DARVO(ダーボ)とは|加害者が被害者ぶる手口と対処法
「私が悪いことを「私が悪いことをしたの?」「なんで私が責められるの?」
モラハラを指摘したら、なぜか自分が加害者扱いされて混乱した経験はありませんか。
今回は「DARVO(ダーボ)」について、チェックテストと具体的な対処法を含めて説明していきます。
DARVOは心理学者ジェニファー・フレイド博士が1997年に提唱した確立された概念で、加害者が責任を回避し、自分を被害者に仕立て上げる典型的なパターンです。
長くなりますが、最後まで読んでいただければ幸いです。
もくじ
- DARVOをされているかも?チェックテスト(被害者向け)
- DARVO(ダーボ)とは
- DARVOの具体例と対処法
- ガスライティングや論点すり替えとの違い
- なぜDARVOは効果的なのか
- DARVOをしているかも?チェックテスト(加害者向け)
- まとめ
DARVOをされているかも?チェックテスト(被害者向け)
相手の問題を指摘したら、なぜか自分が責められて終わった経験はありませんか。
相手が悪いことをしたはずなのに、気づいたら自分が謝っている。
それはDARVOかもしれません。
以下の項目で心当たりがあるものに「はい」と答えてください。
「はい」が3つ以上ある場合、相手の行為はDARVOの可能性があります。
DARVOをされているかも?チェックテスト(被害者向け)
診断結果
「はい」が0~2個
相手は自己防衛が強いだけかもしれません。少し様子を見てください。
「はい」が3~5個
DARVOの可能性があります。記録を残すなど、自分を守る対策を始めてください。
「はい」が6個以上
DARVOに該当すると思われます。専門家への相談や、物理的な距離を取ることを検討してください。
DARVO(ダーボ)とは
DARVO(ダーボ)とは、心理学者ジェニファー・フレイド博士が1997年に提唱した概念で、加害者が自分の責任を回避し、被害者を加害者に仕立て上げる手法を指します。
DARVOは以下の3つのステップの頭文字を取ったものです。
DARVOの3ステップ
D = Deny(否定)
自分の加害行為を否定します。
「そんなことは言っていない」「やっていない」「お前の記憶違いだ」と、事実そのものを否定します。
A = Attack(攻撃)
否定した後、今度は被害者を攻撃します。
「お前の方が悪い」「お前がおかしい」「お前が俺をそうさせた」と、被害者の人格や行動を攻撃します。
R = Reverse Victim and Offender(被害者と加害者の逆転)
最後に、自分が被害者であると主張します。
「俺こそ被害者だ」「俺の方が傷ついている」「お前が俺を虐待している」と、被害者と加害者の立場を完全に逆転させます。
DARVOの本質:無自覚な責任回避
重要なのは、DARVOは必ずしも計画的に行われるわけではないということです。
多くの場合、加害者は自分がDARVOをしていることに気づいていません。
自己防衛のメカニズムが自動的に作動し、本人は「自分が被害者だ」と本気で信じ込んでいます。
自分の非を認めることは、自己イメージの崩壊を意味するため、無意識のうちに責任を相手に転嫁するのです。
DARVOの具体例と対処法
DARVOは、家庭内、職場、あらゆる人間関係で発生します。
ここでは、典型的なパターンと、それぞれに特化した対処法を紹介します。
パターン1: 否定→攻撃→逆転の基本形
具体例
- 妻「昨夜、私に『お前は何もできない』と暴言を吐いたよね。謝ってほしい」
- D(否定)
夫「暴言?そんなこと言ってない。お前の記憶違いだ」 - A(攻撃)
夫「お前はいつもそうやって被害者ぶる。お前の方が俺を精神的に追い詰めている」 - R(逆転)
夫「俺の方が毎日お前の暴言に傷つけられている。俺こそ被害者だ」
対処法:録音・記録を残す
DARVOに対する最も有効な対処法は、客観的な証拠を残すことです。
- 会話を録音する(スマホのボイスレコーダーアプリなど)
- 暴言があった日時と内容をノートに記録する
- メールやLINEでのやり取りを保存する
相手が「そんなこと言っていない」と否定しても、証拠があれば「これを聞いてください」と提示できます。
ただし、逆ギレされる可能性が高いので、危険なことをわざわざする必要はありません。
あくまで物的証拠として保存するつもりで行ってください。
また、相手が証拠を見ても認めない場合は、それ以上追求せず、第三者(カウンセラー、弁護士など)に相談することが重要です。
パターン2: 責任回避と手柄の横取り型
具体例
- 夫「どっちの家を買う?お前が決めていいよ」
妻「じゃあA物件にしよう」
(購入後、問題が発生) - D(否定)
夫「お前が決めたんだろ。俺は最初から反対だったのに」 - A(攻撃)
夫「お前の判断力がないせいで、こんなことになった」 - R(逆転)
夫「俺はお前の決定に従っただけ。被害者は俺だ」 - 逆に、うまくいった場合
夫「あの物件を選んだのは俺の判断が良かったからだ」
このパターンでは、責任を負う場面で黙るか相手に選ばせて、失敗すれば相手のせい、成功したら自分のおかげという態度を取ります。
対処法:決定プロセスを記録する
重要な決定は、必ず以下の方法で記録を残してください。
- 「あなたが『どっちでもいい』と言ったので、私がA物件を選びました」とメールやLINEで送る
- 「一緒に決めましょう。あなたの意見も聞かせてください」と提案し、共同責任にする
- 相手が「お前が決めていい」と言い続ける場合は、「それではあなたも同意したと記録します」と伝える
また、相手が決定から逃げ続ける場合は、重要な決定を相手と一緒にすること自体を避けることも選択肢のひとつです。
例えば、「ペアローンを組まない、家計を一緒にしない、自身の責任で負える範囲で勝手にする」などです。
パターン3: 周囲を巻き込む拡大型(フライングモンキー)
具体例
- 妻「あなたのモラハラに耐えられない。別居したい」
- D(否定)
夫「俺がモラハラ?冗談だろ」 - A(攻撃)+R(逆転)
夫(義母や友人に)「妻が俺を虐待している。俺は被害者だ。妻から別居を切り出されて傷ついている」 - 周囲の巻き込み
義母「奥さん、旦那さんがかわいそうじゃない?あなたが我慢すれば丸く収まるのに」
友人「男の人ってみんなそうよ。離婚なんて考えすぎじゃない?」 - 結果
妻「(孤立して)私が悪いの?」 - このパターンでは、第三者を巻き込んで被害者を孤立させます。
- 心理学では、加害者が第三者を使って被害者を攻撃させる手法を「フライングモンキー」と呼びます。
対処法:信頼できる第三者に相談する
周囲が加害者の味方をしている場合、以下の対処法が有効です。
- 専門家(カウンセラー、弁護士、DV相談所)に相談する
- 家族や友人が理解してくれなくても、あなたが間違っているわけではないと自分に言い聞かせる
- 客観的な証拠(録音、メール、日記)を第三者に見せる
- 加害者の言い分を鵜呑みにしている人とは距離を置く
重要なのは、孤立しないことです。
理解してくれる人が一人でもいれば、それで十分です。
パターン4: 過去の失敗を持ち出す攻撃型
具体例
- 妻「約束を破ったよね。昨日、子どもの送迎をするって言ったのに」
- D(否定)
夫「破ってない。お前の勘違いだ」 - A(攻撃)
夫「お前だって先月約束破っただろ。お前の方がひどい」 - R(逆転)
夫「俺はいつもお前に責められて傷ついている。お前こそ加害者だ」
対処法:論点を元に戻す
「それは別の問題です。今話しているのは昨日のことです」と、冷静に論点を元に戻しましょう。
相手が繰り返し論点をずらす場合は、「この話し合いは建設的ではない」と伝え、一旦中断してください。
ガスライティングや論点すり替えとの違い
DARVOは、ガスライティングや論点すり替えと重なる部分がありますが、明確な違いもあります。
ガスライティングとの違い
| DARVO | ガスライティング | |
|---|---|---|
| 目的 | 責任回避(自分を守る) | 相手の破滅(相手を壊す) |
| 意図 | 多くは無自覚 | 計画的・意図的 |
| 期間 | 単発〜短期 | 長期的・継続的 |
| 加害者の心理 | 「俺は被害者だ」と本気で信じている | 冷静に相手を操作している |
ガスライティングは「相手を洗脳して破滅させる」ことが目的ですが、DARVOは「自分の責任を回避する」ことが目的です。
論点すり替えとの違い
論点すり替えは、議論の焦点を本来の問題から別の問題に移す手法です。
DARVOは、論点すり替えを含みますが、さらに「被害者と加害者の逆転」というステップが加わります。
論点すり替えは「話をそらす」だけですが、DARVOは「自分を被害者にする」ところまで進みます。
関係性の整理
- 論点すり替え: DARVOのステップの一部(A: 攻撃の手法)
- DARVO: 論点すり替え+被害者コスプレをしている感じ
- ガスライティング: DARVO+長期的洗脳と悪意の有無
なぜDARVOは効果的なのか
DARVOがモラハラ加害者にとって効果が実感出来てしまうのは、被害者の罪悪感を刺激するからです。
被害者が陥る心理的な罠
罠1: 自己責任感の強さ
モラハラ被害者の多くは、もともと自己責任感が強く、「私が悪いのかも」と考えやすい傾向があります。
DARVOは、この心理を巧みに利用します。
罠2: 共感性の高さ
「相手が傷ついている」と聞くと、被害者は「私が傷つけたのかも」と共感してしまいます。
加害者は、この共感性を利用して、自分を被害者に見せかけます。
罠3: 記憶の不確実性
人間の記憶は完璧ではありません。
「そんなこと言っていない」と強く否定されると、「私の記憶違いかも」と疑ってしまいます。
DARVOへの対抗手段:記録と境界線
DARVOに対抗するには、以下の2つが重要です。
1. 客観的な記録を残す
- 会話の録音
- 日記(日時と内容を記録)
- メール・LINEでのやり取り保存
2. 自他境界線(バウンダリー)を保つ
「相手の責任は相手のもの。私の責任は私のもの」と、明確に線を引きましょう。
相手が「お前が俺をそうさせた」と言っても、「あなたの行動はあなたの責任です」と伝えることが大切です。
DARVOをしているかも?チェックテスト(加害者向け)
自分では正当な自己防衛をしているつもりでも、相手を傷つけているかもしれません。
以下の項目で心当たりがあるものに「はい」と答えてください。
「はい」が3つ以上ある場合、あなたのコミュニケーションスタイルを見直す必要があるかもしれません。
DARVOをしているかも?チェックテスト(加害者向け)
診断結果
「はい」が0~2個
あなたのコミュニケーションは今のところ健全です。たまに自身の振返りをしてください。
「はい」が3~5個
DARVOの傾向があります。自分の行動を振り返ってみてください。
「はい」が6個以上
DARVOの可能性が高いです。専門家の助けを求めることをお勧めします。
加害者が気づくべきこと
もしあなたがDARVOをしているかもしれないと感じたなら、以下のことを心に留めてください。
責任を取る勇気を持つ
自分の非を認めることは、弱さではなく強さです。
「俺が悪かった」と認めることで、関係は改善します。
「俺は被害者だ」という認識を疑う
本当にあなたは被害者ですか?
相手を責める前に、自分の行動を振り返ってみてください。
ASDの特性がある場合
ASDの診断がある人の中には、記憶の偏りや自己認識の困難から、無自覚にDARVOをしてしまう場合があります。
「そんなこと言っていない」が本人にとっては真実である場合もあります。
しかし、特性があるからといって、DARVOをしても許される免罪符があるわけではありません。
録音や記録を見せられたら、素直に認める姿勢が大切です。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました。
DARVOは、加害者が自分の責任を回避し、被害者を加害者に仕立て上げる心理的手法です。
心理学者ジェニファー・フレイド博士が提唱した確立された概念で、Deny(否定)、Attack(攻撃)、Reverse Victim and Offender(被害者と加害者の逆転)の3ステップで構成されています。
DARVO被害者は、相手の「俺が被害者だ」という主張に圧倒され、自分が悪いのではないかと思い込んでしまうことがあります。
しかし、加害者が被害者を装っているだけであり、あなたが悪いわけではありません。
チェックテストで相手の行動がDARVOに該当した場合は、以下の対処法を実践してください。
- 客観的な記録を残す(録音、日記、メール保存)
- 自他境界線を保つ(相手の責任は相手のもの)
- 信頼できる第三者に相談する(専門家、支援機関)
- 周囲が理解してくれなくても、自分を信じる
DARVOは、多くの場合、加害者自身も無自覚に行っています。
本人は「俺は被害者だ」と本気で信じ込んでいるため、説得は困難です。
無理に相手を変えようとせず、自分を守ることを最優先にしてください。
今回の内容が、あなたが抱えている問題解決の一助になれば幸いです。
【この記事を書いた人】
経験と専門性
- 夫婦でモラハラを解決した実体験者
- 10年間で2500件超の相談解決実績
- 行動心理学をベースとしたモラハラ加害者・被害者の心理分析
- 加害者と被害者の思考・行動パターンの解明と改善指導
- 発達障害特性を持つ夫婦関係の調整とサポート
- カサンドラ症候群からの回復支援
- 夫婦間コミュニケーション改善や改善方法の開発
- 同じ経験を持つ専門家として、あなたの状況に寄り添うことが可能
メディア掲載実績
新聞・雑誌掲載
- 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
- 産経新聞(2021年9月)
- 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
- 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
- ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)
テレビ・ラジオ出演
- NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
- KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)
全国11媒体でモラハラ解決の専門家として紹介
モラハラの問題で苦しんでおられる方々の少しでも力になりたいと思っています。
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モラハラで苦しんでいるあなたへ
私たち夫婦も、かつては離婚寸前まで追い込まれました。
しかし諦めずに夫婦で協力し、モラハラの問題と真正面から向き合い、解決することができました。
現在は幸せに暮らしています。
すぐに離婚だと諦めないでください。解決への道は必ずあります。
私たちがどのようにして危機を乗り越えたのか、被害者妻と加害者夫の両方の目線でリアルに書いています。
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