えられます。

感覚過敏・感覚鈍麻

発達障害の人は、定型発達の人よりも疲労しやすい傾向にあります。
その理由は、日常生活の中で他の人が何気なく行っている通勤や雑談などでも、ADHDの人にとっては脳内の情報処理をフル回転させなければならないためです。
そのため、日常の活動だけでさえ多くのエネルギーを消耗し、仕事の終わりには疲れ切ってしまうことがあります。
また、感覚過敏や身体の制御の困難さなどの特性も存在し、周りからは問題なくできているように見えても、実際には神経をすり減らしながら何とかこなしていることもあります。

例えば、ADHDの人にとって車の運転は、定型発達の人よりも入ってくる情報量が多く、感覚過敏の特性がある場合はさらに疲労しやすいです。
また、注意が必要な要素も多いため、急な割り込みや助手席からの指示などに直面すると、パニック状態に陥りやすく、即座に適切な対応ができないため、イライラしてキレやすくなります。

感覚鈍麻の例として、お酒を飲んでいても自分が酔っ払っていることに気付かないことがあります。
また、自分の疲労状態に気づかず、適切なペース配分や休憩を取らないため、突然倒れることがあります。
この感覚鈍麻の特性が睡眠不足と重なると、心身ともに疲弊し、日常的に高いストレス状態に陥ることがあります。
そのため、些細なことでイライラし、キレやすくなります。

衝動的に思ったことを言ってトラブルになる

ADHDの人は衝動的に思ったことを言ってしまうため、人間関係でトラブルになりやすいです。
例えば職場で上司に注意された場合、定型発達の人ならば「申し訳ありません」と適切な返答ができるかもしれませんが、ADHDの人はワーキングメモリが少ないため、上司からの注意によってストレスを処理することが難しく、すぐにパニック状態になることがあります。
また、衝動性もあるため、上司に対して「うるさい」「言われなくてもわかってる!」など、頭に浮かんだ言葉や心の声が衝動的に出てしまうことがあります。
周囲からすると、かなり攻撃的な発言であり、失言と捉えられるため、周囲からは扱いづらい人や要注意人物として扱われることがあります。
ただし、本人には悪意がなく、ASDの人とは異なり、空気を読むことができるため、失言があった後は反省します。

ASDの人がモラハラをする理由

興味や関心への強い偏りがある

ASDの人は一般的に、自己にしか興味を持たず、他人にはあまり興味を示しません。
自分の趣味には非常に熱中し、過度な集中を示す傾向があります。
例えば、ゲームをしている最中に話しかけられると、邪魔されることにイライラすることがあります。
また、ASDを持つ夫の場合、子供の学校での出来事を話してもほとんど興味を示さず、育児にも協力しません。
夫にとって育児は妻の仕事であるという認識があり、自身には関係がないと考えているためです。
さらに、自分の趣味には多くの資金を投資する傾向がありますが、子供の塾など、本人にとって必要性や興味がないものにはお金を使うことをためらいます。

予定変更や行動を妨げられるとパニックになる

ASDの人は変化を嫌います。
いつもと同じであることに安心をし、いつもと違うと不安や焦りの感情からパニックになり怒ることがあります。
ASDの人には自分なりのルールや手順があるため、それに対して意見を言われると頭の中がパニックになります。
本人的には自分の順番通りに作業を進めようと思っていたのに、それを崩した相手が全部悪いと思いキレることもあります。
また、他人から自分のルールについて触れられたり、変えようとされるとその反発心からキレることもあります。

空気が読めない

ASDの人は空気が読めない、言葉の背景を読むのが苦手です。
他人の表情や身振りなどから、言葉以外で感情を読み取ることも苦手です。
例えば妻が体調不良のため、「今日は帰りにお弁当を買ってきてね」と伝えると、定型発達の夫は妻の分も一緒に買ってきますが、ASDの夫は自分の分しか買ってきません。
妻としては、私が病気だから当然、私の分も買ってくるだろうと期待しますが、ASDの夫は言葉の背景や妻の心情を理解することが難しく、自分の分しか買ってきません。

また下記の様な傾向もあります。

  • 妻の話を全く聞かず、自分の今日の出来事を一方的に話す
  • 髪型を変えた妻に対して「今回の髪型はイマイチだね」と言う
  • 妻の友人に「すごく太ってるよね」と言い放つ
  • 物事を合理的に考える為、取引先の相手に対しても「そんな非効率なことをする意味がわからない」 と言い放つ
  • 会社での暗黙のルールがわからない為、廊下で上司とすれ違っても挨拶をしない
  • 新人なのに電話を取らない
  • 初対面の相手に宗教や政治の話をしてしまうなど

直感的に人の気持ちがわからない

ASDの人は自分自身の感情や気持ちを理解することが難しいため、相手の気持ちや感情も理解しにくい傾向があります。
また、自分自身の感情を把握できないため、状況によってはすぐにパニックに陥り、イライラしたりキレたりしてしまうこともあります。
例えば、妻が病気で寝込んでいるのに心配することもなく「何でサボっているんだ?」「俺の晩御飯を作れよ」とキレるといった発言をする理由は、自分はしんどくても外で働いているのに、妻が家事をサボるのは不公平だという考えからくる場合があります。
定型発達の人であれば、パニックになっているのは今後の不安などの一次感情が要因であることを理解できますが、ASDの人はそれがわからない傾向があります。

曖昧な表現がわからない

ASDの人は曖昧な表現がわかりません。
例えば冷蔵庫の物を「適当に食べて」と言われても、「何を食べれば良いのかわからない」「あのファイルを持ってきて」と言われても「あのファイル」がどれなのかを察することができません。
「明日は少し早く出勤するように」と言われても、「少し早く」が「どの程度なのかが分からない」など具体的なことを言われないとわかりません。
また、ASDの人は自分としては相手から言われた通りの行動をしているつもりですが、相手からは全く違うと責められるため、相手の伝え方が悪いと逆ギレをすることもあります。

よく相談としてあるのが、「頼まれたおつかいが出来ない」です。
例えば、お茶が切れていて翌朝の子どもの水筒分のみお茶が欲しい場合
「コンビニで2リットルのペットボトルを1本買ってきて」と頼んだのに「麦茶のティーパック」を買ってきたというようなトラブルがあったとします。
妻からすると夫にわざわざペットボトルを依頼したのにも意味がありますが、言葉以外の部分を予測することが苦手なのに「勝手な推測と判断」はします。
今から沸かすと時間がかかるからこそコンビニへのおつかいを依頼しているという背景を読み解くことは出来ません。
また、「困ったら連絡して」とあらかじめ伝えていても、言葉通り本人は「困ってはいない」ので確認すらしない場合もあります。
この派生として、家事や育児なども「基礎がないくせにこっちの方が合理的だ!」等勝手なアレンジをする場合もあります。
全てに通じるのは、本人の脳内で勝手に判断した「俺が考えた最高の〇〇」という発想であり、独りよがりであるということです。

子供が苦手

ASD特性を持つ夫にとって、子供は予期しない行動や発言をするため自分の思い通りにならず、どのように接すればいいのかわからず、怒りを感じることがあります。
また、結婚後に子供が生まれると、妻は母親としての役割を果たすために育児に忙しくなり、夫よりも子供を優先することがあります。
しかし、夫はその変化を受け入れられず、父親としての自覚も持たないため、子供に対して嫉妬の感情を抱くことがあります。
さらに、子供をライバル視し、厳しい言葉を浴びせる人もいます。

発達障害児は親から虐待を受けやすい

発達障害を抱える子供は、定型発達の子供と比べて言葉の発達が遅かったり、すぐに癇癪を起こしたり、衝動的な行動が多かったりして、落ち着きがない傾向があります。
親にとっては、このような行動に振り回され、言うことを聞かないように見える子供に接することは負担となります。
結果的に、この負担が大きくなり、虐待や育児放棄のリスクが高まることもあります。

養育環境の影響

暴力のある家庭で育った場合、暴力を振るう親の思考や行動のパターンを取り入れ、暴力が当たり前になってしまうことがあります。
両親が不仲であるが離婚はしていない場合に、「絶対に離婚しない」「籍だけは抜かない」というような強いこだわりやマイルールが発動して話し合いに応じない等の困った展開になることがあります。

発達障害についての基本内容はこちら

ADHDとは/ASDとは

さいごに

最後までお読みいただきありがとうございました。

今回の内容を参考にして頂き、また、あなた自身も長年の被害者体質を克服し、モラハラ夫に毅然と立ち向かい、何よりも大切なお子さんを守り、家族を再構築して頂きたいと思います。

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