夫婦でのモラハラが解決に至るまでの具体的な流れ
今回は、モラハラ解決までの流れを、夫婦関係改善講座を中心に具体例を用いて説明していきます。
受講の順序について
この講座を受講される方は、基本的に夫婦で被害者体質改善講座または加害者体質改善講座を受講された後に、この夫婦関係改善講座を受講するようお伝えしています。
その理由は、まずモラハラ解決には双方の体質改善が何よりも重要だからです。
双方の体質が改善されることで、目に見えるモラハラの問題は減っていきます。
モラハラ問題解決の3つの段階
モラハラの問題解決には、以下の3つの段階があります。
- 自己理解
- 相手理解
- 相互理解
夫婦関係改善講座の目的
夫婦関係改善講座では、我々が間に入り双方の橋渡し役を担いながら、相手理解と相互理解を深めていきます。
支援期間中に話し合いに必要な技術を身につけていただき、我々の支援が終わっても自分たちで実践できるようにすることで、モラハラの問題の再発を防ぎます。
それでは、3つの段階について順番に説明していきます。
もくじ
自己理解とは
自己理解とは、自分の体質を理解することです。
加害者であれば、何がキレるポイントなのか、自身のキレるパターンを理解し、それをコントロールするように努めます。
また、自身の価値観やマイルールを自覚することも含まれます。
被害者であれば、自責体質のためネガティブ思考のスパイラルに陥り、自己肯定感が低くなっていることを理解します。
また、嫌なことを嫌と言えない体質など、自身の特徴を把握する段階です。
相手理解とは
自己理解がある程度できるようになったら、次は相手を理解する段階に進みます。
相手理解とは、相手の価値観を理解することが目的です。
相手にも自分とは異なる価値観があり、考え方があります。
これは、バウンダリー(境界線)の概念です。
大前提として、相手と自分は違う人間であることを自覚し、自分の価値観と違っても否定しないことが重要です。
相手の価値観の違いを理解し、相手は相手の考え方があることを認め、価値観を押し付けず尊重する関わり方が求められます。
実際に起こること
しかし実際には、相手に改善してほしいことや不満がたくさん出てきます。
ただし、これは悪いことではありません。
不満を表出することの重要性
特に被害者の方からすれば、今まで言えなかった抑圧していた不満を外に出し、加害者夫に改善を促してもらう良い機会です。
反対に加害者の方も、立場上、相手に対して不満を言えなかったり、抑えている部分があるため、それらを我慢する必要はありません。
夫婦関係の改善においては、不平不満をその都度改善していくことが必要だからです。
被害者妻からの不満の事例
- 夫は話を聞かず、適当に返事しかしない
- 帰宅すると、スマホしか見ず話を聞かない
- 何を言っても「うん」しか言わないので何を考えているかわからない
- 子どものことを相談したくても全然取り合わない
- 政治の話や自慢話ばかりで聞いていられない
- 私の親族を批判するのを止めてほしい
- 私の趣味を批判しないでほしい
- お金の話をすると急に不機嫌になる
- 阪神が負けると不機嫌になるのを止めてほしい
- 食べ方が汚い、不潔である
- ポイ捨てや歩きタバコを止めてほしい
- 店員に横柄な態度を取るのを止めてほしい
- 定期的に友達と会わせてほしい
加害者夫からの不満で多いもの
- 話が長く脱線するので聞いていられない
- 主語がないので何の話かわからない
- 結論から話してほしい
- 愚痴ばかりで聞いていられない
- 興味のない友人や知人の話は聞いていられない
- オチのないつまらない話は止めてほしい
- 子どもばかり優先しないでほしい
- メイクやダイエットなど女性として気を遣ってほしい
- 1人になる時間が欲しい
夫婦間のすれ違い
被害者妻からの不満で多いのは「夫が話を聞いてくれない」という回答です。
一方、加害者夫からの不満で多いのは「妻の話を聞いていられない」という回答です。
こうしたすれ違いから、夫婦間の会話時間が減っていたり、日常的に不満が募っていることが伺えます。
相互理解とは
相互理解は、相手と話し合いができることが前提となります。
今後も夫婦や家族として共存していくため、また夫婦関係を再構築していくために、お互いの価値観に基づいた新たな家族間でのルールを作っていく段階です。
わかりやすく言えば、外交での交渉に似ています。
独りよがりの一方的な交渉では決裂するため、双方が歩み寄り、何度も話し合いを重ねながら、夫婦関係や家族関係を運営していくための合意を形成します。
双方がある程度納得した結論を出すことが、現実的な試みと言えます。
相手が受け入れられる表現で伝える
先ほどの相手理解で、双方の不平不満は明確になりました。
しかし、これらの不満を相手に直接ぶつけると喧嘩になるため、相手が受け入れられる表現に変換する必要があります。
ここでは、アサーションの表現も活用します。
優先順位をつけて交渉する
改善してほしい点を主張しても、それを受け入れるかは相手に権限があります。
これはバウンダリーの考え方に基づいています。
そのため、本人にとって譲れないポイントには優先順位をつけてもらい、上位のものから交渉に入るのが建設的です。
現実的な落とし所を見つける
先ほどの双方の事例では、被害者妻は「夫に話を聞いてほしい」、一方で加害者夫は「妻の話は聞いていられない」という不満がありました。
お互いに真逆の主張のため、双方の状況や能力なども考慮して、現実的に実現できそうな落とし所を考えてもらいます。
被害者妻からの主張の例
たとえば、妻が「話を聞いてほしい」と主張する場合です。
妻が話を始めると、夫は途端に不機嫌になったり、スマホを見て全く聞いてくれません。
しかし、仕事で疲れているのも理解しているため、全ての雑談を拾ってほしいとは思っていません。
そこで「子どもに関連する話など、家族の運営において重要な話だけは聞いてほしい」と主張すると、夫も聞き入れやすくなります。
また、明らかに不機嫌になる行為については「そういう空気を出すと子どもも怖がるので止めてほしい」と伝えます。
加害者夫への提案
夫側が「仕事で疲れているから察してほしい」と主張するならば、それを言葉にしないと相手には伝わりません。
「今日は疲れているから明日にしてほしい」などと具体的に伝えるよう提案します。
また、自身に「聴く力や耐性がない」といことであれば、どのような会話ならば聞きやすいのかを相手に提示しなければ伝わりません。
例えば「一気に思い出した順で話されると頭が混乱してイライラしやすくなるので、結論を1個単位で話してほしい」など、自身の取扱説明が出来れば新たな関係性が築けるかもしれません。
加害者夫からの主張への対応
加害者夫からの不満に多い「妻の話は聞いていられない」という主張については、妻側に以下のような提案をします。
- 話すテーマを冒頭に伝える
- 「〇〇の話なんだけど、10分程度で終わるから」などと具体的に話す
こうすることで、夫は聞く耳を持ちやすくなります。
その結果、夫婦間の日常会話が増えていき、家庭内の空気も穏やかになっていきます。
ASD傾向がある場合の伝え方
夫にASDまたはグレーゾーンなどの傾向がある場合は、それらの特性を考慮して、より具体的に伝え、かつメリットを提示することで行動変容につながるケースがあります。
行動改善を促したい場合
ASDの人は、自身のこだわり、マイルール、自身のやり方に固執する特性から、他者の言うことを全く聞き入れようとしません。
これは、同一性の保持という特性が要因です。
具体的には、変化に弱く、いつも同じ行動を好み、環境が変わることを極端に嫌います。
また、急な予定の変更やイレギュラーな対応が取れません。
そのため、行動変容を促すのは並大抵ではありません。
自身のルーティンに対して改善案を提案されても、それ自体を批判と捉えキレるケースがあります。
さらに、自分自身が常に正しいと思っているという思い込みも、他者の話を聞かない要因となっています。
権威を利用した対処法
しかし、ASDの人は権威的なものに弱い傾向があります。
世間的に良いと言われているものよりも、本人が尊敬している人、有名人や専門家などの言うことを鵜呑みにしやすいのです。
この特性を利用し、有名人などの言葉やフレーズを引用して「あなたの好きな○○さんが言ってたよ」「△△先生も同じことを言ってたよ」などと伝えると、あなたが同じことを言っても全く聞かなかったのに、すんなり受け入れることがあります。
また、ASDのパートナーの周りに「この人の言うことだけは素直に聞く」という人物がいる場合は、その人にお願いして、改善してほしい行動を直接言ってもらうと聞くケースもあります。
【この記事を書いた人】
経験と専門性
- 夫婦でモラハラの問題を克服した専門家
- ASD・ADHDの混合型診断済み
- モラハラ加害者としての更生を実現
- 週刊文春オンラインでの3記事の連載で加害者心理と更生過程を完全公開
臨床経験(2010年〜)
カウンセラーとして幅広い支援経験
- 公的機関での生活保護・生活困窮者自立支援
- 福祉施設での精神疾患・発達障害者支援
- うつ病の方の復職支援
- 元受刑者・薬物依存者への更生支援
- ひとり親・DV被害者相談
- 企業内パワハラ相談
- 自助グループ・セミナー開催
メディア掲載実績
新聞・雑誌掲載
- 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
- 産経新聞(2021年9月)
- 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
- 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
- ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)
テレビ・ラジオ出演
- NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
- KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)
全国11媒体でモラハラ解決の専門家として紹介
モラハラの問題で苦しんでおられる方々の少しでも力になりたいと思っています。
まとめ
今回は、夫婦関係改善講座の主な流れを説明しました。
もちろん、これが全てではありませんが、モラハラ解決に必要なプロセスがイメージできたのではないでしょうか。
今後必要なスキル
夫婦関係を再構築するためには、新たなスキルが必要になります。
相手を理解するための「話の聴き方」、そして相互理解を深めるための「相手に伝わる言葉での伝え方」などです。
これらについては、また別の機会に詳しく説明していきます。
モラハラ問題の解決は決して簡単ではありませんが、一歩ずつ着実に進めていくことで、必ず関係性は改善していきます。
我々リジェネは、そのプロセスを全力でサポートいたします。
モラハラで苦しんでいるあなたへ
私たち夫婦も、かつては離婚寸前まで追い込まれました。
しかし諦めずに夫婦で協力し、モラハラの問題と真正面から向き合い、解決することができました。
現在は幸せに暮らしています。
すぐに離婚だと諦めないでください。解決への道は必ずあります。
私たちがどのようにして危機を乗り越えたのか、被害者妻と加害者夫の両方の目線でリアルに書いています。
被害者の視点から学ぶ
もし「記事は理解できたけれど、うちの場合はどうすればいいのかわからない…」と感じているなら、一人で抱え込まず、ぜひ私たちにお話を聴かせてください。
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