モラハラ被害者が自分ばかり責めてしまう本当の理由

  • 「今日もちゃんとできなかった」
  • 「私がもっと頑張れば」
  • 「どうして私はいつもこうなんだろう」

私は相談員として日々多くの方のお話をお聞きしていますが、こういう言葉を口にされる方は本当に多いです。
モラハラの相談にいらっしゃる方の多くが、最初の面談でこういった自分への責め方をされています。

  • 家事が終わらなかった
  • 子どもに強く言ってしまった
  • パートナーの機嫌を損ねてしまった

こういう出来事があるたびに「私がダメだから」と自分を責めてしまう。
この癖は、単なる性格の問題ではなく、いくつかの要因が積み重なって作られています。
今回は、モラハラ被害者の方が自分を責めてしまう仕組みと、そこから抜け出すための方法を説明していきます。

もくじ

  1. 自分を責める癖は、どうやって作られるのか
  2. 「できるはず」という基準が、どこから来たのかを確認する
  3. 頭の中の「監視カメラ」の仕組み
  4. 自分を責める癖と、どう付き合っていくか

自分を責める癖は、どうやって作られるのか

「自分を責めやすい人」には、共通するいくつかの背景があります。

一つ目は、幼少期から「できて当たり前」を求められてきたことです。
できたことより、できなかったことに注目されて育つと「できて当然、できなくて特別悪い」という評価軸が身についてしまいます。

二つ目は、対人関係の中で「相手の機嫌を損ねると危険」という学習が起きていることです。
特にモラハラのようなパートナーとの関係の中では、相手が不機嫌になる原因を、無意識のうちに「自分の落ち度」として処理するようになります。
これは自分を守るための対処法として、脳が編み出した仕組みでもあります。

三つ目は、「完璧にできれば、責められずに済む」という思い込みです。
一つでも失敗すると全てが台無しになる、という感覚が強いと、日常のあらゆる場面が「成功」か「失敗」かの二択になっていきます。

ある女性は、毎朝、家を出る前に「今日も何かやらかすんじゃないか」と不安になっていました。

  • お弁当のおかずが一品少ない
  • 洗濯物を干すのが少し遅れる

そんな些細なことでも、頭の中で「母親失格だ」という声が響いていたそうです。
実際にはこの方は家事も育児も十分すぎるほどこなしていましたが、本人の中では「全然できていない」という感覚だけが積み重なっていました。

これは特別なことではなく、自分を責めやすい方の多くに見られるパターンです。

「できるはず」という基準が、どこから来たのかを確認する

自分を責め続けている人の頭の中には、必ず「できるはず」という基準があります。

  • 普通の人なら、家事くらいちゃんとできるはず
  • 普通の親なら、子どもに優しくできるはず
  • 普通の社会人なら、これくらいの仕事はこなせるはず

ここで大切なのは、その基準が「自分の価値観」ではなく「世間で良いと言われている価値観」であることが多い、という点です。

  • 親から言われ続けた言葉
  • 以前の職場の上司の口癖
  • パートナーから繰り返し聞かされた「普通は」
  • SNSで目にする、誰かの頑張り

こうした外部からの基準が、いつの間にか自分の中の「絶対的な正解」として居座ってしまう。
そして、その基準に届かないたびに「できない私はダメだ」というジャッジが下される仕組みができあがります。

この対処の第一歩は、「この基準は、そもそも誰のものか?」を確認することです。
「できて当然」だと思っていることを一つ選んで「これは誰から、いつ頃、どんな場面で刷り込まれたものか」を振り返ってみてください。
その価値観の根源が分かることで「これは絶対的な価値観ではなく、親から刷り込まれた基準だった」と気づくきっかけになります。

頭の中の「監視カメラ」の仕組み

  • 「ちゃんとしなさい」
  • 「もっと頑張りなさい」
  • 「普通はこうするものよ」

こういう言葉を、子どもの頃や、それ以降の人間関係の中で繰り返し言われてきた方は、その声が頭の中に住み着いてしまいます。

毎回の面談の中では、これを「脳内に住み着いた監視カメラ」とお伝えしています。
発言した本人が目の前にいなくても、頭の中でその声が再生され続ける状態です。
何かをしようとするたびに、「それで大丈夫?」「ちゃんとできてる?」と監視してくる。

この声の多くは、母親であることが多いです。

厄介なのは、この監視カメラが「良かった部分」をほとんど記録しないことです。
できたことは当たり前として素通りし、できなかったことだけを繰り返し再生する。
この偏った記録の取り方が「自分はいつも足りていない」という感覚を強化していきます。

この偏りに気づくための簡単な方法があります。
一日の終わりに「今日、監視カメラの声が聞こえた場面」を一つだけ書き出してみてください。
そして、その声が「誰の口調に似ているか」も一緒にメモします。
声の主が分かると、「これは今の自分の考えではなく、過去に刷り込まれた声だ」と切り分けやすくなります。

自分を責める癖と、どう付き合っていくか

自分を責め続けている人は、実はとても真面目で、誠実な人です。
自分のできなかったことに、ちゃんと向き合おうとしている証拠でもあります。
本当にどうでもいいと思っている人は、そもそも自分を責めません。

ただ、この向き合い方が、いつの間にか自分自身を追い詰める方向に働いてしまっている。
それが、多くの方に共通する状態です。

ここから抜け出すための現実的な一歩は、「完璧にやめる」ことではなく「基準を緩める練習をする」ことです。

  • 「できるはず」と思ったら、その基準の出どころ、根源を確認する
  • 一日の終わりに「今日できたこと」を、当たり前のことも含めて数える
  • 監視カメラの声が聞こえたら「今、監視カメラが作動しているな」と実況する

これらは、どれも今日から一人で始められる方法です。
クセ自体は、すぐに消えるものではありませんが、続けるうちに「私はダメだ」という結論に至るまでの時間が、少しずつ長くなっていきます。

相談員としてこれまで多くの方の変化を見てきましたが、この「監視カメラ」の存在に気づけた瞬間から、自分への接し方が変わり始める方がほとんどです。
気づくことが、最初の、そして一番大事な一歩になります。

次回は、この「自分を責める人」と「相手を責める人」が、実は同じ根っこを持っているというお話をします。

【この記事を書いた人】

経験と専門性

  • 夫婦でモラハラを解決した実体験者
  • 2015年から2500件超の相談解決実績
  • 行動心理学をベースとしたモラハラ加害者・被害者の心理分析
  • 加害者と被害者の思考・行動パターンの解明と改善指導
  • 発達障害特性を持つ夫婦関係の調整とサポート
  • カサンドラ症候群からの回復支援
  • 夫婦間コミュニケーション改善や改善方法の開発
  • 同じ経験を持つ専門家として、あなたの状況に寄り添うことが可能

メディア掲載実績

新聞・雑誌掲載

  • 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
  • 産経新聞(2021年9月)
  • 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
  • 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
  • ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)

テレビ・ラジオ出演

  • NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
  • KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)

全国12媒体でモラハラ解決の専門家として紹介

モラハラの問題で苦しんでおられる方々の少しでも力になりたいと思っています。

モラハラで苦しんでいるあなたへ

私たち夫婦も、かつては離婚寸前まで追い込まれました。

しかし諦めずに夫婦で協力し、モラハラの問題と真正面から向き合い、解決することができました。

現在は幸せに暮らしています。

すぐに離婚だと諦めないでください。解決への道は必ずあります。

私たちがどのようにして危機を乗り越えたのか、被害者妻と加害者夫の両方の目線でリアルに書いています。

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