モラハラ被害者が「普通にできない」と自分を責める原因と手放し方

「頑張っているのに、なぜかうまくいかない」

  • 「みんなが普通にできていることが、自分にはとても難しい」
  • 「もっと頑張らないといけないのに、これ以上どう頑張ればいいのか分からない」

モラハラ被害で心身ともに疲弊してきた方々から、こういう言葉をよく伺います。
一生懸命やっているのに、常に何かが足りないと感じてしまう。
自分だけが遅れているような感覚から、どうしても抜け出せない。

でも、この苦しさの根っこにあるのは「みんなと同じことが、自分にもできるはず」という思い込みです。

今日は、モラハラを受けてきた方がなぜ消耗しやすいのか、その仕組みと「普通」の基準から抜け出す考え方、そして日常で使える「まぁいいか」と、自分を許せるようになる練習まで、お話ししていきます。

もくじ

  1. モラハラ被害者が「普通のことができない」と感じる本当の理由
  2. モラハラ被害で消耗してきた人のケース
  3. 自分の「限界値」を知る4つの問い
  4. モラハラで消耗した人が実践すべき「まぁいいか」の練習
  5. モラハラ被害者が襲われる罪悪感の正体
  6. 罪悪感を消そうとすると、逆効果になる
  7. 変化するまでのプロセス
  8. あなたへ伝えたいこと

モラハラ被害者が「普通のことができない」と感じる理由

多くの人は、気づかないうちに「健康で元気な人」を基準にして自分を測っています。

  • 朝から夜まで動ける
  • 仕事も家事も育児も並行してこなせる
  • 人付き合いも積極的に楽しめる
  • 体調不良でも気合いで乗り切れる

こうした「できて当たり前」を、自分の標準にしてしまっている方は多いです。
でも、体力も、感覚の敏感さも、脳の情報処理のパターンも、人によってまったく違います。
「普通」とされる基準が、そもそも自分の体や脳の仕組みに合っていない人もいるのです。

特にモラハラを受けてきた方は、常に相手の機嫌を伺い、緊張状態の中で過ごしてきています。
体も心も、他の人よりずっと多くのエネルギーを日常的に消耗してきました。
その状態で「普通の人と同じように動けるはず」と思うこと自体、無理な話なんです。

モラハラ被害で消耗してきた人のケース

ある方は、周囲と同じように家事も仕事もこなそうとして、毎日疲れ切っていました。
「みんなは出来ているのに、なぜ私だけできないの?」と、長年自分を責め続けていたそうです。

面談で少しずつお話を伺っていくと、この方は音や光、人の感情の変化に人一倍敏感でした。
外出するだけでも、物凄く疲弊してしまう。
その上、モラハラ環境で常に相手の機嫌を伺い続けなければならなかった。
そうすることで、気づかないうちに、心も体も限界まで消耗していたのです。

「みんなが普通に」こなしていることが、この方にとっては何倍もの体力を使う作業でした。

「私は、そもそも普通の人と同じではないのかもしれない」
そう気づいた時、この方の中で何かが少しずつ緩んでいったそうです。
「普通の人と同じ土俵で頑張ろうとしていたこと自体が、間違いだったのかもしれない」
そう捉え方を変えてから、無理をする回数が、少しずつ減っていきました。

自分の「限界値」を知る4つの問い

「普通」の基準に捉われないようにするには「自分の限界値」を知る必要があります。
自分の限界値とは、あなた自身の特性、キャパシティ、ペースのこと。
以下の4つの問いに、感覚で答えてみてください。

①自分が集中して作業できる時間は、どのくらいか

2時間か、30分か、それとも15分か。
無理をせず作業できる時間は、人によってまったく違います。

②自分が人と関わって疲れない距離感は、どのくらいか

毎日誰かと会えるタイプか、週に一度で十分なタイプか。
一対一の会話が楽か、大人数が楽か。
これも人によって大きく違います。

③自分がどんな刺激に敏感か

音、光、匂い、肌触り、予定変更、人の感情の変化。
どれに強く反応するかを知ると、避けるべき状況が見えてきます。

④回復するために、自分にはどのくらいの休養が必要か

一晩眠れば戻るタイプか、丸一日休まないと戻らないタイプか。
これを知ると、無理をしていい限界が見えてきます。

こうした問いに答えていくことで、自分の「限界値」が少しずつ見えてきます。
限界値がわかれば「これ以上は、無理をしなくていい」と判断できるようになります。

モラハラで消耗した人が実践すべき「まぁいいか」の練習

次は「無理をしない選択」を実際にしていく段階です。
そのための一番シンプルで強力な言葉が「まぁいいか」です。

「まぁいいか」は、諦めの言葉ではありません。
「今の自分にできる範囲で、ここまでやったこと」を認める言葉です。
「完璧じゃなくても、これでいい」と自分に許可を出す言葉です。

例えば、こんな場面で試してみてください。

  • 洗濯物が干せなかった → まぁいいか、明日でいい
  • 子どもに強く言ってしまった → まぁいいか、後で謝ろう
  • メールの返信が遅れた → まぁいいか、明日返そう
  • 今日は一日ダラダラしてしまった → まぁいいか、休むことも必要
  • SNSで人と比べて落ち込んだ → まぁいいか、私は私

一度に何個も試さなくて大丈夫です。
一日に一つだけ、または一週間に一つだけ「まぁいいか」を試してみる。
それで十分です。

モラハラ被害者が襲われる罪悪感の正体

でも、実際に「まぁいいか」と自分に言ってみると、多くの方がすぐに罪悪感を感じると思います。

  • 「本当にまぁいいかで済ませていいのか」
  • 「もっとちゃんとやるべきじゃないのか」
  • 「甘えているのではないか」

こういう罪悪感が湧いてくるのは、間違いではありません。
むしろ、変化が起き始めているサインです。
長い間「〜してはいけない」で生きてきた方にとって、いきなり「まぁいいか」と言うことは、脳にとって大きな抵抗を伴う行為です。
脳が抵抗しているなら、それだけ強く縛られていたものが緩み始めているということでもあります。

罪悪感を消そうとすると、逆効果になる

多くの方は、この罪悪感を「消さなければいけないもの」として扱おうとします。

  • 「罪悪感を感じてはいけない」
  • 「もっと堂々としていなければ」

これは、罪悪感に対してまた新しい「〜してはいけない」を作ってしまっている状態です。
無理に消そうとすればするほど、かえって強くなっていくことがあります。

罪悪感への3つの対処法

罪悪感が湧いた時、次の3つを試してみてください。

①罪悪感には「まぁいいか」を使う

「今、罪悪感が湧いている。まぁいいか」「罪悪感が湧くのは自然なことだ」と、心の中で呟いてみてください。
罪悪感と戦うのをやめて「あって当然」のものとして受け流す。
これができるようになると、罪悪感は少しずつ薄れていきます。

②罪悪感は「変化しているサイン」だと捉え直す

罪悪感が湧くのは、今まで自分を縛ってきた「〜してはいけない」というルールを初めて破ろうとしているからです。
つまり罪悪感が出たということは、それだけ新しい行動に踏み出せているということ。
「あ、今ちゃんと変わろうとしているんだな」と思い直すだけで、罪悪感の受け止め方が変わっていきます。

③「まぁいいか」の後に、事実を振り返る

  • 「洗濯物を明日に回した」→ 何か決定的に悪いことは起きたか?
  • 「子どもに謝ることを後回しにした」→ 家族の関係は壊れたか?

こうして振り返ると、多くの場合、恐れていたことは起きていないと気づけます。
この気づきを積み重ねると、罪悪感の強度はどんどん小さくなっていきます。

変化するまでのプロセス

ただ、これらを実践したからといって、すぐに罪悪感がなくなるわけではありません。
幼少期から「〜してはいけない」と縛られてきた方にとって「まぁいいか」と自然に言えるようになるには、かなり時間がかかります。

ですが、続けていくと、必ず変化は起きます。
洗濯物を明日に回しても、パートナーに頼っても、自分を責めずにいられる日が増えていきます。
そんな変化を、私は相談員として何度も見てきました。

大切なのは「一気に変わろうとしない」こと。
一日一つ、一週間に一つ。
小さな「まぁいいか」を積み重ねていくだけで、確実に前に進めます。

あなたへ伝えたいこと

このシリーズでは、モラハラの背景にある思考パターンや脳の反応、完璧主義、役割期待についてお話ししてきました。
どれも、一気に変えるのは難しいものです。

でも、覚えておいてください。

あなたは今のままで、十分頑張ってきました。
「普通のことができない」と感じてきたのは、あなたの努力が足りなかったからではありません。
「まぁいいか」は、諦めの言葉ではありません。

あなた自身と、あなたの大切な関係を守るための言葉です。

ですので、まずは今日、一つだけ試してみてください。
「今日、この記事を最後まで読んだ。まぁいいか、これで十分」これも、立派な「まぁいいか」の実践です。

そこから、少しずつ始めていきましょう。

【この記事を書いた人】

経験と専門性

  • 夫婦でモラハラを解決した実体験者
  • 2015年から2500件超の相談解決実績
  • 行動心理学をベースとしたモラハラ加害者・被害者の心理分析
  • 加害者と被害者の思考・行動パターンの解明と改善指導
  • 発達障害特性を持つ夫婦関係の調整とサポート
  • カサンドラ症候群からの回復支援
  • 夫婦間コミュニケーション改善や改善方法の開発
  • 同じ経験を持つ専門家として、あなたの状況に寄り添うことが可能

メディア掲載実績

新聞・雑誌掲載

  • 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
  • 産経新聞(2021年9月)
  • 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
  • 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
  • ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)

テレビ・ラジオ出演

  • NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
  • KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)

全国12媒体でモラハラ解決の専門家として紹介

モラハラの問題で苦しんでおられる方々の少しでも力になりたいと思っています。

モラハラで苦しんでいるあなたへ

私たち夫婦も、かつては離婚寸前まで追い込まれました。

しかし諦めずに夫婦で協力し、モラハラの問題と真正面から向き合い、解決することができました。

現在は幸せに暮らしています。

すぐに離婚だと諦めないでください。解決への道は必ずあります。

私たちがどのようにして危機を乗り越えたのか、被害者妻と加害者夫の両方の目線でリアルに書いています。

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