モラハラを乗り越えた妻の記録

私目線でのモラハラ克服というものを過去に書いていますが、読み返すと恥ずかしい文章でブラッシュアップを兼ねてよく質問される内容を追記し書き直そうと思います。

モラハラを乗り越えた経験というと一方的に私が「かわいそうな妻」で夫が「極悪差別主義者」という認識をされるかもしれませんが違います。

過去に新聞取材を受けたものがYahoo!に転載され「この人はまだ洗脳されている」「こんなことで治るのはモラハラじゃない」等、様々なコメントをいただきました。

数年前ですが、よく覚えていますよ。

こうやって糧にする図太い女がモラハラされていたなんて信じられないですよね。

私もそう思います。

というのは冗談(半分)ですが、実際にどのようなモラハラを当時受けていたのかというと今でも上手く説明できる自信がありません。

私の感じていたことは常に息苦しいです。

私は確かに一般的に想像される被害者像とはかけ離れていると思います。

自由が好きで、年長者や男だからという理由で偉そうにしている人とは肌が合わず、仕事選びは、料理人や外資系企業等自身の能力値で決まるものを好んでいました。

上司にも間違っていると思うものは遠慮なく言えますし、肝が据わっているとよくいわれます。

では、なぜこのような人間が被害者になるのかについて今回は話したいと思います。

私の被害者体質の流れを詳細に書きますので長くはなりますが、最後までお読み頂ければ幸いです。

もくじ

  1. モラハラはパワーゲーム
  2. 二次被害
  3. 納得できない
  4. 夫のモラハラってなんか違う
  5. 困難は乗り越えられる
  6. ポジティブだけじゃダメだった
  7. モラハラ被害者になりやすい人間
  8. 幼少期
  9. 夫の発達障害について
  10. 配慮はするけど、遠慮はしない
  11. 違いを楽しむ
  12. さいごに

モラハラはパワーゲーム

モラハラを受けていた時期は、夫と暮らしていると本当に全て夫の思い通りにいかないと機嫌を損なう状況でした。

はっきりとした暴言というものはほとんどないのですが、全て夫が正しい=私が間違っているという図式にされる空間で頭がおかしくなりそうでした。

私が100%悪かったことを元に話されることや、年齢も上で社会経験も自分よりあるという事実などを織り交ぜて冷静に説教されると「私が間違っているのかな」と誰だって思うはずです。

こういってしまうと、夫が自己愛性パーソナリティ障害のガスライティングをする洗脳野郎かと思うかもしれませんが、行動は同じでも何となく違うのです。

私にも私で変わるべき部分があったのです。

かばっているように見える文章ですが、後述しますが本当に違いますよ(こう書くとより怪しくなるな)

二次被害

息苦しいと感じた時点で、一度カウンセリングを受けています。

その時にハッキリと夫の行為はモラハラであることと、私はカサンドラ症候群で共依存の状態にあると言われ離婚か別居を勧められました。

上記の違和感から「夫は本当にそこまで悪い人なのでしょうか?」と質問すると矢継ぎ早に「共依存であるから判断が出来なくなっている。モラハラは自己愛で治らないから離れるべき」と解説されました。

たしかに今考えるとカサンドラ症候群の状態で思考は鈍くなっていたと思いますし、共依存状態であったと思います。

ただ、当時の私にとっては、突き放された言葉に感じました。

唯一の理解者になってくれるはずのカウンセラーという存在さえ理解されないのかと落胆してしまったのは事実です。

「やっぱり私がおかしいんやんか・・・」と責められている気分になりました。

後から気付くのですがこれは二次被害というものです。

納得できない

先ほどのカウンセリング後になかなか納得できずにいました。

当時は、今ほどの解像度で物事を見れていなかったので、こういった負の感情を誰にも何も言えずモヤモヤするしかなかったのですが、そのモヤモヤを打ち晴らすように自分で思いつく限りの対処法やネットで検索したり、本で調べたり様々なことをしましたが上手くはいきませんでした。

夫のモラハラ行為は、黒いオーラや溜息などを長時間繰り返すというものです。

空気を読むことに長けている私は同じ空間にいることで息が詰まりそうになっていました。

夫がなにを考えているのか全く理解できず、何を言って言わなくて否定されるか分からないので、当たり障りのない話をするしかありませんでした。

軽く周りに相談しても「あるある」で流され、よりひどい話を聞いては苦笑いをすることしか出来なかった時期です。

夫のモラハラってなんか違う

夫のモラハラの事例

  • イライラしている時はしばらくそっとしておくと、放置された!とキレだす
  • 急にキレられたことで慌てて私もイラっとくるので言い返す
  • 夫の心を慰めない態度を指摘・叱責され離婚や別れを匂わされる
  • 時間経過すると軽く謝罪とアドバイスだったと言われ反省を促される

夫は一度怒り出すとよくわからない自論をまくし立ててきていました。

普段は冷静でおかしなことは言わないのに、怒ると店員さんの態度・天気や交通状況等どうしようもないことまで、配慮が足りない私のせいになっていました。

怒られた時のインパクトが大きいのと、言葉をそのまま受け止めていた私は思考が追い付かず振り回されてばかりでした。

ただ、いつもこうではなくて思いやりというか優しい時が通常なんですよね。

「私を楽しませようとしている時や自分が楽しみにしている時」「はじめて経験することや慣れていなくて自信のないことをする時」にこのような自分が正しいと証明するまで静かにキレ続ける事態が起こっていると気付きました。

困難は乗り越えられる

追い込まれて思い出したのが、幼少期に大人から言われた言葉でした。

『過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えることが出来る』
『乗り越えられない困難は与えられない。きっと乗り越えられる』


父が出ていった時、母がノイローゼのようになった時、姉たちが出ていって母と祖母だけになった時、お金がなくて電気を止められて寒さにガタガタ震えた時・・・

何か困難がある度に、この言葉を私は思い返して行動してきたので、この時も「もしかして、私が変われば彼も変わってくれるかも知れない!仲が良かった頃に戻れるかも知れない!」と、希望を胸に勉強を開始しました。

しかし、はじめは全く上手くいかず、逆に夫からの口撃は激化しました。

ポジティブだけじゃダメだった

何が一体いけなかったのか・・・何度も自分の行動と言動を振り返ってみて、「押し付けがましい気持ちがあった」という事に気づきました。

とにかく「あなたが知りたい、だってあなたと良好な関係にしたい」という姿勢で、アドバイスをやめました。すると、徐々に夫との関係が改善され対話する事が増えました。

その頃に夫から「否定しなくなったから話しやすい」と言われ、やはり今まで夫に良くなってほしい気持ちから言っていた事が、否定と捉えられていたんだなと確信しました。

そして、今まで全く問題がないと思っていた自分のコミュニケーション方法にも問題があったとわかりました。

『わかり合いたいという気持ち』から発生しているものなのに、コミュニケーションひとつでこんなにすれ違うのかと落ち込みましたが、解決の光も見えた瞬間でした。

モラハラ被害者になりやすい人間

ただやはり夫のことがよくわからないままだったので、自分を掘り下げることにしました。

夫のことがわからなかった理由は「わたしの目線で判断していたから」なのですけど、当時は気付いていませんでした。

後述しますが、発達障害の知識が備わったことで夫の解像度がグンとアップしました。

自分を掘り下げることにすぐシフトチェンジした切り替えの早さが素晴らしいとここで自画自賛しておきます。

わたしの基本性格

  • 何でもいいorどうでもいいと思う部分が非常に大きい
  • 他者のステイタスに興味がない
  • 誰かと揉めるくらいなら相手に譲ることが平気
  • ご褒美が遠くにあっても実際はなくても癇癪をおこすことはない
  • よくいえば諸行無常、悪く言えば諦めがち
  • 悪いことはすぐ忘れる
  • 問題があるとまずは自分が何かしてしまったのではないかと考える
  • 自分のことで周りに負荷をかけるのが嫌
  • 悩みや問題を秘密にしたい訳ではないが積極的には話さない
  • ひとりで思考実験をするのが好き

我ながら凸と凹が組み合わさるように、モラハラをする人間にとって都合のいい性格をしていますね。

幼少期

三姉妹の年の離れた末っ子でかなり可愛がられて育ちました。

父が経営していた会社を捨てて愛人を選んで出ていったため、突然小学4年生からガスを止められるレベルの貧乏な母子家庭になりました。

わがままな末っ子も、空気を読まないといけない状況になってしまったんですよね。

お金のやりくり・仕事・家事で疲れている母や家族に負担をかけたくないという思いから「心の問題はどうしようもなくなったら相談する」という癖がついてしまっていました。

論理的で合理的であるほど周りには感謝されますから、自分の気持ちというものより「周り含めてどのようにすれば上手くいくのか」を考えるようになりました。

たまに学校に来ていた支援級の子を先生に「みてあげて」といわれて友人と遊びたい気持ちがあるけれど我慢して遊びに付き合っていた事もあります。

感情的に「嫌だ!」という子や何も考えずに「わからない」といえる同級生たちと話すのが、たまにしんどくなって体調はいいけれど休むことがありました。

ちなみに当時はそこまで自分の感情を理解していないので「つまんないから」という理由しかありませんでした。

母からは「行きたくないなら休んでいいよ」と言われて問い詰められることもなく気軽に休んでいました。

ですから家族間で何も話せない抑圧された環境という訳ではありませんし、むしろ実家は他の家庭と比べると何でも打ち明けやすい方だと思います。

仲がいいからこそ心配させたくない気持ちが発動する感じでしょうかね。

あとは、「自分でこの位は解決できる」と思う慢心があったと思います。

自分を掘り下げた時に、幼少期の問題をもっと見つめなおそうと思い立って児童向けの心理学書を読んでみました。

すると発達障害について記載された部分があり、読んでハッと気付きました。

「あれ。夫ガチで発達障害やん」

夫の発達障害について

彼自身は「生きづらさ」を感じて、自分自身がADHDとASDの要素が強くあるという事に、かなり前から気付いていました。

私にも「きっと発達障害だと思う」とハッキリと夫は言っていましたが、私は軽く流してキチンと受け入れていませんでした。

「ちょっとコミュ障なだけ。ちょっと人見知りなだけ」

苦手だからとコミュニケーション自体をせず慣れてないから出来ないだけだと思い込んでいました。

わたしが思う夫の困りごと

  • 空気を読めない&距離感がおかしい
  • 無反応で無視をしているように見える
  • 不用意な発言で周りを困惑させる
  • 想定外の考えられないミスをする
  • 人見知りというか人間に興味がない
  • 変化への拒否感&強いこだわりがある
  • 決めた通りにならないとフリーズする

発達障害の特徴というのは、みんな経験があるような事です。

そして、夫本人が思っていることと私が感じていたことの違いがあると気付きました。

例えば発達障害ASDの特徴である「他人に興味がない」というものですが、わたしからすると会話をしている途中で席を離れたり、会話を遮断するように無反応だったりすると嫌われていると感じてしまっていました。

その対応を咎めると夫は自己否定されていたと感じて、キレだすというパターンがあると気付きました。

そして、よりもっと夫を理解しようと調べているうちに自分自身にも発達障害ではなくとも同様の特性があると理解できました。

わたしの困りごと

  • 光熱費等の支払いを忘れる
  • 時間にルーズ
  • 趣味等で時を忘れるレベルの過集中
  • 片づけが苦手

ここは、発達障害のことを勉強して理解していく段階で、自分自身の問題があると強く認識しました。

また夫の発達障害をなかなか認められなかったというのは「私が選んだ男が障がい者である」と認められなかった差別の感情が微量でも自分にはあったんだと自覚して反省しました。

当事者の方には悪いですがかなり向き合った結果としても、私は「発達障害であるかはどうでもいい」という考えです。

発達障害の有無にかかわらず誰しも特性はあると思うからです。

配慮はするけど、遠慮はしない

いい面だと本人は思っていても、悪いと捉える人もいるように全てを多面的に捉えることが真の平等かなと私は思います。

無理なものを強制する権力は誰にもないし、やれないことを無理にする時間よりやれることを伸ばす方が確実性も高いし効率的です。

自身の見たくないところも含めてとことん向き合っていけば、生きづらさは解決出来ることだと捉えてます。

これは、発達障害に限らず生きている全ての人にそう思ってます。

本人が自分の事を理解し、自分のクセを理解すれば、たいていの問題は避けられると思うんですよ。

別にADHDやその他障害そんなの関係なく、誰でも同じであって「本当に変わりたい」と決意出来た人ができることやとおもいます。

  • 本気で取り組めるか
  • 取り組める仕組みなのか
  • 自分に合った方法なのか

自分を変えたいと思う時に、この条件が揃っているのが重要だと思います。

あとは継続する環境が整ってればいいと私は思うわけです。

当事者じゃないからあなたは何にもわかっていないと思われるかも知れません。

夫は、認知行動療法と自己コントロールで私が知るどの人間よりも自己管理出来てる人で、彼の変わった姿を見て断言できますよ。

違いを楽しむ

夫が特別な人ではなくて、自分で決めたルールは守るという自分の特性を理解して、自分の特性をうまく生かし絶対に守れる仕組みを作りいつも実践しているんですね。

私がコーンフレークの様にマルチに能力値が高いので、夫のミスは臨機応変にカバーできるというのも相性の良さだと思っています。

以前は、夫の出来なさに落胆していましたが、今は予想を裏切ってくることが面白く感じています。

同じ人間がいくらいても組織的にも思考的にも広がらないと気付いてから、今はこのように違いを楽しむということが出来るようになったんです。

私にとってはこの考えを取り入れられたことが、変化できたきっかけだと思います。

お互いを理解して受け止める為には、ADHDやASDの特性を知ることと併せてカウンセリングの技術を学ぶことも私たちには不可欠でした。

わたしは、あなた個人を気に入ってる。

その特性も含めて気に入ってる部分がある。

だから仲良くして結婚もした。

あなたがあなたにとって気に入らなくても私は好きだし、わたしが個人的に気に入らない部分があっても必ずしもそれが発達障害の特性とは限らない。

「あなたはあなた、わたしはわたし」

人は変化したいと思えば変われますが、限界はあります。

古いiPhoneを最新アップデートしてしまったらパンクして動かなくなるように、自分のポテンシャルは理解しておくべきです。

昔のiPhoneの良さありますよね(シンプルな機能が良かった‼)

自身の良し悪しを飲み込めるからこそ、他者を受け入れる事が出来ます。

まずは、自分を多面的に捉えて解像度を高くしましょう。

さいごに

最後まで読んで頂き、ありがとうございました。

夫婦喧嘩はあっていいとわたしは思っています。

それは分かり合いたいという期待から発生していると思うからです。

ただし「仲良くするために話し合いをする意味を忘れないこと」「お互いを尊重する前提で話し合うこと」がとても大切だと思います。

自分の意見を相手に取り込ませるための話し合いはコントロールであり、モラハラであるということだけは自覚して、自己コントロール出来るようになりましょうね。

夫の改心ブログ 前編/後編

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