モラハラ加害者に多い「デートDV」の特徴と対処法
今回は、モラハラ加害者に多い「デートDV」の特徴と対処法について解説します。
このテーマは最近、問合せが増えてきているため取り上げました。
我々のモラハラ改善プログラムは基本的には既婚の方を対象としていますが、近年は若年者の恋愛関係における相談や、再婚を希望される方のデートDV事例も増加しています。
デートDVは交際中のパートナーから受ける暴力を指し、その実態は想像以上に深刻です。
内閣府の調査によると、女性の約5人に1人、男性の約10人に1人がデートDVを経験しているとされています。
特に若年層での発生率が高く、10代後半から20代前半での被害報告が増加傾向にあります。
また、SNSの普及により、オンライン上での監視や束縛などの新たな形のデートDVも増加しています。
デートDVは身体的な暴力だけでなく、様々な形で存在し、被害者の心身に長期的な影響を与えることが明らかになっています。
特に若年者の方は恋愛経験や社会経験が少なく、モラハラに関する知識も乏しいことが特徴です。
さらに、友人たちも同様に経験が少ないため、あからさまな身体的DVであれば別れることを促されるでしょうが、巧妙な精神的DVやガスライティングについては本人も周囲も気付かず、結果としてモラハラの関係が長期間続いてしまうケースが多々あります。
また、若年者は脳機能的に十分に成熟しておらず、言語化自体も苦手なことがあります。
そのため「何がどう嫌なのか」「何が不快なのか」を論理的に説明できない、あるいは言葉にできない方も少なくありません。
ただし、はっきりと言語化ができなくても、パートナーと一緒にいると何となく「怖い」「不安」「しんどい」などのネガティブな感情が最初に生じる場合は、デートDVの可能性も視野に入れてみることをお勧めします。
自分の感情を大切にし、違和感があれば軽視せずに考慮することが重要です。
そのため、今回は特に若い人たちへの啓発も兼ねて、この記事を執筆します。
ご自身の状況が少しでもデートDVに該当するようであれば、私たちの機関でも、他の専門機関でも構いませんので、どうぞすぐにご連絡ください。
この記事はこんな方におすすめです
- デートDVについて知りたい方
- モラハラ加害者への対処法が知りたい方
- モラハラ被害者の方
もくじ
- デートDVとは
- DV(暴力)の種類
- 身体的DV
- 精神的DV
- 経済的DV
- 性的DV
- 社会的DV(行動の制限)
- ガスライティングとは
- 各DVの対処法
- 身体的DVを受けた場合
- 性的DVを受けた場合
- 婚約破棄や刑事告訴をしたい場合
- 精神的DV・経済的DVを受けている場合
- まとめ
デートDVとは
デートDVとは、婚姻関係にない交際中のカップル間で発生する暴力を指します。
従来のDVは婚姻関係や同居関係にあるパートナー間の暴力を指しましたが、デートDVは交際関係にあるカップル、特に若年層の間でも同様の暴力が発生することに焦点を当てた概念です。
これには殴る・蹴るといった身体的な暴力だけでなく、言葉や態度による精神的暴力、行動の制限といった社会的暴力も含まれます。
さらに、デートDVは男性から女性へだけでなく、女性から男性へ、あるいは同性愛のカップル間でも発生します。
デートDVの特徴
- 婚姻関係がなく、別居していることが多いため表面化しにくい
- 若年層に多く、経験不足から「これが普通の関係」と誤解されることがある
- SNSを通じた監視や束縛などの新たな形の暴力が発生している
- 恋愛関係という私的な問題とされ、周囲に相談しづらく孤立しやすい
- 「別れればいい」と安易に言われがちだが、別れる過程で暴力がエスカレートするリスクが高い
DV(暴力)の種類
身体的DV
身体的DVは最も分かりやすい形のデートDVです。
例えば
身体的DVの特徴
- 殴る、蹴る、突き飛ばす、髪を引っ張る、床や壁に体を押し付けるなどの直接的な暴力
- 物を投げつける、壁を殴る、刃物を突きつけるなどの脅迫的な行為
- 腕を掴む、引きずり回す、無理やりお酒や薬物を飲ませるなどの強制的な行為
身体的暴力は目に見えやすいため証拠が残りやすく、法的措置を取りやすい特徴があります。
ただし「相手の頭がおかしいから、落ち着かせるために殴った」「じゃれ合っていただけ」などと加害者が言い訳をするケースも少なくありません。
精神的DV
モラハラとも呼ばれる精神的暴力は、言葉や態度によって相手を傷つける行為です。
精神的DVの特徴
- 大声で怒鳴る、「女のくせに」と人格否定するなど相手をバカにする
- 思い通りにならないと不機嫌になったり無視したりする
- ドアを激しく閉めたり、大きな物音を立てて威圧する
- 何を言っても「うるさい、黙れ」と言う
- 睨んできたり、大きなため息や舌打ちをする
- 聞こえるように小言や批判を言う
- あなたの意見を全否定する、尊重しない
- 大切にしている物を捨てる、壊す
- 「別れるなら死ぬ」「家族に危害を加える」「お前のせいでうつ病になった」などと脅す
- 暴言を吐いても「怒らせるお前が悪い」と絶対に謝らない
モラハラは目に見えにくく、特にフキハラ(不機嫌ハラスメント)は証拠が残りづらいため、被害者自身も「これはモラハラだ」と認識しにくい特徴があります。
さらに、モラハラ被害が長期間続くとうつ症状(カサンドラ症候群)などの精神疾患に陥るケースが少なくありません。
モラハラ全般や不機嫌ハラスメントについて知りたい方は「モラハラ夫への対処法まとめ」「夫が不機嫌な理由と対処法」の記事を参考にしてくださいね。
経済的DV
経済的DVは、金銭面でのコントロールを通じて相手を支配する行為です。
このタイプのDVは目に見える暴力ではなく、また収入や生活費は家庭によって異なるため比較が難しく、被害を認識しにくいケースが多く存在します。
経済的DVの特徴
- 借りたお金を返さない
- デート代を払わない
- 最低限の生活費しか渡さない
- 外で働くことを許可しない
- 働いた給与を没収する、貯金を勝手に使う
- お金の使い道を厳しく管理する
- 借金を強要する
- 無理やり物を買わせる
- 「自分が全て払っているのだから」と言って従わせる
これらに加えて「俺が稼いだ金だろ?」と言って自由に使うことを主張したり、使えるお金がないのに「お前のやりくりが下手なのが悪い」と責め立てるのも経済的DVです。
経済的DVについて、詳細に知りたい方は「モラハラ夫に多い経済的DVとは」の記事を参考にしてください。
性的DV
性的暴力は同意のない性的行為を強要することです。
性的DVの特徴
- 合意のない性行為を強要する
- 性行為を拒否すると怒ったり不機嫌になったりする
- 避妊に協力しない
- 見たくもないアダルトビデオを見せる
- 性行為を勝手に撮影する、またはネットに公開すると脅す
- 嫌がっているのに性的な内容や卑猥な発言を繰り返す
- 他者の前で性的に屈辱を与える発言をする
- 性行為に応じないと生活費を渡さないと脅す
- 浮気や風俗通いを認めさせる
たとえ交際関係にあるとしても、すべての性的行為に同意する義務はありません。
「付き合っているのだから」という理由で同意のない性的行為を強要することは性暴力であり、内容によっては不同意性交等罪などの犯罪にあたる可能性もあります。
性的DVについて詳しく知りたい方は「体だけ求められる」モラハラ夫からの性的DVとその対処法を参考にしてくださいね。
社会的DV(行動の制限)
社会的暴力は、被害者の社会的関係を制限したり破壊したりする行為で、広く言えば「束縛」です。
社会的DVの特徴
- 友人や家族との交流を制限したり監視したりする
- 社会活動(サークル、趣味の会など)への参加を制限する
- 常に居場所を確認する、報告させる
- 常に自分の予定に合わせることを強要する
- SNSの友達関係をチェックしたり消去したりする
- 電話に出なかったりLINEに即座に返信しないと激怒する
- スマホを勝手にチェックする
- 外出を制限する、異性と会話させない
社会的暴力の目的は被害者を孤立させ、加害者への依存度を高めることです。
「心配しているから」「愛しているから」という理由で正当化されることが多いですが、これは支配欲の表れです。
ガスライティングとは
ガスライティングは通常のモラハラとは異なり、心理操作を通じて相手を洗脳し、悪意を持って破滅させる目的を持ちます。
このような行為を行う人は、モラハラ加害者に多い自己愛性パーソナリティ障害ではなく、反社会性パーソナリティ障害の傾向が強く、改善は非常に困難です。
そのため、このような状況に該当する場合は、別れることを視野に入れることをお勧めします。
ガスライティングが長期間続くと、被害者は自分の記憶や判断力を信じられなくなり、加害者に依存するようになります。
「自分がおかしいのかも」と思うようになったら、それは重大な警告サインです。
ガスライティングの特徴
記憶力が悪いと洗脳する
- 「あれ、また忘れたの?」と心配そうに諭し、自分の記憶力に疑問を持たせる
- ミスが多いと洗脳する
ミスが多いと洗脳する
- 些細なことでも責め立て、罪悪感を植え付け、精神的に追い込む
受け取り方が過剰だと洗脳する
- 「そんなこと言っていない」と過去の暴言を否定し、自分の認識に疑問を持たせる
周囲との関係を破壊する
- 「あの人は本当はあなたのことを嫌っている」などと言い、社会的に孤立させる
- 「みんなが陰であなたの悪口を言っている」と伝え、人間不信に陥らせる
混乱を増幅させる
- 責め立てた後に突然賞賛するなど、行動に一貫性がなく、被害者を混乱させる
ガスライティングについて知りたい方は「ガスライティングの特徴と対処法」の記事を参考にしてください。
各DVの対処法
身体的DVを受けた場合
交際相手から殴られたり、身の危険を感じたりするなど緊急性が高い場合は、迷わずに最寄りの警察署、または下記の警察相談専用電話に連絡してください。
DV防止法について詳しく知りたい方は「モラハラで逮捕されることはあるのか」の記事を、また、ストーカー規制法について詳しく知りたい方は「モラハラ加害者が離婚後にストーカー化した場合の対処法」の記事をそれぞれご参照ください。
警察相談専用電話
「#9110」
受付時間:平日8時30分から17時15分まで(各都道府県警察本部によって異なります)
全国どこからでも、電話をかけた地域を管轄する警察本部などの相談窓口につながります。
公式サイト:警察相談専用電話
配偶者暴力支援センター
男女共同参画センターが運営しており、無料で利用できます。
配偶者からの暴力に悩んでいる方は、「DV相談ナビ」をご利用ください。
全国共通の電話番号(#8008)に電話をすると、最寄りの都道府県配偶者暴力相談支援センターにつながります。
公式サイト:配偶者暴力支援センター相談窓口一覧
DV相談プラス
内閣府が運営しており、こちらも無料です。
同行支援や保護、緊急の宿泊提供も行っています。
- 電話・メール:365日24時間受付対応
- チャット:12時~22時(10か国語対応)
電話番号:0120-279-889
公式サイト:DV相談プラス
性的DVを受けた場合
性的DVは、DVの中でも最も他人に相談しにくいため、対処が遅れがちです。
被害者は自覚できなかったり相談をためらったりするうちに、長期間被害を受け続け、状況は深刻化していきます。
精神面への影響は非常に大きく、自尊心や自己価値観が損なわれ、最悪の場合は命にかかわることもあります。
また、被害から脱した後も、PTSD(心的外傷後ストレス障害)の症状に苦しみ、日常生活に支障をきたすことが少なくありません。
したがって、性的DVに該当する場合は、下記の支援機関へのご相談をお勧めします。
性犯罪・性暴力被害者のためのワンストップ支援センター(男女共同参画局)
性犯罪・性暴力に関する専門相談窓口です。
産婦人科医療やカウンセリング、法律相談などの専門機関とも連携しています。
電話番号:#8891
公式サイトはこちら
キュアタイム(内閣府)
性犯罪・性暴力の相談窓口です。
毎日17時〜21時までチャットで対応。外国語での相談も可能です。
公式サイトはこちら
婚約破棄や刑事告訴をしたい場合
パートナーから暴行などを受けている場合は、暴行罪や傷害罪などに該当する可能性があります。
そうした場合、被害を受けた方は加害者を刑事告訴する権利があります。
パートナーを刑事告訴する際は、弁護士が代理人として告訴手続きを行います。
そのため、刑事告訴を検討している方は、弁護士にご相談されることをおすすめします。
モラハラ加害者によくある行為として「別れると言ったら慰謝料を請求する」「あなたの家族に危害を加える」などと脅すケースがあります。
しかし、このような場合、実際には暴行罪や傷害罪に該当するため、むしろあなたが相手に慰謝料を請求できる可能性が高いのです。
ただし、慰謝料請求を進めるためには適切な証拠が必要です。
したがって、婚約破棄をして慰謝料を請求したい方や、逆に婚約破棄をされて慰謝料を請求された方は、できるだけ早く弁護士に相談することをお勧めします。
法テラス
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予約時に収入(平均月収)や資産(現金・預貯金)の確認があります。
相談時間は1回30分で、同一の問題については最大3回まで無料相談が可能です。
利用には事前予約が必要です。
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日本弁護士連合会
法テラスとは異なり、収入や資産に関係なく、無条件で弁護士の無料相談を利用できます。
お近くの弁護士会については、日本弁護士連合会のウェブページでご確認いただけます。
公式サイトはこちら
精神的DV・経済的DVを受けている場合
あなたが精神的DVやモラハラ被害を受けている場合は、私たちリジェネに気軽にご相談ください。
モラハラ全般について詳しく知りたい方は「モラハラとは?加害者の特徴と解決策を詳しく解説」をご覧ください。
また、モラハラ加害者への具体的な対処法を知りたい方は「モラハラ夫への対処法まとめ」を参考にしてください。
さらに、経済的DVに関しては「モラハラ夫に多い経済的DVとは」の記事で詳しく解説しています。
なお、リジェネ以外にも、以下のようなモラハラ支援機関がございますので、ご自身の状況や目的に合った支援機関をお選びください。
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加害者同士のつながりを求めている方には、個別カウンセリングよりもこちらの方が適している場合があります。
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NPO法人 女性・人権支援センター ステップ
DVやストーカーの加害者・被害者双方の支援を行っています。
加害者支援プログラムは、毎週2時間×52週の参加が基本となっています。
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まとめ
いかがでしたか?
今回の記事を参考にして頂き、ご自身の状況に合った支援機関を選んで頂ければと思います。
今回の記事を読んでも、自身の問題に該当する支援機関がわからない、とりあえず相談がしたいという方は、我々リジェネに気軽にご相談してくださいね。
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また、パートナーからのモラハラ被害で心身ともに疲れている方は、カサンドラ症候群になっている可能性がありますので下記のチェックリストも試して頂ければと思います。

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