モラハラは人格障害で一生治らない?|診断名より大切な見極め方

「モラハラをする人は人格障害で、一生治らない」

そう聞いて、先の見えない不安を抱えているご家族や被害者の方へ。

  • 「人格障害なら、何をしても無駄なのでしょうか」
  • 「治らないのなら、離婚するしかないのでしょうか」
  • 「もう、どうしたらいいのかわからない」

我々リジェネの元には、こういった相談が多く寄せられます。

また、ネットで調べれば調べるほど「モラハラは自己愛性パーソナリティ障害だから、絶対に治らない」という言葉ばかりが目に入り、不安が大きくなっている方も多いと思います。

結論から言います。

まず、モラハラをする人は、全て人格障害(パーソナリティ障害)ではありません。

モラハラに至る要因は、そんな短絡的なものではなく、様々な要因が複合的に絡み合っています。

今回は、それらについて説明していきます。

リジェネは、2015年から2500件超のモラハラ相談に向き合ってきました。

私自身も、新婚の頃は、妻に対してモラハラをしてしまう加害者でした。

私は、ASDとADHDの混合型で診断済みです。

夫婦で協力してモラハラを克服した経験も、お伝えします。

今回は、次の3点について、お話しします。

  • 人格障害かどうかを、誰が判断するのか
  • モラハラをする人が、本当に人格障害なのか
  • 変わる人と変わらない人は、何が違うのか

もくじ

  1. 「一生治らない」と言われて絶望していませんか?
  2. 人格障害かどうかは医師にしか判断できません
  3. モラハラをする人の多くは自己愛性ではありません
  4. 自己愛性の傾向が強い人は変わりにくいのが現実です
  5. 変わる人と変わらない人は何が違うのでしょうか
  6. ご家族が今日からできることをお伝えします
  7. まとめ

「一生治らない」と言われて絶望していませんか?

「モラハラをする人は人格障害で、一生治らないと聞きました」

インターネットや本で、このような言葉を見て、胸が重くなっていませんか?

今まで我慢してきたのに「治らない」と言われたら、何を頼りにすればよいのか分からなくなりますよね。

「一生治らないのなら、私の我慢は何だったのか」と感じる方もいらっしゃいます。

そのように考えてしまうのは、とても自然なことです。

しかし「一生治らない」という言葉を、そのまま受け取る必要はありません。

なぜなら、この言葉には、2つの思い込みが混ざっているからです。

1つ目は、モラハラをする人は全員が人格障害だという思い込みです。

2つ目は、人格障害かどうかを、診断を受けていない人が決めているという点です。

この記事では、この2つを順番にほどいていきます。

今は、答えを急がなくて大丈夫です。

一緒に、一つずつ確認していきましょう。

人格障害かどうかは医師にしか判断できません

「あの人は、人格障害に違いない」

毎日、理不尽な言葉を受けていれば、そう思いたくなるのは当然です。

特に暴言や人格否定を受け続けていると「何か理由があるはずだ」と探したくなりますよね。

ここで、大切なことをお伝えします。

人格障害かどうかを判断できるのは、医師だけです。

私たちは医師ではないため、診断はできません。

医療の現場では、DSM-5という判断基準を用いて判断します。

ネットのチェックテストは、特徴を知るための目安にすぎません。

リジェネのサイトにも、自己愛性パーソナリティ障害のチェックテストがありますが、診断の代わりにはなりません。

「人格障害かもしれない」と疑う気持ちは、それだけ苦しい毎日を過ごしてきた証拠です。

しかし、診断を受けていない相手に「人格障害だから一生治らない」と決めてしまうと、本当は変われるかもしれない可能性まで、閉ざしてしまいます。

まずは、診断名に振り回されないようにしましょう。

それが、あなたの心を守る第一歩です。

モラハラをする人の多くは自己愛性ではありません

「悪意があって、わざと傷つけているとしか思えない」

そう感じていませんか?

世間では、モラハラをする人は「悪意を持って、相手に暴言を吐いている」というイメージが定着しています。

しかし、私がこれまで数多くの加害者と面談してきた中で、見えてきた実態は違いました。

モラハラをする要因は、自己愛性パーソナリティ障害の傾向だけではありません。

発達障害であるASDやADHDの傾向がある、グレーゾーンの方が圧倒的に多かったのです。

そして、多くの加害者は、悪意はなく、衝動的にキレていました。

私の実感では、99%の加害者が、自分の怒りをコントロールできずにキレています。

モラハラをする人のイメージと実態:世間では悪意を持って暴言を吐いていると思われているが、面談で見えた実態は、悪意はなく衝動的にキレている

大学院を卒業した、頭脳明晰な方にも、同じ傾向がありました。

頭が良くても、怒りのコントロールは別の問題なのです。

発達障害は、病気ではなく、生まれつきの脳の特性です。

もちろん、発達障害の方のすべてがモラハラをするわけではありません。

モラハラは、知能や障害の有無に関係なく起こりうるものです。

怒りの感情を抑えにくくなる要因には、次のようなものがあります。

  • ADHD
  • ASD(アスペルガー症候群)
  • 双極性障害
  • 愛着障害
  • アルコール依存症
  • セックス依存症
  • 慢性的なストレスと睡眠不足

モラハラは、これらが複合的に絡み合って起こることがほとんどです。

そのため、モラハラをする人は人格障害だと決めつけると、本当の原因を見落としてしまいます。

しかし、原因が一つではないということは、対応の選択肢も一つではない、ということです。

あなたが、ここで諦める必要はありません。

詳しくは、次の記事で書いています。

自己愛性の傾向が強い人は変わりにくいのが現実です

「話し合おうとしても、一度も謝ってもらえない」

何度伝えても、謝ってもらえない。

そのたびに「この人は、どこかおかしいのでは」と感じてしまいますよね。

ここは、正直にお伝えします。

自己愛性の傾向が強い場合、変わることは簡単ではありません。

自己愛性の傾向が強い人には、次のような特徴があります。

  • 過度な自己愛と、他者への共感の欠如
  • プライドが非常に高く、批判を受け入れられない
  • 自分の非を認められず、嘘で取り繕う
  • 「君のためを思って言っている」という上から目線の発言

また、ASDの中にも、特権意識やプライドの高さが強い方がいます。

このタイプは、物事を勝ち負けでしか捉えられず、謝ることを「負けを認めること」だと感じています。

そのため、謝ることを避け続けます。

さらに、反社会性パーソナリティ障害の傾向が強い場合は、罪悪感をほとんど感じません。

自分の行動を正当化し続けるため、真の反省は期待しにくくなります。

私の経験では、このようなタイプの加害者が、自分の力だけで変わることは、ほとんど期待できません。

しかし、変わることが難しいからといって、あなたにできることがないわけではありません。

それは、6章でお伝えします。

その前に、変わる人がいることも、知っておいてください。

変わる人と変わらない人は何が違うのでしょうか

「反省していると言うのに、また同じことを繰り返す」

その繰り返しに、疲れ果てている方も多いのではないでしょうか?

「今度こそ変わる」という言葉を信じるたびに、裏切られた気持ちになりますよね。

実は、変わる人と変わらない人の違いは、診断名だけでは決まりません。

当相談所には「夫にモラハラ加害者体質改善講座を受けてほしい」というご相談が、被害者の方から寄せられます。

そのときの加害者の反応は、当相談所のデータでは、次の3つに分かれます。

  • 自分から連絡してくる人:約2割(改善度は高い)
  • 被害者に言われて、渋々連絡する人:約5割
  • 連絡すらしない人:約3割

また、連絡してきた人の約1割は、次のような状態のため、講座の受講に至りません。

  • 怒りすぎて、会話にならない
  • 支離滅裂で、論理の破綻に気づいていない
  • 自分の正当性ばかり主張する

つまり、当相談所の経験では、変わるかどうかは「人格障害かどうか」よりも、本人が自分から動くかどうかに、大きく左右されます。

加害者の反応は3つに分かれる:自分から連絡してくる人(改善度は高い)、被害者に言われて渋々連絡する人、連絡すらしない人。変わるかどうかは、本人が自分から動くかどうかで分かれる

発達障害の診断がある私自身も、夫婦で協力して、モラハラを克服できました。

そのときの経緯は、次の連載でお話ししています。

反省や更生について、さらに詳しく知りたい方は、次の記事もお読みください。

しかし、相手が自分から動くかどうかは、あなたには決められません。

だからこそ、次の章が大切です。

ご家族が今日からできることをお伝えします

「結局、変わるのを待つしかないのでしょうか」

待ち続けるのは、つらいですよね。

いつ変わるのかも見えないまま、毎日を過ごしているのですから。

ここで、考え方を少しだけ変えてみませんか?

大切なのは、相手が反省することではありません。

あなた自身と、お子さんがいる場合は、お子さんへのモラハラ被害を、現実的に減らすことではないでしょうか?

変わるのを待つより、目の前の攻撃を食い止めることに力を使う方が、現実的だと私は思います。

そして、あなた自身にも、優しくしてあげてください。

ここまで、ひとりで頑張ってこられたのですから。

具体的な対処法は、次の記事にまとめています。

身の危険を感じるときは、警察や、配偶者暴力相談支援センターなどの公的な窓口に、すぐにご相談ください。

詳しくは、記事の一番下にある、LINEのお友達登録から、無料相談をご活用ください。

まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました。

今回は、モラハラは人格障害で一生治らないのか、についてお話ししました。

人格障害かどうかを判断できるのは医師だけで、診断のない相手に決めつけることはできません。

モラハラをする人の多くは、自己愛性ではなく、ASDやADHDの傾向があるグレーゾーンの方です。

変わるかどうかは、診断名よりも、本人が自分から動くかどうかで分かれます。

だからこそ、変わるのを待つよりも、あなた自身を守ることを優先してください。

【この記事を書いた人】

経験と専門性

  • 夫婦でモラハラの問題を克服した専門家
  • ASD・ADHDの混合型診断済み
  • モラハラ加害者としての更生を実現
  • 週刊文春オンラインでの3記事の連載で加害者心理と更生過程を完全公開

臨床経験(2010年〜)

カウンセラーとして幅広い支援経験

  • 公的機関での生活保護・生活困窮者自立支援
  • 福祉施設での精神疾患・発達障害者支援
  • うつ病の方の復職支援
  • 元受刑者・薬物依存者への更生支援
  • ひとり親・DV被害者相談
  • 企業内パワハラ相談
  • 自助グループ・セミナー開催

メディア掲載実績

新聞・雑誌掲載

  • 小学館 DIME(2018年12月)
  • 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
  • 産経新聞(2021年9月)
  • 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
  • ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)
  • 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
  • CHANTO WEB(2026年10月 3記事掲載)

テレビ・ラジオ出演

  • KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)
  • NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
  • ABEMA『秘密のママ園』(2026年4月出演)
  • ABEMA Prime(アベプラ)(2026年7月出演)

モラハラの問題で苦しんでおられる方々の少しでも力になりたいと思っています。

モラハラで苦しんでいるあなたへ

私たち夫婦も、かつては離婚寸前まで追い込まれました。

しかし諦めずに夫婦で協力し、モラハラの問題と真正面から向き合い、解決することができました。

現在は幸せに暮らしています。

すぐに離婚だと諦めないでください。解決への道は必ずあります。

私たちがどのようにして危機を乗り越えたのか、被害者妻と加害者夫の両方の目線でリアルに書いています。

もし「記事は理解できたけれど、うちの場合はどうすればいいのかわからない…」と感じているなら、一人で抱え込まず、ぜひ私たちにお話を聴かせてください。

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