モラハラ夫と話し合いができない理由と対処法

今回は、モラハラ夫と話し合いができない理由とその対処法について説明します。

夫との会話が難しいと相談に来られる被害者の方は多数いらっしゃいます。

夫との会話が難しい場合、最低限の会話しかしないという方法もありますが、夫が金銭管理をしている場合には承認が必要になったり、急用の際に妻が許可を取らずに物事を決めると後で夫から怒られたりすることが多いため、話し合いが出来ない関係性なのに話さないといけないという状況に陥ります。

では「どうやって夫と話せばいいのか」と悩む被害者妻の方々に対して、今回はモラハラ夫が一体何を考えているのか、そしてそのような夫にどう対処すれば良いのかを説明します。

読んでいただければわかると思いますが、我々が提案する対処法は、一般的なモラハラ解決の対処法とは異なります。

その理由は、一般的なモラハラカウンセラーや弁護士が基本的に離婚をゴールにしているのに対し、我々は基本的に再構築を念頭に置き、被害者へのモラハラ被害をなくすことをゴールにしているからです。

もちろん身体的虐待や子どもへの被害が及ぶ場合など生命に危機を感じる場合には今からご紹介する方法はお勧めできません。

あくまで再構築(復縁)を望んでいる場合や、現状で独立は難しいから離婚を後ろ倒しにしたい等の夫婦関係を改善したい場合にのみ行ってください。

今回は、過去に我々のセッションを受けた加害者の方々への聞き取りを元に、実際に試して効果があったもののみを紹介します。

長くなりますが、最後まで読んでいただければ幸いです。

この記事はこんな方におすすめです

  • モラハラ夫との会話がしんどいと思う方  
  • モラハラ夫のリアルな思考が知りたい方  
  • モラハラ夫への対処法が知りたい方

もくじ

  1. モラハラ夫と話し合いができない要因
  2. 話し合いの定義が違うから
  3. 話し合いをする習慣がないから
  4. 話し合いをすると損をすると思っているから
  5. 注意や指摘を攻撃と見なすから
  6. 話題に興味がないから
  7. 言葉が上手く出ないから
  8. 睡眠不足やストレスで慢性疲労しているから
  9. モラハラ夫への対処法
  10. ゴールを見直す
  11. 夫の言い分を聴く
  12. 損得勘定で伝える
  13. 話す場所を変える
  14. まとめ

モラハラ夫と話し合いができない要因

例えば、夫とは話し合いができないと一言で言っても、その態度は様々です。

モラハラ夫と話し合いが出来ない事例

  • 話に応じない、ごまかす、話題を変える
  • 聞こえないふりをする、無視する、黙る
  • キレる、大声で怒鳴る、逆質問を繰り返して混乱させられる

では、なぜモラハラ夫はそのような行動を取るのでしょうか? 

以前の僕の事例も交えて説明していきます。

話し合いの定義が違うから

一般的な話し合いの定義は、お互いの意見を話して相違点を理解し、歩み寄れる部分を探すことです。

しかし、モラハラ夫に多い話し合いの定義は異なります。

彼らは自分と他人との境界線がなく、妻が自分と同じ考えを持っていると信じ込み、妻に自分の意見があることを許さず、あるとも思っていません。

そのため、妻が夫が求める答え以外のことを言うと、夫は反対意見を言われたと感じ、責められた、攻撃されたと認識します。

そして、自己防衛のためにキレたり、怒鳴ったりするため、妻の話を聞けなくなります。

ちなみに、僕も以前は、自分の常識が世の中の常識だと思っていました。

そのため、自分の主張と真逆のことを言われると到底受け入れられず、すぐに他者とトラブルになっていました。

ですが、自分と他人との境界線を引くことで、他者の意見をだんだんと受け入れられるようになりました。

話し合いをする習慣がないから

モラハラ夫に多いのが、困ったことがあっても幼少期から人に相談せずに一人で解決してきたタイプです。

モラハラ夫が育った家庭環境では、親もモラハラ体質で支配的であり、何をやっても否定や批判をされ、弱音を吐くと罵詈雑言を浴びせられるような環境だったことが多いです。

そのため、相談できる環境ではなく、悩みがあっても誰にも相談せず、一人で抱えて解決する体質になりました。

結果として、話し合いをする習慣が身につかなかったのです。

また、重苦しい空気感が苦手で、その空気感を脅威と感じている場合もあります。

ちなみに、僕も妻と出会うまでは、人と話し合う習慣が全くありませんでした。

しかし、今では些細なことでも共有して話し合えるようになってきました。

話し合いをすると損をすると思っているから

これもモラ夫の中でも、特にASD(アスペルガー症候群)夫に多いのですが、過去に妻と話し合って夫が不利益を被った経験があるため、話し合いに応じなかったり、ごまかすなどの態度を取ることがあります。

例えば、妻から「家事を負担して欲しい」「子どもの塾の費用を出して欲しい」「夫の両親との仲を取り持って欲しい」といった要望は、ASD夫からすれば、それらは全て自分の負担が増えるばかりで、損ばかりする案件であり、回避したいと考えることがあります。

ASD夫は損得勘定が強く、自分の趣味にはお金を使いますが、子どもの塾や習い事には全く興味がないため、1円も出したくないというのが本音です。

このような理由から、話し合いに応じなくなったと思われます。

注意や指摘を攻撃と見なすから

ASD夫(アスペルガー症候群)に多いのが、妻からの些細な注意や指摘を自分の人格が「全否定された」と捉えて、話し合い自体に嫌悪感を持つ場合があります。

そのため、妻から攻撃を受けると感じ、責められると考え、話し合いに応じないことがあります。

例えば、夫に対して靴下を脱ぎっぱなしにしないで欲しい、部屋を片付けて欲しいというような話をすると、「何で俺ばかり責められないといけないんだ」「息子の部屋の方が汚いだろ」といった感情から、妻に攻撃的になることもあります。

話題に興味がないから

これも、モラハラ夫に多い思考であり、特にASD(アスペルガー症候群)夫によく見られる特徴です。

彼らは他人に興味を持たず、自分自身にしか興味を持たないことが多いです。

例えば、妻との話題は下記の内容が多いと思います。

妻との話題の事例

  • 育児や子どもの進路
  • 子どもの交友関係や地域の話
  • 妻の職場や友人関係の話
  • 妻の家族の話
  • 夫の親の話
  • 旅行や週末に行きたい場所

普通の夫婦であれば、これらの問題について共に話し合い、解決策を探ることが一般的ですが、ASD夫の場合は話題に全く興味がないため、適当にスルーしたり、ゲームやテレビを見ていて話に応じないことがあります。

ASD夫が育児や家庭のことに興味がない理由は「妻(母親)がそれらを担当するべきだという認識」があり「夫である自分には関係がない」と考えているからです。

ASD夫の脳内には、強固なマイルールがあり、「夫は外で働き、妻は家庭を守る」という昭和の結婚観を持っている場合がほとんどです。

言葉が上手く出ないから

モラハラ夫に見られるのが、妻から「あなたはどう思ってるの?」「あなたの意見を聞かせて」と意見を求められても、中々言葉が出ずにイライラしてしまい「俺をイライラさせた妻が悪い」という考えに脳内で変換し、衝動的に攻撃するというパターンです。

これらの衝動的な怒りが頻繁に起こる場合、ADHDの傾向があると考えられます。

ADHDの人は話しかけられても、すぐに言葉が出ませんし、答えがオープンクエスチョンになるものが苦手です。

オープン・クエスチョンとは、広く自身の考えを話せる自由回答の質問のことで、逆に「はいorいいえ」に限られたものはクローズド・クエスチョンといいます。

その理由は、ワーキングメモリ(作業記憶領域)が定型発達の人よりも低く、会話の中で相手からの情報量が多すぎて処理が追いつかず、適切な返答が出来ないからです。

また、何を好きで何が嫌なのか、現在の体調や疲労度、そして今の気持ちや欲求が理解しにくいため、自分の感情を表現することも苦手です。

自己理解をしていないから相手に簡潔に伝えることが難しく、コミュニケーションで嫌な思いをした経験があります。

その結果、嫌な記憶のフラッシュバック・回避行動や脳疲労からフラストレーションがたまり、怒りを爆発させることがあります。

定型発達の人はストレスを感じると、その原因を言葉にして理解し、受け入れて処理することができますが、ADHDの人は言語化能力が低いため、自分が何にストレスを感じているかを理解することが難しく、ストレスの処理も十分に行えないため、衝動的にキレてしまうことがあります。

睡眠不足やストレスで慢性疲労しているから

モラハラ夫に多い30代や40代の方は、中間管理職や経営者などのポジションが多く、仕事が非常に忙しい年齢層です。

立場上、責任を負わされ、複雑な業務をこなさなければならず、うまくいかないことが多く、精神的にもストレスが溜まります。

また、日々の残業や長時間労働による慢性的な肉体疲労や睡眠不足も重なり、肉体的にも精神的にも疲労し、常に余裕がない状態にあります。

そのため、雑談なら話ができても、重要な意思決定を要求される話には対応する余力がないことがあります。

このような話は集中力とエネルギーを必要とし、その状態では話し合いに応じることが難しいのです。

また、人間の脳には「扁桃体」と呼ばれる感情を処理する部位があります。

十分な睡眠を取れば、この扁桃体は感情の正常な処理を助けますが、睡眠不足やストレスによって自律神経のバランスが乱れると、扁桃体の機能が低下し、怒りの感情をうまく制御できなくなることがあります。

その結果、イライラしやすくなる要因にもなります。

モラハラ夫への対処法

ゴールを見直す

一般的な感覚を持つ方の話し合いのゴールは、お互いの意見を交換し、歩み寄れる点を探ることだと考えられますが、モラハラ加害者や発達障害やグレーゾーンの可能性がある夫の場合、このゴールを達成することは難しいかもしれません。

例えば、ASD(アスペルガー症候群)の夫の場合、脳の特性上、下記の特徴があります。

ASDの特徴

  • 相手の気持ちが理解しにくい
  • 他人に興味が持てない
  • 子どもに苦手意識がある

そのため、夫自身が発達障害であることを自覚し、問題に対処しない限り、相互理解や夫婦間の共感を築くことは難しいでしょう。

そのため、最初はあなたの意思が最低限伝わることを目標にし、夫の問題行動が少しずつ改善されることを期待する、といった長期的な視野で話し合いのゴールのハードルを下げることが重要です。

妻はよく「いつかは芽吹くかもと期待して種を撒いておくだけ。あとは自分が無理のないようにして、自然の流れに任せる」といいます。

みなさんも自分が更生させてやらないといけないと気負い過ぎないようにしてくださいね。

ASDや発達障害について更に詳しく知りたい方は、こちらの記事も参照にしてくださいね。

夫の言い分を聴く

まず、夫が話し合い自体に嫌悪感や不信感を抱いている場合、信頼関係を構築するためには、夫の話を否定せず、批判せずにただ聴くことが重要です。

これまでの夫との会話を振り返ってみて、自分の正論や意見を押し付けていた場合は、それを控えることを試してみてください。

まずは、夫の興味がありそうな話題や趣味について振ってみてください。

その話題について深く掘り下げ、夫の意見や感想を引き出す努力をしましょう。

相槌や頷きも活用して、会話を促進させることが重要です。

これらのアプローチを通じて、夫はあなたとの会話を安全な場と感じるようになり、警戒心を解いて心を開いてくれるでしょう。

損得勘定で伝える

例えば、ASD夫に家事を手伝ってほしい場合は「家事代行を頼むと月に◯万円かかるため、家計が苦しくなる」と具体的な数字を伝えると、ASD夫にとって理解しやすいでしょう。

また、部屋を出る際には「電気を消してほしい」と単に言うのではなく「年間で◯万円も電気代がかかるから必ず消してね」と具体的に伝える方が効果的です。

子どもの習い事の費用についても、夫が出し渋る場合は「あなたのお小遣いが減り、外食がお弁当に変わる」と具体的に伝えることで、夫が危機感を持って対応する可能性があります。

また、夫が生活費を十分に出さない、もしくはギリギリの金額しか出さない場合は、経済的DVに該当する可能性があります。

この点について、夫に対して明確に伝えることが重要です。

さらに、婚姻費用は夫婦で分担する法的な義務があります。

婚姻費用を適切に分担しなかった場合、それが離婚の事由として認められることもあります。

この事実を夫に理解させ、責任を果たすよう促すことが必要です。

夫に対して、このような法的・財政的な責任について説明し、共に解決策を模索することが、問題の改善につながるでしょう。

夫の両親との関係についても「このままでは私が精神的に参ってしまい、うつ病になるかもしれない」「あなたの両親のことが嫌いになれば、あなたと一緒に暮らすのは無理だと思う」と具体的な影響を伝えることで、夫が現実的な視点で考えるきっかけになるでしょう。

話す場所を変える

ASDの夫の場合、特定の場所や環境に対する拘りがあることがあります。

自宅が「くつろぐ場所」や「寝る場所」として定義されている場合、その環境での話し合いは難しい場合があります。

そうした場合には、カフェや車の中など環境を変えて話をすると、夫が急に話し出す場合があります。

私も自宅では集中できないことがありますが、カフェで作業すると何時間も集中できます。

また、妻との深い会話をする際は、ドライブ中が多いです。

自宅と外では明らかに夫の態度が違う場合は、環境を変えての話し合いをお勧めします。

まとめ

今回も最後まで読んでいただきありがとうございました。

モラハラ夫には、具体的に且つ法律などを交えて伝えると損得勘定が刺激され、行動が変容しやすいと思います。

まずは、出来そうな項目から改善して頂ければと思います。

あなたが一日でも早く、その苦しみから解放され、少しでも生きやすくなるために、私たちリジェネはサポートさせていただきます。

モラハラ夫から自分自身や大切なお子さんを守るためにも、実践していただければと思います。

モラハラ被害を受けておられる方は、一人で抱え込まずに、まずは気軽にご相談してくださいね。

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また、モラハラ被害により心身ともに疲れている方は、カサンドラ症候群になっている可能性がありますので下記のチェックリストも試して頂ければと思います。

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