モラハラ加害者に多い「愛着障害」の特徴と対処法
今回は、モラハラ加害者に多い「愛着障害」の特徴と対処法について解説します。
このテーマも、「HSP」や「受動攻撃」などと同様、問合せが増えてきているので取り上げました。
愛着障害というと、生育環境が過酷であり、親からの身体的暴力や、あからさまなモラハラを毒親から受けるような悲惨な状況を想像しがちですが、必ずしもそうではなく、一般的な家庭で育った子どもにも該当します。
また、愛着障害という言葉は本来は大人に使用するものではないのですが、近年では「大人の愛着障害」という言葉も広まっており、発達障害やパーソナリティ障害、精神疾患や各依存症など、様々な問題への要因として取り上げられているのも見逃せないポイントです。
これまでのモラハラ解決に必要であった発達障害、各種パーソナリティ障害の理解に加え、愛着障害の知識も取り入れると、本人が該当する場合は自己理解を深めて生きづらさの改善につながり、パートナーが該当する場合はパートナーへの新たな対処法として活用できると思います。
一般的に愛着障害というと、ACと同様、毒親育ちのモラハラ被害者を想像する方が多いと思いますが、私たちリジェネの所感ではその真逆であり、いわゆるメンヘラかまってちゃんタイプのモラハラ加害者に多い印象です。
例えば、メンヘラ夫を持つパートナーに多い悩みが下記です。
- 全く人を信用していない
- 少し注意しただけなのにキレ方が異常
- 思い通りにならないと、すぐに「離婚だ」「死にたい」と言う
- 攻撃性は高いくせにディフェンス力はゼロ、豆腐メンタルすぎる
そこで今回は、なぜこのようなかまってちゃんになってしまうのか、なぜいい大人になっても未だに「メンヘラを発動する」のか、そして愛着障害への対処法をモラハラ専門家の視点で解き明かしていきます。
この記事はこんな方におすすめです
- 愛着障害について知りたい方
- メンヘラかまってちゃんの対処法が知りたい方
- モラハラ被害者の方
もくじ
- 愛着障害とは
- 愛着の形成過程と重要性
- 子どもの愛着障害の2事例
- 反応性アタッチメント障害
- 脱抑制型愛着障害とは
- 大人の愛着障害の代表的な症状
- 見捨てられ不安がある
- 他者を信用していない
- パートナーとの境界線が曖昧である
- 怒り方が常軌を逸している
- 試し行動をする
- パートナーを振り回す
- 極端な白黒思考に至る要因
- 愛着形成不全に至った要因
- 愛着障害への対応 – 被害者が知っておくべき注意点
- 暴言への対処法
- 試し行動への対処法
- 「死にたい」「消えたい」などと言ってくる場合
- まとめ
愛着障害とは
愛着障害は、幼少期に養育者との間で適切な愛着形成がなされなかったことで生じる状態です。
主に虐待や養育者との離別が原因となり、子供の情緒や対人関係に問題をもたらします。
愛着形成は通常3〜4歳までに完成します。国際的な診断基準であるICD-10、DSM-5では「反応性アタッチメント障害」「脱抑制性対人交流障害」として分類されており、いずれも子どもの障害として位置づけられています。
大人に対する愛着障害という正式な病名は存在しません。
この障害は名称に「障害」とついていますが、発達障害のような脳の先天的な特性ではなく、養育者との愛着が形成されなかったという後天的な要因から生じます。
3歳までの記憶は大抵の人に残っていないため、本人も原因となる出来事を思い出せず、自身の生きづらさの原因に気づきにくいことも特徴です。
愛着の形成過程と重要性
赤ちゃんは生まれたときには言葉で不快感を表現できず、泣いたりぐずったりして親に伝えます。
親がこれに対応することで不快感が解消されると、赤ちゃんは親を「不快から救ってくれる存在」と認識し、安心を得るために親に寄り添うようになります。
この相互関係から始まる愛着(アタッチメント)とは、子どもと特定の養育者との間に形成される情緒的・感情的な絆です。
生後6~7か月頃には、乳児は母親だけを特別な存在として認識し始め、母親が部屋を出ると泣き、母親だけが泣きやませることができるようになります。
愛着の発達段階
- 1. 初期段階
- 子どもは親にしがみつくことで安心感を得て、親と同じものを目で追いながら世界を共有し、表情や行動を真似て情動を共有します。
- 2. 探索段階
- よちよち歩きを始めると、親から少しずつ離れて遊ぶようになりますが、何度も振り返って親の位置を確認し、親の見える範囲でのみ行動します。
不安を感じると親のもとに戻り、安心を得てから再び探索します。
この繰り返しにより親を「安全基地」と認識し、行動範囲が徐々に広がります。
- 3. 内在化段階
- やがて親がその場にいなくても、心の中で愛着を維持できるようになります。
愛着形成の重要時期
生後6か月から1歳半頃が最も重要な時期です。
この時期の養育関係に問題があると愛着障害のリスクが高まります。
赤ちゃんは母親との触れ合いで安心感を得て眠り、スキンシップ不足では食欲も低下します。
多くの人からの愛情も大切ですが、特に深い絆で結ばれる特定の存在が必要です。
この絆はオキシトシンというホルモンに支えられた生物学的な仕組みです。
乳児期から3歳にかけて無条件の愛情を受けると、子どもは自分を「生きる価値のある存在」「愛されるべき存在」と認識し、これが基本的な自己肯定感の土台となります。
愛着形成の完成と影響
愛着形成は通常3〜4歳までに完成し、その目安は次の通りです。
- 感情が安定する
- 他者を信頼できるようになる
- 他者の気持ちが理解できる
- 自分の行動に自信が持てる
逆に愛着形成が十分でなかった場合、次のような問題が生じることがあります。
- 過度に人を恐れる
- 誰に対してもなれなれしい
- 人を頼る行動が苦手で一人で頑張りすぎ、エネルギーが枯渇する
適切な愛着形成は、その後の人生における健全な対人関係の基盤となります。
愛着と愛情の違い
愛着はアタッチメント(触れること)の和訳で特定の人との情緒的絆を指し、愛情は相手と繋がる喜びの感情を表します。
この違いを理解することも愛着障害を考える上で重要です。
子どもの愛着障害の2事例
愛着障害は、医学的には「反応性アタッチメント障害(反応性愛着障害)」と「脱抑制型愛着障害(脱抑制性対人交流障害)」の2つに分類されます。
愛着スタイルを形成する大切な時期に安定した愛着を受けられなかった場合に、5歳までに発症するとされています。
反応性アタッチメント障害
反応性アタッチメント障害は、子どもが適切な愛着を形成できなかったり、形成された愛着が破壊されたりすることで発生します。
人に頼ることがうまくできず、養育者であっても極端に距離を取ります。
反応性アタッチメント障害の特徴
- 養育者に安心や慰めを求めず、苦しいときでも保護を求められない
- 笑顔が少なく無表情で、感情表現が乏しい
- 警戒心や恐怖心が強く、他者との交流を避ける
- 人の言葉に深く傷つき、ちょっとしたことで落ち込む
- 試し行動(悪ふざけ、痛がるなど)や自傷行為がみられる
- すぐに嘘をつき、謝ることができない
- 自己評価が低く「どうせできない」とチャレンジしない
- 他人からの声かけにも反応が乏しい
社会的交流の少なさはASD(自閉スペクトラム症)と似ているため、判断が難しい場合があります。
新しい環境への適応も困難で、周囲に無関心なことが多いです。
脱抑制型愛着障害とは
脱抑制型愛着障害(脱抑制性対人交流障害)は、養育者に限らず誰に対しても無差別に親しく接し、注意を引くために不適切な行動をとる特徴があります。
脱抑制型愛着障害の特徴
- 知らない人に対してもためらいなく近づき、抱きついたり慰めを求める
- 誰にでも甘え、しがみつく
- 他人との距離感の調節ができない
- 注意を引くために大げさな態度をとる
- 感情を不釣り合いに表現する
- 空気を読めない、場にそぐわない行動をとる
- 落ち着きがなく、乱暴な行動もしばしば見られる
- 過度にわがまま、強情で意地っ張り
- 謝ることができず、すぐに嘘をつく
反応性愛着障害の子どもが人を避けるのに対し、脱抑制型の子どもは過剰に人に接近します。
しかし、どちらも養育者との安定した愛着形成ができていないため、以下のような共通の問題が見られます。
- 養育者との別離・再会時に視線をそらす
- 抱っこされている間、無関係な方向を見つめる
- 見知らぬ場面でも養育者を安全基地として頼る素振りがない
この障害はADHD(注意欠如・多動症)の特徴と似ているため、区別が難しい場合があります。
しかし、発達障害が生まれつきのものであるのに対し、愛着障害は養育環境による後天的なものである点が大きく異なります。
大人の愛着障害の代表的な症状
次に、モラハラ加害者に多く見られる大人の愛着障害の代表的な症状を説明していきます。
見捨てられ不安がある
この思考は幼少期に養育者から十分な愛情を貰えず、「この家から出て行け」などと暴言を吐かれたり、育児放棄などをされた経験から、親から見捨てられることに対しての強い恐怖や不安感が根底にあります。
子どもは親から見捨てられると生きていけません。そのため、常に親の顔色を伺い、怒らせないように振る舞うようになります。
このような環境下で育った人は、大人になっても見捨てられ不安が根底に残ります。
この特徴は、境界性パーソナリティ障害に多く見られます。
他者を信用していない
この思考は、養育者から否定や批判を受けたり、身体的暴力や育児放棄などの無関心といった不認証環境での生育が要因と思われます。
子どもの頃に自分の欲求を母親に伝えた時に無視されたり否定された経験を重ねることで、自分の欲求は叶えられないという無力感が強化されます。
自身の欲求を伝える行為は失望しかなかったため、大人になっても人と打ち解ける行為を望まなくなります。
愛着形成ができていない人は、「他人は信用してはならない」「他人は私を理解してくれない」「他者に心を開くのは危険な行為である」などの人間不信の自動思考が根底にあると思われます。
パートナーとの境界線が曖昧である
これは、脱抑制型の名残が大人になっても残っていると考えられます。
人との適切な距離感を理解しておらず、相手の気持ちがわからないなどの要因があります。
養育者が毒親で、支配的で過干渉な場合、子どもを所有物化し、自分の思うようにコントロールしようとして、平気で相手との境界線に侵入してきます。
そのため、「私は私、他者は他者」「私と他者は別の人間であり、私も他者も尊重すべき」という概念が欠けていると思われます。
またその子どもも、このコミュニケーションパターンを学び、大人になった今もそれを継承し再現していると考えられます。
怒り方が常軌を逸している
愛着形成ができている人は、怒りが湧いた時でも適切に処理することができます。
その理由の一つは、相手の気持ちや立場を理解できるからです。
例えば、相手が約束の時間に連絡なしで遅刻した場合、愛着形成ができている人は、相手の立場を想像して「何か事情があったのだろう」「渋滞してたのかな?」などと考え、自身の怒りよりも相手を心配する声がけをします。
それらを考えているうちに怒りは鎮静化します。
反対に愛着形成ができていない人は、相手の立場や気持ちを想像できず、他者視点や客観的な視点がないため、基本的に他責の体質です。
また他者を信頼しておらず、それらが複合的に相まって「人はいつも裏切る」「見捨てられる」「信用できない」などの不安や恐怖の自動思考や、「軽く扱われた」「大事にされなかった」などの被害者意識も発動します。
そのため、彼らの怒りは爆発的かつ長期に及ぶものになります。
また、怒りの感情をコントロールできない人に共通しているのは、一次感情や二次感情といった、怒りが発生する仕組みを理解していないことです。
怒りは二次感情であり、根底には「寂しい」「悲しい」「虚しい」などのネガティブで原始的な感情があります。
その根底にある一次感情を理解し受け入れられると、怒りのマグマのゲージは沈静化します。
この仕組みを理解していないこともキレやすい要因です。
試し行動をする
試し行動とは、養育者やパートナーからの愛情を確認する行動です。
子どもの試し行動は「自分が愛されているか」「どこまで許されるのか」を確かめる目的があります。
どの子どもも愛情不足を感じることがあります。
親が忙しくなったり兄弟が生まれたりすると、関心が減り不安になります。
その不安を和らげるために試し行動をとります。
モラハラ加害者の試し行動の事例
- 思い通りにならないと「離婚だ」と脅す
- 別れ話が出ると「死にたい」と言う
- 無視や不機嫌で周囲を困らせる
- 喧嘩後に愛情確認を執拗に求める
- 「お前なんか嫌いだ」と言って反応を見る
モラハラ夫が試し行動をするのは、妻の愛情を確かめたいからです。
例えば、離婚だと脅すことで、パートナーが謝って引き止めて来たり、離婚はしたくないと縋ってくる行動を期待しています。
また、死にたいと言う発言も、そのように言うことで、相手から優しく寄り添ってくれることを期待しての行動です。
また、無視やフキハラなども同様、自分の思うようにならないと拗ねたり、高圧的な態度を取ることで、相手から気分を害してごめんねなどの謝罪を期待してます。
これは、赤ん坊が泣くことで不快感をアピールし母親がオムツを変えて不快感を取り除きますが、それが形を変えたものであり、要はかまってほしい、察して欲しいという思いが根底にあります。
かまって欲しかったり、寂しいのならば、直接、言えばいいじゃないかと思いますが、そこは、相手に自分の本音を言うことへの「恐怖や不信感」や「自身の本音自体に気付いてない」ケースもあるため、結果的に言えず、この様な歪んだ発信の方法しか出来ません。
また、試し行動の根底には、ずっと「自分のことだけを見て欲しい」「気にかけて欲しい」「優遇して欲しい」などの、かまってちゃん要素が満載です。
パートナーを振り回す
先ほどの試し行動と同様に、パートナーを振り回す典型的な発言には以下のようなものがあります。
このような発言を繰り返し受けると、パートナーの精神はかなり疲弊します。
- 思い通りにならないと「離婚だ」と脅す
- 別れ話が出ると「死にたい」と言う
なぜこのようなメンヘラ丸出しの行動を取るのかを愛着障害の観点から説明します。
これらは不安型愛着スタイルに多く見られる傾向です。
不安型愛着スタイルの特徴
- 強い見捨てられ不安
- パートナーへの過度の依存
- 束縛や嫉妬深さ
- 相手への執着
基本的に他者を信用していないのですが、パートナーには「この人は私のことをわかってくれる」と思ってしまい、パートナーを勝手に理想化し、依存します。
この理想化というのは、本人にとっての理想の母親像とも言えます。
幼少期に本来3歳までに得られるはずだった無条件の愛情、要は全肯定の姿勢をパートナーに勝手に求めています。
この理想化には、以下のような期待があります。
- 自分のことを常に優先してほしい
- 常に特別に扱ってほしい
- 常に不安にさせないでほしい
親密になるにつれて見捨てられ不安も発動するため、その不安と依存心から以下のような行動をとります。
- 常に一緒にいようとする
- 束縛もキツくなる
- 鬼LINEをする
- 即レスがないとブチギレる
これは自分の寂しさを満たすのが目的です。
理想化とこき下ろしのパターン
この本人の勝手な理想化によって全肯定されるのが前提であり、それ以外は全て批判や否定と捉えます。
そのため、相手に依存し、それが思い通りにならないと「離婚だ」と攻撃に転じたり、一方的に相手を理想化しては、何かあると今度は相手をこき下ろしたりします。
これを「理想化とこき下ろし」と言います。
これはパートナーだけでなく、親しくなった友人や義家族にも発動します。
当然ながら、このパターンを繰り返すと、人間関係が長続きせず、破綻していきます。
理想化しては幻滅し、依存しては攻撃するという、極端な思考に陥ります。
これらは境界性パーソナリティ障害の特徴でもあります。
極端な白黒思考に至る要因
白黒思考、0か100かなどの極端な思考をする要因としては、
- 人間関係において常に不安や恐怖がある
- 相手の立場になったり客観的な視点がない
- 物事を掘り下げて考えるなどの論理的思考がない
以上の要因から、冷静に物事を分析できないことが問題です。
例えば:
- 「私のことを大切に思うなら、LINEは即レスするはずだ」
- 「それをしないということは、私より仕事の方が大事なんだ」
という、相手の立場を考えない、一方的かつ不合理な思い込みが成立してしまいます。
恐らく、これらの思考も、姉妹や母親と仲が良かったり、女友達が多い生育環境であれば「その考えは偏り過ぎ」「少しは相手のことを考えろよ」「思い通りにならないからって、すぐにキレるなよ」「そんなメンヘラ丸出しだから友達が出来ないんだよ」などのツッコミがバンバン入ります。
そこで社会性を身につけて、その不合理な思い込みを調整し社会適応していくと思うのですが、不安型の愛着スタイルの人はこのプロセスを通っていないと思われます。
そのため、世間の価値観の相場などは全く取り入れず、自分の基準や価値観が全てになります。
自分が求める行動や言動を相手がしないと、自身の基準に満たないと感じ、以下のような思考が生じます。
不安型の愛着スタイルに多い自動思考
- 軽く扱われた
- 大事にされていない
- 拒否された
- 見捨てられる
- 裏切られた
- 嫌われた
これらが自動的に発動し、勝手に炎上していき、些細なことでも「もう無理だ」「もう終わりだ」と思い、パニック状態になります。
そして些細なことでも「離婚だ」または「死んでやる」などの発言が衝動的に出てしまうのです。
愛着形成不全に至った要因
愛着障害の原因は、子どもと養育者との間に愛着がうまく形作られないことが大きく関係しています。
具体的には、以下のような原因が挙げられます。
愛着障害は、幼少期の愛着形成に関わる次のような原因によってもたらされます。
養育者側からの愛着形成不全の事例
- 身体的DV、面前DV、モラハラなどがあった
- 養育者の情緒が不安定・精神疾患やアルコール依存など
- 養育者からのネグレクトや無関心や放任
- 兄弟間の明らかな差別や比較
- 養育者が過干渉や躾が厳しかった
- 条件付きの愛情しかくれなかった
- 養育者の離婚・死別
子ども側からの愛着形成不全の事例
- 親が忙しそうなので甘えなかった
- 生活が困窮していたため、何もねだらなかった
- 家事や兄弟の面倒を親の代わりに見ていた
- お姉ちゃんだからしっかりしなさいと言われた
このように愛着形成不全に至った要因としては、養育者からの影響だけでなく、子ども側が養育者の状況を察して、愛着形成を止めてしまったパターンもあります。
子ども側が感受性が強く、母親が境界性パーソナリティ障害の傾向がある場合、子どもは常に母親の顔色を見ながら生活することになります。
子どもは母親の機嫌が悪くならないように、従順な良い子を演じます。
結果的に、この子は「手のかからない子だった」という評価に至ります。
また、発達障害であるASD(自閉スペクトラム症)があると、3〜4歳頃までは親自体を認識できず、5歳以降にならないと愛着が形成されません。
さらに、脳の特性上「相手の気持ちがわからない」「空気が読めない」などの特徴から、養育者が愛情を注いでいても、それを受け取れない、理解できず、結果的に愛着形成ができないというケースもあります。
そのため、自他の境界も曖昧なまま、相手の気持ちを理解できないまま、小学校での集団生活に入ってしまいます。
その結果、集団生活に馴染めず孤立し、漠然とした人間関係への不安を抱えるようになります。
愛着障害への対応 – 被害者が知っておくべき注意点
いずれにしても、パートナーが愛着障害の傾向に該当する場合は、本人が自分のメンタルが不安定なのは愛着障害が原因かもしれないと自覚を持ち、自身の問題と向き合わないと改善できません。
また、大人になってまで愛着の問題がある場合は、ほとんどうつ病や不安障害、複雑性PTSD、または境界性パーソナリティ障害などの二次障害があるケースが多いです。
この場合は、抗うつ薬や抗不安薬などの薬物療法が必要になることがあります。
パートナーが愛着障害のケースは、あなたの関わり方のみで改善できるものではないという認識をしていただければと思います。
では、どうやって対処すれば良いのかですが、この記事を読んでくださっている方は、パートナーが愛着障害の傾向によりモラハラ被害を受けていると思われますので、現状のモラハラへの対処法、モラハラ自体を止めていく方法、つまりメンヘラかまってちゃんへの対処法を説明していきます。
ちなみに、ここまで愛着障害に至った要因を読んでみて、モラハラ被害者の方に多いのは、加害者の生育環境に同情してしまい、不憫に思い「私が何とかしてあげなければ」「この人は私がいないとダメになってしまう」などの想いが生じることです。
しかし、その想いは捨ててください。
まず、ネット上によくある対処法が、愛着障害は母親との愛着形成ができていないのが要因なのだから、あなたが母親の代わりになり、パートナーの心の安全基地として愛着を再形成するという方法です。
この方法は、やらないほうがいいでしょう。
我々もどこかの記事には書いているかもしれませんが、基本的にカウンセラーや精神科医などの心理職が、本人自身が問題と向き合うという合意のもと行うなら構いませんが、現在モラハラ被害を受けているあなたが行うことはお勧めできません。
それは、あなたの心が壊れてしまうからです。
現状は、モラハラ被害を受けて心身ともに疲弊している上に、モラハラ加害者に対して全肯定で接するメンタルというのは、よほど自身のメンタルをコントロールできる、ある種サイコパスレベルでないとできないと思います。
また、日常的にモラハラ被害を受けている場合は、長ければ長いほどカサンドラ症候群(抑うつ状態)に陥っていることがほとんどであり、心のエネルギーは枯渇し限界に近いはずです。そのような状態で、加害者の愛着を再形成などができるはずがありません。
暴言への対処法
これは試し行動に多い内容ですが、パートナーから明らかな人格否定や罵詈雑言、または「絶対に言われたくないこと」を口にされた場合は、必ず言い返すようにしてください。
暴言への段階的な対処法
- まず「そういうことを言うのを止めてくれる?」と牽制する
- 続く場合は「しつこいな」「いい加減にしてよ」「絶対に許さないから」と語気を強める
- それでも収まらない時は「弁護士に相談しようと思っている」「離婚した方が、よっぽど楽だ」と告げる
ここで重要なのは、感情的にならず、淡々と自分の意思を伝えることです。
また、モラハラ加害者に多いのは、これまで様々な暴言や試し行動を行い、あなたをどんなに傷つけても結果的に離婚や別居には至らなかったため、あなたのことを「俺からは絶対に離れない」「自分の所有物だ」と思い込んでいることです。
そのため、この図式を崩すために離婚という選択肢を示すことは効果的です。
相手から「お前が一人で暮らせるわけないだろ」「仕事もまともにできないくせに」など言いがかりをつけられても、「それでも、こんなに暴言を振るわれるよりは、マシだから」「もうしんどい」と毅然とした姿勢を見せてください。
ただし、DVの危険がある場合は控えましょう。
大切なのは、言われたくないことへの明確なNOを突きつける姿勢です。
これまで理不尽な暴言を黙って受け入れ、最終的に謝らされるというパターンを変える必要があります。
つまり「暴言を吐けば相手は怒る」「嫌なことを言えば相手は拒否反応を示す」という単純な図式を理解させるのです。
これは心理教育でもあります。
ただし、長年の関係性を変えるには相応の時間と回数が必要です。
この対応により、夫があなたを避けたり、急に機嫌を伺うようになるかもしれません。
しかし、これは一時的な反応であり、加害体質そのものが改善したわけではありません。
冷静な対応を継続してください。
この方法は暴言への反撃、言い返すメソッドです。
普段の会話では通常通りに接することで、そのギャップが「怒らせると危険」という認識を生み、抑止効果となります。
言い返す時の注意点
- 自分の意思を相手にハッキリ伝える
- 相手への人格否定はしない
- 一人の人間同士として対等に関わる
- 相手が感情的に煽ってきても、こちらは常に冷静に対応する
- 自分の発言には責任を持つこと
試し行動への対処法
「もう離婚する」「嫌いだ」などの発言が定期的にある場合は、本心ではなく自分の思い通りにならないために拗ねての発言と思われます。
また、本人はパニック状態で衝動的に発言しているため、まず真に受けないことが大切です。
このメンヘラ発言が出た時こそ、あなたはいつもよりも動じずに冷静な対応を行いましょう。
加害者はこれらの試し行動をすることで、あなたが「嫌だ、絶対に離婚したくない」と追い縋ったり謝ったりすることを無意識的に望んでいます。
したがって、それらの反応を示すとこのパターンが延々と続きますので、まずこのパターンを崩すために追い縋ったり謝ることは絶対にしないでください。
その上で、淡々と聞き返してください。
- 「えっ、離婚するの?」「もう離婚でいいの?」
- 「私のこと嫌いなんだね」「うん、わかった」
と返し、「そっか、私も、こんなことを言われ続けると、あなたと一緒に居るのもいい加減しんどいから、一人になって考えたい。一人にしてくれる?」と突き放してください。
このような対応することで、このパターンを崩すことができます。
相手は衝動的に発言しており「あなたが私の期待に応えないから」「あなたが私を困らせるから」このような発言をするのだと無自覚に思っていますが、これらの発言に対して全て責任を取らせるのが目的です。
また、相手が興奮して話し合い自体に応じなかったり、拗ねて自分の部屋に引きこもった場合は、後日、相手が冷静な時に必ず話し合いを行ってください。
その際に、離婚するとか、私のこと嫌いって言ったことについて「あれは、どういう意味で言ってるの?」「本心なの?」と質問してください。
本人なりに何かしら理由を言うとは思いますが、いずれにしても本心ではないのならば、今後は「そのような脅しのような発言は絶対にしないでほしい」と伝え、これらが繰り返されるのであれば「共生は無理」「離婚も視野に入れる」と毅然と伝える必要があります。
また、反対に「俺は、そんなことは言ってない」「覚えてない」などと嘘をついたり言い逃れをする場合は、証拠を突きつける必要があります。
一番良いのはLINEなどのスクショですが、口頭のみで何度も言ってくる場合は、日記やメモを取る、またはボイスレコーダーで録音し、証拠を突きつけるのも有効です。
このように、試し行動やモラハラ発言に対しては毅然と対応していくことで、あなたへの攻撃は減っていくでしょう。
「死にたい」「消えたい」などと言ってくる場合
この場合は寄り添いが必要です。
「どうして死にたいと思うの?」と直接的に聞くよりは「死にたいくらい辛いの?」と聞く方が答えやすいでしょう。
この質問の意図は、メンヘラ夫がこのような発言をするのは「妻がかまってくれないから」と拗ねている場合が大半だからです。
また、メンヘラ夫は感情的で内省もせず、語彙力も自己理解も乏しいため、自身がなぜ「死にたい」と思うのかを自覚していない場合が多いです。
そのため、寄り添った後に「私はあなたがいなくなるのは絶対に嫌だな」「今日は、かまってあげられなくてごめん」などと伝えると、先ほどとは打って変わって喜び出すこともあるので効果的です。
さらに、これらの発言が何度も繰り返される場合は、先ほどと同様、ポーズでの発言の可能性があります。
したがって、この発言を逆手に取り「あなたは、かなりしんどそうだから精神科を受診したら?」「私はあなたに絶対死んでほしくないから、うつ病みたいに酷くなる前に精神科を受診してほしい」と精神科の受診を促すと、ポーズの発言の場合は、言わなくなることがあります。
まとめ
最後までお読みいただき、本当にありがとうございました。
メンヘラ夫に振り回され、心が疲れてしまう日々を過ごしているあなたに、少しでも安心や気づきが届いていれば嬉しいです。
もし「対処法は理解できたけれど、うちの夫の場合はどうすればいいのかわからない」という方は、一人で抱え込まずに、ぜひお話を聴かせてください。
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あなたの気持ちに寄り添いながら、一緒に解決策を見つけていきますので、まずはお気軽にお友達登録をどうぞ。お待ちしています。
また、もし冷静に考えられない、些細なことでイライラしてしまう、不眠が続くといった症状がある場合は、カサンドラ症候群(抑うつ状態)の可能性も考えられます。
そんな時は、何よりもまず、ご自身の体調を大切にしてくださいね。
「私はカサンドラ症候群なのだろうか?」と感じた方は、下記のチェックテストを試してみるのも一つの方法です。
小さな一歩が、大きな変化を生むこともあります。
あなたが少しでも穏やかな毎日を取り戻せるよう、心から願っています。

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