モラハラ被害者が知るべきフレネミーの特徴と対処法
今回は、友人のふりをして近づいてくる「フレネミー」の特徴と見極め方について解説します。
以前紹介した、モラハラ加害者に見られる「受動攻撃」の特徴と見極め方に続き、見抜きにくく、消耗しやすい人間関係として、このテーマを取り上げました。
フレネミーとは、フレンドとエネミーを組み合わせた言葉です。
表面上は仲の良い友人を装いながら、裏では悪口や足の引っ張り合いをする人を指します。
友人関係だけでなく、職場やママ友、SNS上の繋がりにも潜んでいることが多いです。
たとえば、こちらの幸せな話にはつまらなそうな反応をするのに、不幸な話や失敗には食いついてきます。
褒めているようで嫌味を言ったり、困った時だけ擦り寄ってきたりもします。
フレネミーにも、受動攻撃と同じく、悪意や自覚の有無は本人にしかわかりません。
無自覚に嫉妬や劣等感から行動している場合もあれば、自覚的に相手を利用している場合もあります。
リジェネの相談者の中にも、モラハラの相談とあわせて、フレネミーのような人間関係に悩んでいる方が少なくありません。
フレネミーは正式な医学的診断名ではなく、SNSなどから広まった言葉です。
ただし、自己愛的な傾向と重なりやすいという指摘もあるため、今回は診断名としてではなく、広い意味での関係性のパターンとして考えていきます。
フレネミーが身近にいる人は、なんとなく一緒にいると疲れる、褒められているのに嫌な気分になる、といったモヤモヤを抱えていることが多いでしょう。
こうした違和感を周りに相談しても、考えすぎ、仲がいいならいいじゃない、と流されてしまいがちです。
そこで本記事では、フレネミーの具体的な特徴、テイカーや受動攻撃との違い、そして見極め方や距離の置き方について詳しく解説していきます。
もくじ
フレネミーの特徴
フレネミーには、以下のような特徴があります。
フレネミーの特徴
- 楽しい話や幸せな話をすると、つまらなそうな反応をする
- 不幸な話や失敗には食いついてくる
- 悪口を言われていたと、わざわざ報告してくる
- プライベートを根掘り葉掘り聞いてくる
- 裏では悪口を言っている
- 秘密や噂を言いふらす
- 急に態度が変わる
- マウントを取ってくる
- 愚痴ばかり言う
- 褒めているようで、実は嫌味を言う
- 人前だけ仲が良いアピールをする
- 勝手にライバル視してくる
- 困った時だけ擦り寄ってくる
テイカーとの違い
テイカーとは、人間関係の中で、与えるより受け取る方が多い人のことです。
もともとは、心理学者アダム・グラントの著書「GIVE&TAKE」で紹介された概念です。
テイカーには、大きく2つのタイプがあります。
1つは、悪意のないテイカーです。
自分がどれだけ受け取っているかに無自覚で、一見、真面目で誠実に見えることも多いです。
心のどこかに欠乏感があり、もらえる時に取っておかないと、という防衛反応から来ている場合もあります。
意地悪をしようとしているわけではありません。
もう1つは、計算高いテイカーです。
相手から何かを引き出すために共感しているふりをしたり、利用価値がなくなると急に距離を置いたりします。
テイカーもフレネミーも、心理学の正式な診断名ではありません。
なので、悪意があるかないかは、人によってバラバラです。
フレネミーは、テイカーより一歩踏み込んで、嫉妬や敵意が絡んでくるのが特徴です。
ただ、これも全員が確信犯というわけではありません。
嫉妬心から、気づかないうちに相手を傷つけてしまう人もいます。
単純に、人との距離の取り方が不器用なだけの人もいます。
ここで大事なのは、相手に悪意があったかどうかより、こちらが消耗させられたという事実です。
わかりやすい悪意がある人は、むしろ距離を置きやすいものです。
厄介なのは、悪意がない、もしくは本人が気づいていないパターンです。
関係が長く続きやすく、じわじわと被害が深刻になっていきます。
だからこの記事では、悪意の有無を決めつけず、結果として相手を消耗させる行動パターンとして、フレネミーを見ていきます。
受動攻撃との違い
以前、受動攻撃についての記事も書きました。
受動攻撃は、怒りや不満を直接ぶつけられない人が、遠回しに相手を攻撃するやり方です。
- わざと既読無視をする
- 約束を守らない
- 嫌味を言う
こういった行動で表れます。
フレネミーとの一番の違いは、どこに焦点があるかです。
受動攻撃は、攻撃の仕方の話です。
フレネミーは、関係そのものの話です。
友人のふりをしながら、裏では敵意を持っている、その二面性がフレネミーの本質です。
もちろん、重なる部分もあります。
フレネミーが攻撃してくる時、その手段として受動攻撃を使うことはよくあります。
褒めているようで、実は嫌味を言う。
心配しているふりをして、遠回しに批判する。
こういう場面では、フレネミーと受動攻撃が同時に起きています。
ただ、受動攻撃は上司や同僚、家族など、あらゆる関係で起こり得ます。
フレネミーは、主に友人関係、親しい関係を装う相手に使われる言葉です。
自己愛性パーソナリティ障害との関連性
フレネミーは、自己愛性パーソナリティ障害と重なる部分が多いです。
但しフレネミー的な言動をする人が、全員、自己愛性パーソナリティ障害というわけではないですし、逆に、自己愛性パーソナリティ障害の人が、全員、フレネミー的というわけでもありません。
特に関連が指摘されているのは、脆弱型ナルシシズムと呼ばれるタイプです。
これは、一見、控えめで傷つきやすく見えるのに、裏では敵意や操作的な態度を見せるタイプです。
もう一つ、フライングモンキーという概念もあります。
これは、ナルシシスティックな傾向を持つ人の手先となって、一緒に攻撃に加担する人のことを指します。
このような人間関係では、情報を集められ、弱みを利用され、評価を落とされる、孤立させられる、というパターンが繰り返し起きます。
ちなみに、なぜ、フレネミーは相手の幸せを喜べないのでしょうか。
これは、相手が自分より幸せになったり、成功したりすることを、許せない心理から来ています。
相手が上に行くと、自分の中にある劣等感や、満たされない気持ちが強く刺激されるからです。
だから、同じくらいか、自分より少し下の位置にいてほしいと感じてしまいます。
これは、出る杭は打たれる、という感覚に近いです。
周りより一歩抜け出そうとすると、周囲から足を引っ張られる、あの感覚です。
フレネミーも同じで、表向きは親友や理解者のふりをしながら、実際は、自分と同じ不満や不幸を共有してくれる相手を必要としています。
相手が本当に幸せになったり、成功したりすると、フレネミー側の自己価値が揺らぎます。
その結果、陰口や、足を引っ張る行動、孤立させようとする動きが出てきます。
フレネミーの具体例
フレネミーには、以下のパターンがあります。
- 自分の都合がいい時だけ遊びに誘ってくるのに、こちらから誘っても乗ってこない
- 会う場所は決まって自分の家の近所で、こちらの地元には来ようとしない
- 育児や仕事のやり方を、さりげなく小馬鹿にしてくる
- みんなはこう言っていたよ、うちだけだよ、と他人の意見を借りて口を出してくる
- 2人でいる時は親友のように扱ってくるのに、3人になった途端、仲間はずれにしてくる
- 一緒に誰かの愚痴を言っていたはずが、後日、その本人と仲良くしているのを見かけ、告げ口をされていたと気づく
- Aさんがあなたの悪口を言っていましたよ、とわざわざ報告に来る
- 恋愛相談に乗ってくれていたのに、こっそりその相手に会おうとしていた
- 誰々がこう言っていたよ、と周囲の噂を吹き込み、特定の人間関係から遠ざけようとする
こうした人たちに気づいて、距離を置いたという声も少なくありません。
私の周りのフレネミー
私自身にも、こうした人たちが何人かいました。
慕ってくるのに既読スルーする人
以前の職場での後輩です。
年齢は私より上ですが、業界としては私の方が10年以上先輩でした。
仕事をしている時は、私を慕ってくれます。
ですが、LINEを送ると、3週間は平気で既読スルーしてきます。
理由を聞くと、LINEに固執していないと言うのですが、他の人には即レスしていることを確認しました。
私がテレビ出演や新聞の取材を受けるという話をすると、つまらなそうな顔をします。
代わりに、自分の知人である自営業者の話を持ち出して、その人の方がすごいという話にすり替えます。
不幸話にだけ食いつく人
以前、担当してもらっていた美容師です。
私がテレビの取材を受ける、人気YouTuberのチャンネルに呼ばれる、という話をしても「へえ」と、あからさまに無関心な反応で、つまらなそうな顔をします。
ですが、母がアルコール依存症だという話には、めちゃくちゃ食いついてきました。
愚痴と酒代を押し付けてくる人
これは妻の知人です。
私たちがテレビに出たり、本を出版したりする話には、つまらなそうにします。
代わりに、私が知らない誰かの愚痴を、延々と聞かされます。
人の不幸をつまみに、酒を飲んでいるような人でした。
わざわざ時間とお金を使って会いに行ったのに、4時間、ただ愚痴を聞かされ、酒代まで払わされたこともあります。
さすがに、もう会わないと決め、SNSもブロックしました。
手のひらを返す人
これは、私がカウンセラー養成講座に通っていた頃、お世話になった人です。
当時は、とても可愛がってもらっていました。
モラハラの仕事で自営業をはじめ「やっと生計が立てられるようになりました」と報告したところ「お前は金儲けに走ったな」と、一方的に言われました。
これは、流石にショックだったのと、私の主張を全く聞かず、決めつけで言われたのもあり、二重でショックでした。
フレネミーに狙われやすい人
フレネミーに狙われやすい人には、以下のような共通点があります。
フレネミーに狙われやすい人の特徴
- 否定しない人
- 共感的に話を聞いてしまう人
- はっきり断れない人
- 怒らない人
- 境界線が曖昧な人
- 周囲から人気がある人
- 幸せそうに見える人、充実している人
- 結婚している、恋人がいる、見た目が華やかな人
- 仕事で評価されている人
- 争いを好まず、優しい人
- 自己肯定感が低めで、承認を求めやすい人
- 何かおかしいと感じても、その違和感をスルーしてしまう人
- 自分のプライベートな情報を、つい話してしまう人
こうした傾向は、HSPやAC(機能不全家族で育った人)、モラハラ被害者にも当てはまりやすいと言われています。
長年、境界線を踏み越えられ続けると、自分の感覚がおかしいのではと思い込みやすくなります。
そして、相手の言動を、自分のせいだと受け止めてしまうことがあります。
フレネミーは、こうした抵抗しにくく、深く反応してくれる相手を、無意識に選んでいる可能性があります。
フレネミーへの対処法
フレネミーとは真正面から対決する必要はありません。
一定の距離を保ちながら、静かに関わりを減らしていくのが基本です。
露骨に避けたり、敵視したりすると、かえって攻撃がエスカレートすることもあります。
距離を取る
まずは、会う頻度を減らします。
2人きりで会う機会を減らし、グループでの交流に限定するだけでも、負担はかなり軽くなります。
誘いは断ってもかまいませんし、無理に関わる必要もありません。
急に切ると角が立つので、返信の間隔を広げたり、誘いを断る回数を増やしたりして、フェードアウトする方法もあります。
職場など、完全には縁を切れない相手の場合は、会話の機会そのものを減らします。
「そういう人なんだ」と一歩引いて捉え、相手の言動に感情的に反応しないことも、距離を保つ助けになります。
情報を与えない
プライベートな話や、悩み、弱みは話さないようにします。
情報を与えるほど、あとで利用されやすくなるからです。
自分の成果や幸せも、わざわざ報告する必要はありません。
嫉妬を刺激する機会を、減らせます。
誰かの噂話や陰口の輪に誘われたら「あまりそういう話は得意じゃなくて」「まだよくわからなくて」と、やんわりかわします。
SNSの返信も、既読をつけるタイミングを遅らせたり、スタンプだけで済ませたりして、反応の量を減らします。
2人きりを避ける
誘われた時は、他の人も一緒にどうかと提案したり、別の予定を理由に断っても構いません。
どうしても2人きりになる場合は、周囲の目がある場所を選びましょう。
意思をはっきり伝える
嫌なことを言われたら、はっきりと伝えてください。
「そういうこと言うのやめてくれる?」と、まず意思を示します。
それでも、あなたのためだから、などと言いながら変わらない場合は「しつこいな」「もう、いい加減にして」と、毅然とした態度で接します。
縁を切りたい場合は、長々と説明する必要はありません。
「少し距離を置きたい」と、短く伝えるだけで十分です。
嫌味や皮肉に反応しすぎないことも大切です。
反応するほど、相手を満足させてしまいます。
一時的な変化に惑わされない
距離を取ると、相手が急に機嫌を伺うような態度に変わることがあります。
ですが、これは一時的なものです。
真に受けて、気を緩めないでください。
フレネミーは根本的には変わらないので、時間が経てば、また同じことを繰り返します。
だからこそ、毅然とした態度と距離感を、保ち続けることが大切です。
自分を責めない
フレネミーに嫌なことをされると、自分の何がいけなかったのかと、考え込んでしまうことがあります。
ですが、悪いのは相手の行動であって、あなたではありません。
これはフレネミーによくあるパターンであり、あなたが特別、扱いにくい人間だからではないのです。
モヤモヤした気持ちは、メモや日記に書き出して整理するのもおすすめです。
そして、信頼できる他の人との関係を大切にし、孤立しないようにしてください。
【この記事を書いた人】
経験と専門性
- 夫婦でモラハラの問題を克服した専門家
- ASD・ADHDの混合型診断済み
- モラハラ加害者としての更生を実現
- 週刊文春オンラインでの3記事の連載で加害者心理と更生過程を完全公開
臨床経験(2010年〜)
カウンセラーとして幅広い支援経験
- 公的機関での生活保護・生活困窮者自立支援
- 福祉施設での精神疾患・発達障害者支援
- うつ病の方の復職支援
- 元受刑者・薬物依存者への更生支援
- ひとり親・DV被害者相談
- 企業内パワハラ相談
- 自助グループ・セミナー開催
メディア掲載実績
新聞・雑誌掲載
- 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
- 産経新聞(2021年9月)
- 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
- 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
- ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)
テレビ・ラジオ出演
- NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
- KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)
全国12媒体でモラハラ解決の専門家として紹介
モラハラの問題で苦しんでおられる方々の少しでも力になりたいと思っています。
まとめ
最後まで読んで頂きありがとうございました。
フレネミーは、テイカーとも受動攻撃とも違い、友人という仮面をかぶっている点が特徴です。
悪意があるかどうかは、人によって違います。
無自覚な人もいれば、自覚的に近づいてくる人もいます。
ただ、悪意があってもなくても、受け取る側が消耗するという結果は変わりません。
なんとなく一緒にいると疲れる、褒められているのに嫌な気分になる、成功や幸せを話すと相手の反応が薄くなる。
こうした違和感は、気のせいでも、あなたが考えすぎているわけでもありません。
フレネミーによくあるパターンだと知るだけで、見え方は変わってきます。
モラハラで苦しんでいるあなたへ
私たち夫婦も、かつては離婚寸前まで追い込まれました。
しかし諦めずに夫婦で協力し、モラハラの問題と真正面から向き合い、解決することができました。
現在は幸せに暮らしています。
すぐに離婚だと諦めないでください。解決への道は必ずあります。
私たちがどのようにして危機を乗り越えたのか、被害者妻と加害者夫の両方の目線でリアルに書いています。
被害者の視点から学ぶ
もし「記事は理解できたけれど、うちの場合はどうすればいいのかわからない…」と感じているなら、一人で抱え込まず、ぜひ私たちにお話を聴かせてください。
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