兄弟間の経済的DVと、子どもたちへの影響
私は支援の中で、家族間の経済的DVに苦しむ方々と関わってきました。
経済的DVは、夫婦間だけでなく、親子間、兄弟姉妹間でも起こります。
今回は、家族間で起こる経済的DVの様々なパターンと、特に見落とされがちな兄弟姉妹間での経済的DVについて、支援者の視点からお伝えします。
※この記事は特定の個人ではなく、複数の支援経験から得た知見をまとめたものです。
もくじ
- 経済的DVとは
- 夫婦間の経済的DV
- 親子間の経済的DV
- 兄弟姉妹間の経済的DV
- 子どもを利用した搾取の手口
- 家族全体に広がる搾取構造
- 子どもへの深刻な影響
- 支援者として見た、搾取の本質
- 支援者として感じること
- 経済的DVから逃れるために
- まとめ|搾取の連鎖を断ち切る
- このような方へ
経済的DVとは
経済的DVとは、経済的な力を利用して相手を支配・搾取する行為です。
モラハラやDVという言葉だけでは、自分がされている被害を上手く認識できない方もいらっしゃいます。
水が上から下に流れるように力関係が作用されるパワーゲームです。
自分がされていることに違和感を感じられた場合は、いちど以下の特徴を読んでみてください。
経済的DVの主な特徴
- 金銭を一方的に負担させる
- 生活費を渡さない、または不当に少ない
- 相手の収入を管理・搾取する
- 借金を背負わせる
- 返済しない、感謝もしない
これらは、身体的暴力がなくても深刻な被害をもたらします。
夫婦間の経済的DV
最も認知されているのが、夫婦間の経済的DVです。
よくあるパターン
収入がある側からの支配
- 生活費を渡さない、または極端に少ない
- 家計の使い道を細かく監視・批判する
- 働くことを許さない、または強制する
- 相手名義で借金をさせる
専業主婦(主夫)への搾取
- 「俺が稼いだ金だ」と主張する
- 必要な生活費すら出し渋る
- 自分の小遣いは自由に使う
親子間の経済的DV
親から子、または子から親への経済的DVも存在します。
親から子へのパターン
成人した子どもへの搾取
- 子どもの収入を取り上げる
- 貯金を勝手に使う
- 働いても自由になるお金がない
- 結婚や独立を妨げる
未成年の子どもへのネグレクト
- 必要な物を買わない
- 給食費・教材費を払わない
- 子どもに罪悪感を持たせる
子から親へのパターン(親の高齢化)
- 親の年金を取り上げる
- 必要な医療費・介護費を出さない
- 親の財産を勝手に使う
兄弟姉妹間の経済的DV
最も見落とされがちなのが、兄弟姉妹間での経済的DVです。
「家族なんだから助け合うのは当然」という意識が強く、被害者自身も気づきにくい特徴があります。
よく見られるパターン
- 「財布を忘れた」と嘘をつき、金銭を負担させる
- 返済すると言いながら、一度も返さない
- 子どもを利用して、周囲に金を出させる
- 感謝や謝罪が一切ない
- 指摘すると逆ギレする
このような行動が繰り返されると、被害者は「断れない」「言えない」という状態に追い込まれていきます。
特徴
- 経済的自立を妨げることで、逃げられなくする
- DVであることに本人が気づきにくい
- 「家族のため」と正当化される
子どもを利用した搾取の手口
兄弟姉妹間の経済的DVでは、しばしば子どもが利用されます。
典型的な手口
1. 子どもに我慢させる姿を見せる
- 子どもが何かを欲しがっても、親が買わない
- 周囲が見かねて金を出すのを待つ
- 「子どもがかわいそう」という感情を利用
2. 食事や外出でも同様
- 外食の支払いを他者に負担させる
- 「財布を忘れた」などの言い訳を繰り返す
- 感謝の言葉もなく、当然のように受け取る
3. 過去の恩を持ち出す
- 指摘すると「昔、面倒を見てやった」と逆ギレ
- 実際には大したことをしていない
- 数十年前の出来事を持ち出して正当化
家族全体に広がる搾取構造
家族全体に広がる搾取構造
このような経済的DVは、一人だけでなく家族全体に及ぶことがあります。
複数の被害者が生まれる
- 同居する高齢者の年金を没収
- 成人した子どもに過剰な負担をさせる
- 生活費よりも自分の嗜好品を優先
- ライフラインが止まることが日常化
ギャンブル依存との関連
経済的DVの背景には、ギャンブル依存が関わっていることも多くあります。
- 生活費を使い込む
- 自分の収入を明かさない
- 働かず、家族に負担を強いる
子どもへの深刻な影響
このような環境で育つ子どもには、深刻な影響が出ます。
ネグレクト状態
- 必要な物を買ってもらえない
- 給食費などの学校費用が未払い
- 肩身の狭い思いをする
過干渉と支配
一方で、過度な干渉と支配も行われることがあります。
- 交友関係への過剰な介入
- 進路の自由を奪う
- 「所有物」として扱う発言
ヤングケアラー化
- 親の代わりに兄弟の世話をさせられる
- 家事を一手に引き受ける
- 自分の時間や友人関係を犠牲にする
支援者として見た、搾取の本質
このような家族の問題の本質は、人を利用することしか考えていないことです。
共通する特徴
- デリカシーや常識がない
- 感謝や謝罪をしない
- 指摘すると逆ギレする
- 周囲を巻き込んで孤立させる
最大の被害者は子ども
成人した被害者は、距離を取ることができます。
しかし、子どもは逃げられません。
日常的にネグレクトを受け、必要な物を買ってもらえず、肩身の狭い思いをしています。
支援者として感じること
私自身、正直に言えば子どもが得意ではありません。
私はASDの特性があり、子どもの予測不可能な動きや大声が苦手です。
しかし、このような環境にいる子どもたちの状況を見聞きすると、不憫で見ていられなくなります。
子どもたちに必要なもの
支援の中で見えてくるのは、これらの子どもたちには普通の家庭では当たり前に与えられているものが欠けているということです。
- 安心してお菓子を食べられる環境
- 年齢相応の娯楽を楽しむ機会
- お腹いっぱい食事ができる安心感
- 誕生日を祝ってもらえる経験
これらは特別なことではなく、子どもの健全な成長に必要な基本的な経験です。
こうした当たり前の経験が奪われている子どもたちを見ると、支援者として心が痛みます。
経済的DVから逃れるために
被害者にできること
1. 距離を取る
- 物理的に離れることが最も効果的
- 連絡手段を制限する
- 「断る」練習をする
2. 記録をつける
- いつ、何を要求されたか記録する
- 金銭のやり取りを記録する
- 証拠を残しておく
3. 第三者に相談する
- 一人で抱え込まない
- 専門家に相談する
- 客観的な視点を得る
子どもを守るために
周囲にこのような家族がいる場合、以下の対応が考えられます。
- 児童相談所への相談
- 学校への相談
- できる範囲での見守り
まとめ|搾取の連鎖を断ち切る
家族間の経済的DVは、夫婦間・親子間・兄弟姉妹間と、様々な形で存在します。
表に出にくい問題ですが、確実に存在し、多くの人が苦しんでいます。
特に、子どもたちは逃げ場がありません。
被害者が「断れない」「言えない」という状態から抜け出すには、適切なサポートが必要です。
リジェネでは、このような被害者体質からの脱却をサポートしています。
- 「断る」力をつける
- 自分を守る選択ができるようになる
- 罪悪感から解放される
一人で抱え込まず、ぜひご相談ください。
このような方へ
- 家族から経済的に搾取されている
- 断れなくて苦しい
- 子どもが巻き込まれている
- 距離を取りたいが罪悪感がある
そんな方は、一人で悩まず、専門家にご相談ください。
初回相談(50分)は無料です
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【この記事を書いた人】
経験と専門性
- 夫婦でモラハラの問題を克服した専門家
- ASD・ADHDの混合型診断済み
- モラハラ加害者としての更生を実現
- 週刊文春オンラインでの3記事の連載で加害者心理と更生過程を完全公開
臨床経験(2010年〜)
カウンセラーとして幅広い支援経験
- 公的機関での生活保護・生活困窮者自立支援
- 福祉施設での精神疾患・発達障害者支援
- うつ病の方の復職支援
- 元受刑者・薬物依存者への更生支援
- ひとり親・DV被害者相談
- 企業内パワハラ相談
- 自助グループ・セミナー開催
メディア掲載実績
新聞・雑誌掲載
- 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
- 産経新聞(2021年9月)
- 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
- 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
- ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)
テレビ・ラジオ出演
- NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
- KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)
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