モラハラ=自己愛性パーソナリティ障害ではありません
今回は「モラハラ=自己愛性パーソナリティ障害ではない」理由を説明していきます。
モラハラに至るには、自己愛性パーソナリティ障害以外にも様々な要因があることを知って頂きたいと思って、この記事を書きました。
長くはなりますが最後まで読んで頂ければ幸いです。
この記事はこんな方におすすめです
- モラハラは治らないと思っている方
- モラハラ加害者は治らないと思っている方
- モラハラ被害を受けている方
もくじ
- モラハラ=自己愛性パーソナリティ障害ではない理由
- モラハラ業界の現状
- ADHD
- ASD(アスペルガー症候群)
- 双極性障害
- 愛着障害
- アルコール依存症
- セックス依存症
- 慢性的なストレスと睡眠不足
- さいごに
モラハラ=自己愛性パーソナリティ障害ではない理由
「モラハラ=自己愛性パーソナリティ障害」「自己愛性パーソナリティ障害だから、モラハラは治らない」「モラハラ=離婚」という風潮が世間に蔓延していますが、私はこの風潮に異議があります。
これまで数多くのモラハラ加害者と面談をしてきた中で、モラハラに至る要因は自己愛性パーソナリティ障害傾向だけではなく、発達障害であるASD(アスペルガー)やADHD傾向に該当する、グレーゾーンの方が圧倒的に多かったことが分かりました。
自己愛性パーソナリティ障害のモラハラ加害者は一般的に「悪意を持って相手に暴言を吐いている」というイメージが定着していますが、実際に加害者の方と対峙して感じたのは、モラハラをする際には「悪意はなく、衝動的にキレている」「99%の加害者の方が自身の怒りの感情のコントロールが出来ずにキレている」ということでした。
日本最高学位の大学院を卒業された方々でさえ、このような傾向が見られました。頭脳明晰であっても、「自身の怒りのコントロールはできないのです」
まだまだ一般の人々の中では、発達障害という用語がその名前から、能力の発達に制約があるか劣る人々を指すという誤解を持つ方が多いです。
しかし、実際には発達障害は生まれつきの脳の特性であり、病気ではありません。
この用語は、生まれつきの脳機能の偏りを持つ状態を指しています。
脳の機能に偏りがあるため、思考や行動パターンが独自の特徴を持つようになります。
定型発達の人々であっても、注意力が散漫になることやストレスが溜まると普段は気にならないことでもイライラすることは誰にでも起こり得ることだと思います。
ですので、発達障害の人々は、これらの特性が極端な人だと考えていただければ良いと思います。
また、発達障害は知的障害と混同されたり、IQが低いという誤った印象を持たれることもありますが、実際には発達障害と診断されるためにはIQが70以上である必要があり、知的障害とは異なります。
特に、ASD(アスペルガー症候群)の人々は、一般のIQ平均値である90を遥かに上回る、120以上のIQを持つ人々も多く存在します。
実際、彼らは大企業の経営者や専門職、教授、研究者などとしても多くの成功を収めています。
2020年の厚生労働省発表によると、発達障害と診断された人の数は全国で約48万人、さらに潜在的には800万人が該当するとも言われています。
一方で、自己愛性パーソナリティ障害の有病率については、厚生労働省の公式発表が存在せず、ネット上の情報によれば1%未満であり、境界性パーソナリティ障害も1%とされますが、これらの数値は実際に診断されたものではなく、出所が不明確なため、信憑性には欠けると言わざるを得ません。
これらの数値を見てもわかるように、モラハラに至るのは自己愛性などのパーソナリティ障害よりも、発達障害(ASD・ADHD)の方が圧倒的に多いと言えます。
体感としても、以前に私は公的機関での面談員を10年以上行ってきましたが、対象者の方の傾向として自覚のない発達障害の方、グレーゾーンの方が圧倒的に多いと実感しています。
程度はありますが、感情の処理やコントロールが苦手であったり、理解力や国語力が乏しく、その中で攻撃性が強い人や暴言を吐く人も、かなりおられました。
ですので、皆さんには「モラハラ=自己愛性パーソナリティ障害」に固執するのではなく、発達障害(ASD・ADHD)や、その他の可能性も含めて考えて頂ければと思っています。
何が言いたいかと言うと、「モラハラ夫=自己愛性だから治らない」「モラハラ=離婚」と誤った風潮に振り回されるのではなく、また「あなたの大切な人生を諦めるのではなく」発達障害などの知識を身に付ければ対応できますので、ぜひ、少しでも希望を持って取り組んで頂ければと思っております。
モラハラ業界の現状
モラハラ業界は、1998年にフランスの精神科医、マリー=フランス・イルゴイエンヌによって提唱されて以来、ほぼアップデートされていない状況が続いています。
また、支援者の中には、今でも1999年初版当時の書籍を参考にしている方々が多く見受けられます。
モラハラに至る要因は当然ながら、一人ひとりの成育環境や現在の家庭環境など、様々な要因が複合的に絡み合い、発症することがほとんどです。
これらに対処するためには、常に新しい知識を学び、問題解決において様々な可能性を多面的に考慮する必要があります。
モラハラの要因は主に怒りの感情がコントロールできないことにあります。
以下では、怒りの感情を制御しにくい精神障害や状況について説明していきます。
長くなりますが、さいごまでご一読いただければ幸いです。
ADHD
ADHDは、発達障害の一つであり、注意欠如および多動性障害とも呼ばれています。ADHDの人々は、行動や感情のコントロールが苦手な場合が多く、すぐに感情的になり、乱暴な行動を取ることがあります。
ワーキングメモリ(作業記憶)の低さから、ストレスに対する許容量が定型発達の人よりも低く、感情の制御が困難なため、衝動的にキレてしまいます。
また、頭に浮かんだことや心の声が衝動的に出てしまい、悪意はなくても感情が爆発してしまうことがあります。
また、怒りの感情に囚われている時に「なぜ怒っているのか」を言語化することが苦手なため処理が出来ず、衝動的に癇癪ギレを起こすことがあります。
例えば、会話中に納得できないことがあると、突然怒鳴ったり机を叩いたりすることもあります。
特性上、感情を抑えることが難しく、相手の話を遮ったり、会話を早く終わらせようとすることもあります。
ASD(アスペルガー症候群)
ASDは発達障害の一つであり、以前はアスペルガー症候群と呼ばれていましたが、現在では自閉症スペクトラム障害(ASD)という用語で、自閉症、高機能自閉症、アスペルガー症候群などが含まれる総称です。
特徴として、相手の感情が理解しづらい、空気を読むことが難しい、曖昧なコミュニケーションが苦手、自分のルールや習慣に強く固執する、異なる価値観を受け入れにくい、白黒思考や極端な完璧主義の傾向があります。
これらの特性により、さまざまな社会的な場面で他人とのコミュニケーションや関わりに難しさが生じることが多いです。
自分のルールに異常に執着する傾向から、些細な違いでも受け入れがたく、衝動的に癇癪ギレを起こすことがあります。
例えば、病気で寝込んでいる妻に対しても、「専業主婦なら晩ごはんくらい作れるだろう」「怠けるなんて理解できない」といったような非理論的な発言が見られることがあります。
このような発言の背後には、「自分は熱があっても外で仕事をしているのに、妻が家事をサボるのは公平ではない」といった考え方が影響しています。
双極性障害
双極性障害は、以前は躁うつ病と呼ばれ、気分が異常に高揚する躁状態と気分が沈む鬱状態の両極端な状態が交互に現れる病気です。
しばしばうつ病と混同されますが、実際には異なる疾患です。
一般的にはうつ状態がより頻繁に見られ、その原因は脳内物質の増減に起因するとされています。
躁状態の時には、活動が活発になり、「自分は偉い」「俺は何をやっても成功する」といった万能感を感じるなど、いわゆる「ハイ」な状態になります。
この万能感から自意識過剰に陥り、他人の能力が劣っているように見え、見下した様な傲慢な態度を取ることがあります。
また、自分の思い通りに進まないと些細なことでイライラし、驚くほどの剣幕で怒ることもあります。
この様にトラブルを引き起こす一方で、本人は病的な側面に気付きにくいことがあります。
そのため、人間関係の悪化や社会的信用の喪失など、後になって問題が浮かび上がることがあります。
愛着障害
愛着障害は、乳幼児期の虐待やネグレクトにより、母親や父親などの養育者との安定した愛着が絶たれたことで引き起こされる障害を指します。
「人に甘えること」や「誰かを信頼する」などの経験値が極端に低いため、自分に向けられる愛情や好意に対しての応答が、怒りや無関心となってしまう状態を指します。
愛着障害の特徴として「他人を信用できない」「自己肯定感が低い」「他人の発言に敏感」などがあります。
これらの特徴から、人との適切な距離感がわからないため、パートナーとの情緒的な関係を築きにくいことがあります。
これらはASDに類似しています。
夫婦などの親密な関係においては、人間不信の不安を解消するために、パートナーが常に自分に愛情を抱いているかを確認するために試し行動を行うことがあります。
具体的には、「パートナーを人格否定する」「不機嫌な空気を出す」「無視をする」「すぐに離婚だ」と言うなど、モラハラの発言や行動が目立ちます。
これらは境界性パーソナリティ障害の特徴と類似しています。
また「怒りの感情がコントロールできない」「白黒思考」などの特徴もあり、
暴力的且つ衝動的にキレることがあります。
また、機能不全家庭では愛着障害のリスクが高まります。
社会的に立派とされる家庭でも問題があり、父親の育児への不参加やDVやモラハラ、過保護や過干渉、母親の不安定な精神状態、兄弟姉妹間の差別などが原因にあげられます。
上記と同じ様な症状として、アダルトチルドレンも該当します。
基本的に愛着障害は幼少期の子供に見られるものですが、子どもの頃に気付かずに症状が改善されないまま成長すると、大人の愛着障害としても現れることがあります。
ちなみに愛着障害は心理学用語のため、症状名ではありません。
アルコール依存症
アルコール依存症とは、長期間にわたり大量のアルコールを摂取し続けたことにより、アルコールを摂取し続けないといられない状態に陥った病気のことを指します。
アルコール依存症の原因は意志の弱さや性格傾向ではなく、長期間にわたる過剰摂取が原因です。
アルコールがいつも体内にある状態が続くと、脳はそれが普通の状態だと認識し、アルコールが抜けてくると離脱症状(禁断症状)が出てきます。
代表的な症状は、手の震え、吐き気、イライラ、不安感、うつ状態などです。
これらの離脱症状により、脳内の神経系が不安定になり、怒りの感情が増幅され、暴言や怒鳴るに至る要因と思われます。
総じて、アルコール依存症の離脱症状が怒りの感情を引き起こす理由は、生理的な変化や神経系の不安定化、仕事や人間関係の問題によるストレスの増加などが絡み合っています。
アルコール依存症は自力で治すことは難しいため、医師などの専門家の元での適切な治療が必要です。
セックス依存症
タイガーウッズの出来事によって広く知られるようになった「セックス依存症」という言葉ですが、実際の臨床現場では「セックス依存症」「性依存症」といった診断名は使用されていません。
その代わりに「性嗜好障害」という類似の疾患名が用いられています。また、「強迫的性行動症」と呼ばれることもありますが、これらの定義は明確ではないため、ここでは広義の性依存症として説明していきます。
この症状は、特定の性的行動への依存症(嗜好)を指します。
主に性行為に依存する方が多いため、「セックス依存症」と呼ばれることもありますが、依存する対象は相手を必要とする性行為だけでなく、自慰行為の過剰な実施なども含まれます。
また、誤解されがちですが、単に性欲が強い、性行為が好きということとは異なります。
こうした性的な行動への異常な執着や固執が、社会的に不利益な状況に陥ったとしても止めることができない状態を指します。
なお、セックスや自慰行為以外の性依存症に該当する行為として、風俗通い、浮気や不倫、盗撮、露出、ストーキング、痴漢、強姦などが挙げられます。
これらの行為によって得られる性的興奮や刺激への依存が習慣化し、徐々に自制心を失っていきます。
具体的な問題として挙げられる「性依存症」とは、性的欲求が頭から離れず、浮気や不倫によってパートナーを傷つけたり、不特定多数の相手と性的肉体関係を持つことによって性感染症に感染するなど、「不利益な状況になってもやめられない」状態を指します。
また、風俗通いがやめられず多額の借金を背負ったり、自慰行為がやめられず会社に遅刻するなど、不利益を被ることが明白であっても止めることができない状態も性依存症とされます。
次に、性的DVとの関連性について説明します。
夫婦間の性的DVは通常、夫が妻に対して無理やり性的な行為を強要したり、妻が拒否すると暴力や暴言を行使して、夫の望む性的行動を強制しようとする問題です。しかし、夫婦であるからといって性的な行為を強要することは一切許されません。妻が本人の意志に反する性的行為を強制される場合、それは性的DVに該当する可能性があります。
性依存症の人が怒りの感情をコントロールできない理由は主に2つあります。
まず、一つ目は欲求不満です。
性依存症の人は自身の性的欲求を満たすことに強い欲求を持ち、この欲求が満たされない場合に感情のコントロールが難しくなり、怒りに囚われる傾向があります。
二つ目は自己抑制の困難さです。
性依存症の人は、自己抑制を保つことが難しく、性的な欲求や衝動を制御するのが難しいため、怒りの感情に囚われて衝動的にキレることがあります。
セックス依存症についても自力で治すことは難しいため、医師などの専門家の元での適切な治療が必要です。
慢性的なストレスと睡眠不足
モラハラ夫に多い年代の30代や40代の方々は、通常、中間管理職や経営者などのポジションについており、仕事が最も忙しい年齢層です。
彼らは立場上、責任を負い、難しい業務を求められるため、うまくいかないことが多く、精神的なストレスが積み重なる状況となります。
さらに、日々の残業による持続的な肉体的疲労や睡眠不足が、身体的にも精神的にも疲労を引き起こし、常に余裕がない状態が続きます。
そのため、普段は許容できるであろうことでも些細なことで怒りを爆発させる傾向が見られます。
また、人間の脳には「扁桃体」という感情を処理する部位が存在します。
十分な睡眠を確保すれば、この扁桃体は感情を適切に処理する役割を果たしますが、睡眠不足などで自律神経のバランスが崩れると、扁桃体が適切に機能せず、怒りの感情をコントロールすることが難しくなります。
さいごに
さいごまでご一読いただき、ありがとうございました。
自己愛性パーソナリティ障害以外のモラハラに至る要因も理解して頂けたと思います。
ただ、ウチのモラハラ夫が具体的にどの症状に該当するのか分からない方もいらっしゃるかもしれません。
そのような場合は、どうぞ気軽にご相談くださいね。
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