モラハラ加害者が解決に至るまでの具体的な流れ

今回は、加害者体質改善講座の具体例を用いて説明していきます。

前回は被害者体質改善講座について説明しましたが、今回は加害者側の視点から解説します。

受講の流れについて

我々の講座では、まず各体質改善講座(被害者体質改善講座または加害者体質改善講座)を受講していただいてから、夫婦関係改善講座の受講をお勧めしています。

その理由は、被害者・加害者それぞれの体質が改善してから夫婦講座を受講された方が、モラハラ解決への流れがスムーズに進むからです。

また、双方の体質が改善されることで、目に見えるモラハラの問題は減っていきます。

モラハラ問題解決の3つの段階

モラハラの問題解決には、以下の3つの段階があります。

  • 自己理解
  • 相手理解
  • 相互理解

各講座の位置づけ

被害者体質改善講座と加害者体質改善講座は、①の自己理解の段階に該当します。

これだけでも、モラハラの被害自体は減ります。

しかし、夫婦で再構築をしていくには、夫婦関係改善講座で行われる②相手理解、③相互理解が必要になります。

夫婦関係改善講座では、我々が間に入り双方の橋渡し役を担いながら、相手理解と相互理解を深めていきます。

支援期間中に話し合いに必要な技術を身につけていただき、我々の支援が終わっても自分たちで実践できるようにすることで、モラハラの問題の再発を防ぎます。

加害者講座の特徴

加害者講座は被害者講座と異なり、初回面談で「支援が可能か」を慎重に見極める必要があります。

また、「パートナーと連絡が取れるか」が重要なポイントになります。

それでは、加害者講座の具体的な内容と、3つの段階について順番に説明していきます。

もくじ

  1. 初回相談での聞き取り内容
  2. 各講座の共通内容
  3. 加害者体質改善講座について
  4. 加害者更生のプロセス
  5. まとめ

初回相談での聞き取り内容

まず、我々の初回相談(50分無料)での流れを説明していきます。

モラハラ加害者の方が我々に相談してくるケースは、主に以下の3つです。

ここでは、モラハラ夫に多い事例で説明します。

  • 妻が家出、別居をして帰ってこない
  • 妻から離婚を突きつけられた
  • 妻から「あなたがしていることはモラハラだ」と指摘された

加害者の方が我々に連絡する理由は、ほぼ「絶対に離婚をしたくない」という一点に集約されます。

稀に離婚を突きつけられていないのに、自身のキレやすさを改善したいという方もおられますが、本当に稀です。

逆に言うと、多くの加害者の方は離婚を突きつけられる状況まで追い込まれないと、自身の加害性と向き合うことがないとも言えます。

支援可能かの見極め

ただし、加害者の置かれている状況によっては、離婚を回避できないケースが結構あります。

我々が支援可能なのかを見極めるために、初回面談で詳しく聞き取りを行います。

加害者の方の中には、我々の講座を受講すれば必ず復縁してもらえると思い込んでいる人が少なくありません。

「お金はいくらでも払うので、絶対に離婚したくない」と主張される方もいますが、現実的に困難なケースもあります。

そのため、初回面談で支援可能かを慎重に見極めるのです。

妻と連絡が取れないケース

このケースで最も重要なのは、妻と連絡が取れるかどうかです。

家出をして妻と全く連絡が取れない、またはブロックされているケースなどは、復縁や再構築は難しいとお伝えしています。

このケースでは、妻の離婚への意思が固く、加害者が自身の体質改善をしたとしても、それを受け入れる状況にありません。

多くの場合、弁護士から受任通知が書面で送られてきます。

この内容は、弁護士が妻の代理人として依頼を受け、これから離婚裁判を行うという通知です。

親権や養育費、慰謝料や財産分与などの離婚条件が記載されています。

ただし、この場合であっても、復縁を希望するよりも「自身の加害性を見直して、親(監護者)として害のある人にならないように認知を変えたい」と希望されるならば、自身の加害性と向き合う覚悟があるということですので、お引き受けします。
主に離婚調停で今までの行為を反省し、現在の変化を調停委員を通して見てもらい、わずかでも印象を良くし、子どもへの面会交流の頻度を有利にするために、我々の加害者体質改善講座を受講される方も多くおられます。

妻と連絡が取れるケース

次に、妻と連絡が取れるケースです。

この場合、妻が我々のHPやブログを見て「リジェネの講座を受講して加害性が改善するのであれば、復縁や再構築を考えても良い」と思っているケースです。

ただし、何をもって加害性の改善と見なすのかは、妻の価値観が基準になります。

その価値観や基準を夫に話してくれれば、目指すべきゴールが明確になるのですが、ほとんどのケースでは話してもらえません。

夫と話したくない、関わりたくない、または耐えきれないからこのような行動を取っているため、まず話すことはないのです。

また、夫といるのが耐えきれなくなって別居に至っているケースでは、以下の理由で夫と話せなくなっていることがあります。

妻が夫と話せない理由

  • あなたの存在自体がストレス要因となっている
  • あなたの声を聞くだけで動悸が起こる
  • あなたからのLINEを見るだけで胸が苦しくなる
  • あなたと話すと過去のつらい記憶がフラッシュバックする

我々との対話を提案

このような状況では、我々が支援したとしても、妻の価値観や基準に到達しないと復縁や再構築は難しくなります。

そこで、我々リジェネと話をしてもらえるかを夫に提案します。

被害者妻の方は、夫とは話をしたくなくても、我々のようなモラハラの専門家とは話をしても良いという方が結構おられます。

その理由は、妻自身もこのモラハラ被害で心身ともに疲弊しており、誰かに聞いてほしい、できれば専門家に聞いてほしいという願望が少なからずあるからだと思います。

また、我々と話をしても良いという場合は、加害者改善の基準の明確化以外にも、被害者妻の心のケア、つまり被害者講座の受講も提案します。

妻側に復縁や再構築の意思があるならば、メンタルの回復や被害者体質の改善を先送りにせず行った方が、結果的に早期の夫婦再構築につながるからです。

各講座の共通内容

前回の被害者体質改善講座でも下記3つを説明しましたが、改めて加害者の変容に必要な理由も含めて説明していきます。

1つ目は、モラハラの概念を理解することです。

あなたがしたことの、どの部分がモラハラに該当するのかを理解していただく必要があります。

一般的な基準や定義を理解していただくという意味合いでもあります。

2つ目は、法令についての理解です。

2024年4月からDV防止法に精神的暴力も該当するようになりました。

また、モラハラの問題は、エスカレートすると身体的DVやストーカー化したり、傷害罪、暴行罪、脅迫罪などに該当するケースもあります。

加害者の場合は、自省を促すためにもこれらの基礎知識を学んでいただきます。

3つ目は、バウンダリー(心の境界線)の概念を理解することです。

これは、自分と他人を区別する心理的な境界線を指します。

加害者の方のほとんどは、この自分と他人の境界線が引けておらず、自分の手足の延長や所有物のように被害者を扱う方も少なくありません。

ただし、これらもほとんどが無自覚に行なっているため、ワークを通じて自身がいかに相手のバウンダリーに侵入しているかを自覚し、改善していただく必要があります。

加害者体質改善講座について

まず、この講座の対象者は、モラハラ加害を行なった方です。

大抵のケースは、パートナーから「あなたがしていることはモラハラだ」と指摘されたり、モラハラ被害による離婚を突きつけられた方です。

ある意味、パートナーからの指摘を受け、離婚を回避したいがために渋々受け入れている方がほとんどです。

実際に起こる流れ

加害者の方のほとんどが、最初は我々に対して従順な態度を取ります。

その理由は、絶対に離婚したくないからです。

こちらから尋ねていないにも関わらず「本当に申し訳なく思っています」「私のせいで大切な家族を傷つけました」「人生の課題と思って自分の加害性と向き合います」などと述べます。

そこで、自身の加害性の改善を行い、再構築に向けて支援を開始することで合意し、支援がスタートします。

この時点での主訴は「自身の加害性を改善したい」であり、そのための支援を我々に求めて合意に至ったわけです。

支援期間中に起こること

ところが、支援期間が限られているにも関わらず、一向にワークや感情日記などを書かず、自身の問題と向き合おうとしないケースがあります。

発言と行動が矛盾しているため、できない理由を聞いていくと、最初はもっともらしい言い訳をします。

しかし、期間が迫ってくると突然、堰を切ったように不満を吐露し始めるのです。

  • 「私だけが悪いのでしょうか?」
  • 「私の暴言はいけないと思いますが、妻も嫌味を言ったり受動攻撃をしていると思います」
  • 「妻は口が立つので、私がキレるまで理詰めで責めてきます」
  • 「私の方こそ被害者だと思います」

これらの感情を否定せず丁寧に聞いていくと、次から次に本音が吐露されていきます。

たとえば、以下のような本音です。

加害者が抱える本音の事例

  • 「自分の何がモラハラに該当するのか、未だに理解できない」
  • 「妻が勝手に子どもを連れて出て行った」
  • 「おかしいのは妻の方だ」
  • 「妻が当たり前のことができないから指導しただけだ」
  • 「それの何がモラハラなんだ?」
  • 「妻の捉え方が歪んでいる・被害妄想が強い」

こうした不満が根底にあるため、「なぜ自分だけが悪者にされなければならないのか」という思いから、ワークに取り組む気になれないというのが本当の理由です。

当初は「自身の加害性を改善したい」というのが主訴でしたが、この段階では変化しています。

たとえば「妻の受動攻撃を止めさせて欲しい」「妻のモラハラを改善して欲しい」など、本当に支援して欲しい隠れた主訴として出現するのです。

優先順位の整理

ただし、全員に共通しているのが「絶対に離婚はしたくない」という強い思いです。

また、加害者は被害者から離婚を突きつけられている立場でもあります。

そこで、まず優先順位を整理してもらいます。

「離婚回避」が絶対に譲れないと主張するため、どうすれば離婚を回避できるのかを再度考えてもらうのです。

すると、加害者としては不本意ではあるものの、自身の加害性を改善しなければ更生したと認められず、離婚は回避できないことに気づきます。

そのため、自身の問題と向き合うと再度合意するわけです。

加害者の心理状態への配慮

とはいえ、加害者も別居や離婚を突きつけられたことが初めての経験であり、人生の大きなターニングポイントに直面しています。

明らかに許容量を超えており、冷静ではいられない状態です。

被害者と同様、パニックやメンタルの不安定、情緒不安定な状態にあると言えます。

したがって、加害者が自分の問題と向き合える精神状態になるよう、被害者と同様にメンタルケアも同時に行う必要があります。

加害者更生のプロセス

加害者更生のプロセスについては、これまでに元加害者の私の事例も踏まえて説明してきたので、今回は割愛します。

感情のコントロール法

ざっくり説明すると、怒りの感情をコントロールできるようになるために、感情日記(ジャーナリング)を行います。

これにより、自身のキレるポイントやマイルールを理解していきます。

また、感情のコントロールができるというのは、自分で自分の機嫌を取れるようになる、不機嫌さやストレスを相手にぶつけない状態です。

これらは元の性格には関係なく、能力やスキルとして身に付けることが可能です。

それらを行うには、自身の感情を理解することが必要なのです。

加害者に多い課題

加害者は、イライラがそのまま外に出るため、相手に怒りをぶつけてはいけないと注意していても、ぶつけてしまいます。

「つい怒ってしまった」「つい言ってしまった」という、事後報告を行いトラブルになる方ばかりです。

また、相手の気持ちがわからない発言をする人も特徴的です。

これらは、ASDやグレーゾーンなど本当に脳の特性上わからないのか、わかっているけどわからないフリをしているのかを見極める必要があります。

心理教育と掘り下げ

本当にわからない場合は、我々が相手の気持ちを想定するなどの心理教育を行います。

一方、わからないフリや、わかっているけどしたくない場合は、それらの理由を掘り下げる必要があります。

別居中のLINE添削

また、妻と別居中の場合は、連絡がLINE等のメッセージのみになるケースが多いです。

誤った内容やロミオメールを送付すると離婚につながるため、必ず添削を行います。

無意識のモラハラの指摘

加害者の方には「自身のどの部分がモラハラに該当するのかわからない」と仰る方もおられます。

怒鳴ったり、身体的DVなどを行なった場合は、当然自覚されています。

しかし、日常会話や面談、LINEの文章などから、無意識的に行なっているモラハラや受動攻撃に該当する点、デリカシーがないと思われる部分を分析します。

そして、言い回しや伝え方などを指導させていただきます。

【この記事を書いた人】

経験と専門性

  • 夫婦でモラハラの問題を克服した専門家
  • ASD・ADHDの混合型診断済み
  • モラハラ加害者としての更生を実現
  • 週刊文春オンラインでの3記事の連載で加害者心理と更生過程を完全公開

臨床経験(2010年〜)

カウンセラーとして幅広い支援経験

  • 公的機関での生活保護・生活困窮者自立支援
  • 福祉施設での精神疾患・発達障害者支援
  • うつ病の方の復職支援
  • 元受刑者・薬物依存者への更生支援
  • ひとり親・DV被害者相談
  • 企業内パワハラ相談
  • 自助グループ・セミナー開催

メディア掲載実績

新聞・雑誌掲載

  • 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
  • 産経新聞(2021年9月)
  • 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
  • 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
  • ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)

テレビ・ラジオ出演

  • NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
  • KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)

全国11媒体でモラハラ解決の専門家として紹介

モラハラの問題で苦しんでおられる方々の少しでも力になりたいと思っています。

まとめ

今回は、加害者体質改善講座で実際に行われる流れを説明しました。

加害者の方は、対外的には「良い人」であることが多く、我々にはなかなか本音を言いません。

そのため、自身の問題と向き合い始めるのが遅くなり、3ヶ月という支援期間内に解決に至らない方が多いのが特徴です。

もちろん、我々はそのようなことを望んでおらず、支援期間内に加害者体質を改善してほしいと願っています。

そのために全力でサポートいたします。

ただし、本人が覚悟を決めて、腹をくくって自身の問題と向き合う決意をしていただくことが、改善への第一歩となります。

この記事を書いた理由

本人が自身の傾向を理解し、モラハラ解決に何が必要かを再度考えていただきたい。

その想いから、この記事を執筆しました。

3つの段階を経て根本的な解決へ

また、冒頭でもお伝えしましたが、被害者体質改善講座と加害者体質改善講座は、あくまでも自身の体質を改善する段階、つまり①自己理解を行う段階です。

モラハラ問題の根本的な解決には、②相手理解、③相互理解を経て初めて到達します。

次回は、夫婦関係改善講座での流れをもとに、それらを詳しく説明していきます。

モラハラで苦しんでいるあなたへ

私たち夫婦も、かつては離婚寸前まで追い込まれました。

しかし諦めずに夫婦で協力し、モラハラの問題と真正面から向き合い、解決することができました。

現在は幸せに暮らしています。

すぐに離婚だと諦めないでください。解決への道は必ずあります。

私たちがどのようにして危機を乗り越えたのか、被害者妻と加害者夫の両方の目線でリアルに書いています。

もし「記事は理解できたけれど、うちの場合はどうすればいいのかわからない…」と感じているなら、一人で抱え込まず、ぜひ私たちにお話を聴かせてください。

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