モラハラ加害者が変わるために最も効果的な方法とは
今回は、モラハラ加害者が変わるために最も効果的な方法とはについて説明していきます。
以前に「モラハラ加害者だった僕がどうやって改心したのか」というブログを書きましたが、今回はその内容から、言語化トレーニングにフォーカスしてお伝えします。
高学歴で頭の回転が速く言葉のキャッチボールもスムーズに行える方でも、感情や本音について質問すると、多くの加害者は答えに詰まり、うまく言語化できないことが多いです。
これから分かるのは、高学歴やIQの高さと、感情を言語化する力は比例しないということです。
この理由は、彼らが勉強に励んできた一方で、人生の中で自分自身を理解するための内向的な質問、つまり「自問自答」をしてこなかったことが原因だと考えられます。
また、言語化力というのは、雑談や表面的な会話とは違う脳の部分を使います。
例えば、頭の回転が速く、直感的な会話が得意な「速い思考」とは対照的に、言語化トレーニングでは考えを掘り下げる「遅い思考」が必要になります。
速い思考は外向的で、反射的に言葉が出る一方、遅い思考は熟考し内向的なプロセスを伴います。
このように、単に日常会話でのスピード感とは異なるため、多くの加害者はこれまで訓練をしてこなかったのです。
しかし、安心してください。
言語化力は訓練によって身につけられる能力です。
私自身も元モラハラ加害者であり、決してIQが高いわけでもなく、発達障害の診断も受けています。
幼少期から自分の思考や感情を人に伝えるのが大の苦手でした。
それでも、この言語化トレーニングを実践することで、今では自分の感情や考えをある程度は他者に説明できるようになりました。
ですから、皆さんも訓練さえすれば、すぐに身につけられる能力ですので、安心して取り組んでください。
この記事はこんな方におすすめです
- 加害者プログラムの受講を検討中の方
- モラハラ被害者の方
- 加害者変容が知りたい方
もくじ
- モラハラ加害者が言語化能力が弱い理由
- 言語化の重要性
- モラハラ加害者と被害者の両者に必要な自己理解
- 言語化トレーニングが必要な理由
- 具体的な言語化トレーニングの方法
- トレーニングの手順
- テーマ別の事例
- 注意するポイント
- 具体的な感想の言い方
- まとめ
モラハラ加害者が言語化能力が弱い理由
モラハラ加害者が言語化能力が弱い理由には、いくつかの要因が考えられます。
モラハラ加害者が「言葉にならないモヤモヤ」を感じる背景には、自己理解の欠如や感情を正確に言語化できないことが大きく影響しています。
彼らは自分の中で何を感じているかが曖昧で、それを理解できないまま、不快な感情が生じます。
しかし、その不快感が自身の内面的な問題や認知の歪みから来ているとは認識できないため、その感情を「相手のせい」にする傾向が強くなります。
こうした場合、加害者は「お前が悪い」「お前がおかしい」といったシンプルで曖昧な表現に依存し、感情の原因を他者に投影するのです。
この他責的な思考は、感情を適切に処理する力が欠如しているために生じ、結果的に、加害者がすぐに怒りや不満を爆発させてしまう原因となります。
特に、感情を言語化する力が弱いと、モヤモヤした感情に対処する手段が「他者を攻撃する」ことしかなく、その場で感情をぶつけてしまうのです。
この他責的な態度や表現の乏しさが、モラハラの特徴であり、加害者の衝動的な行動と密接に関わっています。
改善のためには、加害者が自己の感情をより深く理解し、言語化する訓練が必要です。
自分の感情の根本に何があるのかを探ることで、曖昧なモヤモヤの要因が具体的な言葉になり、冷静に処理できるようになります。
加害者は、感情や思考を具体的な言葉に変換する能力が低い、言い換えれば言葉の「解像度」が低い傾向があります。
この解像度の低さが、感情を処理する力を弱め、結果として衝動的な行動や言葉を生み出す原因となります。
言葉の解像度を高めるための心理学的手法として「フォーカシング」というものがあります。
これは言葉にならないモヤモヤなど、曖昧な感情や考えを具体的な言葉にする訓練であり、これを繰り返すことで、言葉の解像度を高め、感情をより適切に理解し、表現する能力が身につきます。
この訓練により、加害者は冷静に感情を処理し、他責的な言動を減らすことが期待されます。
言語化の重要性
言語化の重要性は、単に伝える技術を磨くことではなく、まず自分の感情や思いを明確にすることにあります。
私自身も幼少期からコミュニケーション能力が低く、人に説明するのが苦手でした。
多くの自己啓発本を読み、伝え方や話し方について学びましたが、それでも改善は見られませんでした。
その理由は、これらの本が伝えることに焦点を当て、自分の感情や思いをしっかり言語化することを教えていなかったからです。
どれだけ話し方を工夫しても、自分の中で明確な言葉がない限り、真意は相手に伝わりません。
さらに、自分の言葉でなければ、話している本人ですら納得がいかず、違和感や不快感が生まれることがあります。
これはモラハラ加害者が、言葉にできない感情に支配され、怒りに任せて衝動的に行動してしまう原因の一つです。
だからこそ、最も重要なのは、まず自分の感情や思いをしっかり言語化する訓練です。
自己啓発本ではなく、一見関係なさそうな小説や映画の方が実はヒントはたくさん落ちています。
またインプットも重要ではありますが、答えは自分の中にあるので行き詰ったらアウトプットに切り替えてみましょう。
自分にしっくりくる納得できる言葉を見つけることは、簡単ではなく、日々の積み重ねが必要です。
この言語化のプロセスこそが、健全なコミュニケーションを築くための基盤となります。
モラハラ加害者と被害者の両者に必要な自己理解
加害者が自分の感情を言語化できるようになると、相手に対して「そういう言い方をされるとバカにされたように感じてイラッとする」「軽く扱われたと思うのでやめてほしい」と具体的に伝えることができるようになり、再発防止につながります。
また言ったからといって、相手が全てを受け止めて行動を変えてもらえるわけではありませんので、そこは自他の境界線(バウンダリー)認識をしてくださいね。
これができないまま怒りをぶつけるだけでは、夫婦生活や家庭生活を健全に運営することは不可能です。
さらに、このプロセスは被害者にも必要です。
結婚は異文化の交流のようなものであり、お互いの価値観や「常識」「当たり前」を明確化し、共有していくことが不可欠です。
自己理解、相手理解、そして相互理解を深めることが、健全な関係の基盤となります。
言語化トレーニングが必要な理由
自分の思いがうまく言語化できていないために、漠然としたイライラを感じることがあります。
特にモラハラ加害者に多いのが、その曖昧なイライラを「お前がおかしい」「お前が俺を怒らせる」といった形で相手の責任にして処理してしまうことです。
しかし、言語化力があれば、自分が相手の言動に対してイラついたときに、どの部分にイラついたのかを瞬時に明確化することができます。
例えば「こういう言い方にムカついた。その理由は、バカにされたと感じたからだ」という具合に、自分の怒りの原因を自分自身で明確にできます。
こうして、怒りの感情を処理し、自己完結することで、相手に怒りをぶつける必要がなくなるのです。
さらに、相手に対しても「そういう言い方をされるとバカにされたように感じる」「軽く扱われたと思い、イラッとするのでやめてほしい」と、具体的に改善してほしい点を伝えられるようになります。
これにより、同じ問題が再発するのを防ぐことができ、建設的なコミュニケーションが可能になるのです。
上項でも記載しましたが、伝えた=思ったように改善されるという図式ではないので、そこは勘違いしないようにしてくださいね。
具体的な言語化トレーニングの方法
具体的な言語化トレーニングの方法として、まずはA4以上の紙を用意し、テーマに基づいて頭に浮かんだことを制限時間内に書き出すというシンプルな作業から始めます。
この方法は、自分の曖昧な感情や考えを明確に言葉にする力を養うために非常に有効です。以下にトレーニングの手順をまとめます。
トレーニング手順
A4以上の紙を縦に使い、上部にテーマを書き出します。例えば「好きな食べ物」や「最近イライラしたこと」など、まずは軽めのテーマを選びます。
この作業には瞬発力が大切なので、3分という制限時間を設けて、思いついたことを次々と書き出してください。
内容の質や構成は気にせず、思考を抑え込まずに自由に書き出すことが重要です。
他人に見せるものではないため、字の汚さや文のつながりは全く気にしなくてOKです。
目的は、頭の中にある感情や思考をできるだけ言葉として外に出し、言葉の「解像度」を高めることです。
テーマ別の事例
例えば「このラーメンが何となく好き」と感じるなら、他のお店のラーメンと比べてどの部分が特に好きなのか、具体的に挙げてみてください。
以下のテーマについても具体的に掘り下げてみて下さい。
各テーマごとの事例サンプルを載せておきます。
ラーメンの好きなところの事例
- スープの深み、太麺の食感、替玉し放題、チャーシューが角煮でトロトロ
- ネギが入れ放題だ、煮玉子の絶妙なとろみ、しじみの出汁が飲んだ後には最高に合う
- あの濃厚さがたまらない、濃厚な味噌が最高
嫌いな芸人の事例
- うるさいだけでつまらない、フレーズがズレている、ツッコミが弱い、ネタのテンポが悪い
- ボケの顔が暑苦しい、全体的に昭和で古い、シュール過ぎて抑揚がない、高学歴を全面に出して鼻につく
- ギターの演奏がうるさい、ドヤ顔がうざい、一発ギャグが声がデカいだけで中身がない
- お前のこと誰が好きなんと思う、他人ばかりいじるクセに自分がイジられるとキレる部分
妻の対応にイラつく理由の事例
- 上から目線で偉そう、事務的で冷たい、子どもを優先しすぎてムカつく、俺を優先しないのがムカつく
- 俺にだけ冷たい、自分のことしか考えていない、帰ってきた時に晩御飯が用意されていない
- 専業主婦なのに家事ができない、育児も十分にしない、給料を渡しても感謝をしない
- 俺が必死で働いている時に自分は優雅にカフェでくつろいでいる、無駄遣いで散財する
アイツはバカだと思う部分の事例
- 後先考えない衝動的な行動を取る、パリピ丸出しで騒ぐ、テンションが上がったら急に声がデカくなる
- 毎月の生活費をギャンブルに使い込む、酒を浴びるほど飲む、ジムに入会しているのに1回も行っていない
- 話がダラダラ長く的を得てない、何が言いたいかわからない話し方をする
- 映画の内容よりも俳優の服装しか語らない洞察力がない、人の話を一切聞かない
- マルチ商法に手を出している、大人なのに世の中の仕組みを全くわかっていない
- オッサンなのにホストみたいな服装をしている、自分の見た目を棚上げして他人を批評する
- 自分の無知さを全く自覚していない、同じ失敗を繰り返す、自分の非を認めない
このトレーニングの目的は、自分の中で曖昧だった感情や思考を具体的な言葉にすることで、感情を冷静に理解し、適切に表現できるようになることです。
言語化の力が高まれば、衝動的に感情をぶつけるのではなく、適切に対処することができるようになります。
日常的に軽いテーマからスタートし、少しずつ重いテーマに進めることで、言語化力は自然と高まります。
注意するポイント
言語化トレーニングを効果的に進めるために、紙に手書きで書き出すことが重要です。
しかし「面倒だから」といってスマホのメモ機能を使ってしまうのは避けてください。
スマホでは十分な効果が得られません。
手書きで書き続けることで、自分の考えや価値観が徐々に整理され、明確になっていくのです。
さらに、ノートに書く際には、決して格好をつけたり、頭が良さそうに見せようとする必要はありません。
例えば「人が生きる理由とは」といった哲学的なテーマに酔いしれてしまうのは、自己満足に過ぎません。
このノートは他人に見せるものではなく、あくまで自分の本音を引き出すための道具です。書き出す際は、シンプルで率直な言葉を選びましょう。
また、もし言いたいことがすぐに文章としてまとまらない場合は、単語だけでも箇条書きにして書き出してみてください。
言葉にしづらい感情や思いでも、単語を積み重ねていくうちに、自分の考えが徐々に整理され、形を成していくはずです。
また、2点目として「そんなの常識」「当たり前」「言わなくてもわかるだろ」「察しろよ」という言葉は、今後は使わないようにしてください。
それを使った時点で思考が停止してしまいますので、あくまでも、自身の内面から答えを出す、モヤモヤを言語化することを徹底して頂ければと思います。
具体的な感想の言い方
先ほどと重複はしますが、例えば、映画を見たときに「面白かった」「つまらなかった」という曖昧な感想ではなく、具体的に「どこが面白かったのか」「何がつまらなかったのか」を言葉にすることが大切です。
ちなみに、「面白かった」「つまらなかった」というのは評価や結論であって、厳密には感想とは言えません。
同様に、妻の料理に対して「美味しかった」「不味かった」というのも評価に過ぎません。
妻が本当に知りたいのは「どこが美味しかったのか」「何が不味かったのか」です。ただ「美味しかった」「不味かった」と言うだけでは、妻はどのように改良すればよいのか分からず、具体的な情報が不足しています。
またドラマや映画を見た際に、具体的に「どのように面白かったのか」が出てこない場合、似たような作品を探して比較するのも有効な方法です。
過去に面白いと感じた作品と現在の作品の似ている部分を見つけ、それを伝えることで、聞き手は共通点や違いを理解できます。
これに対して「そうだ」「違う」と答えていくことで、自分の価値観を絞り込み、明確にしていくことができます。
たとえば、「この作品のように面白かった」や「この作品のように、つまらなかった」といった具体的な例を挙げることで、対話を通じて自分の価値観を表に出す練習になります。
まとめ
最後まで読んで頂きありがとうございました。
今回の言語化トレーニングを参考にして頂き、ご自身のメンタルの安定に役立てて頂ければと思います。
また、今回の内容が自分にはわかりづらいという方は気軽に相談して頂ければと思います。
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