再婚相手の連れ子が好きになれない場合の対処法
今回は、再婚相手の連れ子が好きになれない場合の対処法についてご説明します。
前回の「夫が連れ子を可愛がらない場合の対処法」に引き続き、このテーマについても多くのご相談をいただいておりますので、取り上げていきます。
私たちはモラハラ解決を専門としていますが、最近では、子連れ再婚、いわゆるステップファミリーに関する家庭問題のご相談が増えています。
子連れ再婚家庭における最も大きな課題は、継親と連れ子(継子)の関係性です。
この問題は、子連れ再婚における婚姻継続の重要な課題の一つと言えます。
そこで今回は、「連れ子が可愛くない」と感じる自分自身の問題と向き合い、継子との関係を改善し、幸せな家庭を築いていただくための方法をお伝えします。
家族関係の改善には、これはモラハラ解決にも共通しますが、以下の3つのステップが重要です。
家族関係改善への3つのステップ
- 自己理解
- 相手理解
- 相互理解
まずは、ご自身の本音を理解することが大切です。
次に相手、つまりこの場合は連れ子(継子)を理解し、最後にお互いを理解する。このプロセスが、関係性の改善には不可欠です。
連れ子が可愛くない、好きになれない、愛せないという悩みには、大きく分けて以下の2つのパターンがあります。
- 連れ子を愛せない自分に苦しんでいる方
努力して連れ子を好きになろうとしたものの、どうしても好きになれず、その結果、自分を責めたり嫌ってしまう方。 - 連れ子自体が嫌いになってしまった方
連れ子に対して強い嫌悪感を抱き、生理的に無理だと感じ、顔を見るのも嫌になってしまった方。
今回は、これら2つのパターンに対する対処法と、子どもとの接し方について説明します。
少し長くなりますが、最後までお読みいただけると幸いです。
この記事はこんな方におすすめです
- 連れ子を好きになれなくて困っている方
- 子連れでの再婚が上手くいかず悩んでいる方
- 連れ子への対処法が知りたい方
もくじ
- 自己理解をする
- 連れ子を愛せない自分に苦しんでいる方へ
- 連れ子自体が嫌いになってしまった方へ
- 怒りの感情を抑圧せずに吐き出す
- 自分の本音を理解する
- 相手を理解する
- 子どもの立場を理解することの重要性
- 直接的な話し合いは避ける
- まずは連れ子と信頼関係を築くこと
- 連れ子に対する態度を確認する
- まとめ
自己理解をする
連れ子を愛せない自分に苦しんでいる方へ
連れ子を愛せない自分に対して、自己嫌悪や自責の念を抱えている方は少なくありません。
「自分は親として失格だ」「連れ子を好きになれない自分はダメだ」といった思いが心を蝕むこともあります。
そうした方々は、無理に愛そうと努力しても、心が追いつかず、その葛藤の中で同じループを繰り返してしまうのです。
このような自己嫌悪や自責の傾向が強い方には、モラハラ被害者と共通する特徴が見られます。
モラハラ被害者の特徴
- 幼少期から我慢強く育ってきた
- 自分の意見を言わない
- 他者を優先し、自分を犠牲にする
- 争いを避ける
こうした性質は、幼少期から無意識のうちに身についたパターンであり、他者に対する配慮や思いやりとして素晴らしい側面も持っています。
しかし、自分自身の本音を抑圧してしまう原因にもなりがちです。
まず最も大切なことは、今感じている「連れ子を愛せない」という本音を抑え込まないことです。
自分の感情を素直に受け入れることが、自己理解を深める第一歩です。
これは、現時点でのあなたの率直な気持ちであり、決して間違った感情ではありません。
また、自分を責めるのも避けるべきです。
ネット上には、以下のようなアドバイスが散見されますが、これらは注意が必要です。
間違ったアドバイスの事例
- 連れ子を好きになるべきだ
- 連れ子と出会えたことに感謝すべきだ
- 連れ子に対して批判的な感情を持ってはいけない
これらのアドバイスに従って、無理に自分の感情を抑圧しようとすると、自分の本音と行動が解離し、結果的に心が疲弊してしまいます。
無理なポジティブシンキングも同様に危険です。
感情が解離すると、心のエネルギーが徐々に枯渇し、最終的には不眠、動悸、無気力といった初期症状が現れます。
これが長期化すると、うつ病や適応障害を引き起こす可能性があるため、自己理解を深めるプロセスにおいて無理をしないことが大切です。
連れ子自体が嫌いになってしまった方へ
子ども自体が元々好きでない場合や、実子も愛せない場合を除き、連れ子と同居してから嫌いになったり、生理的に受け付けなくなってしまうことがあります。
顔を見るのも辛いと感じることがあるかもしれませんが、こうした感情が生まれる背景には、何かしらの理由やきっかけが必ず存在しています。
この感情をしっかりと理解するためにも、その理由やきっかけを明確にしていくことが重要です。
自分の感情を整理する方法
まずはノートを1冊用意し、連れ子を嫌いになった具体的な出来事やきっかけを思い出して書き出しましょう。
このプロセスは、自分の感情を抑え込まずに吐き出すために効果的です。
注意点としては、これらの感情を直接的に連れ子や配偶者にぶつけることは避けてください。
感情が爆発すると喧嘩に発展し、最悪の場合、修復不能な状況や離婚にまで至る可能性があります。
そのため、感情をぶつける代わりに、ノートに書いて整理しましょう。
また、このノートは絶対に他人に見られないようにするか、書き終わったら処分することをお勧めします。
これは、他者の目に触れることで、さらなる不安や不和を生まないための予防策です。
次に、連れ子を嫌いになった具体的な理由やきっかけについて、いくつかの例を挙げてみましょう。
以下はその一部です。
連れ子を嫌いになった理由やきっかけの事例
- 妻が自分を優先してくれないことに腹が立つ
- 連れ子が何かと口答えしてくる
- 睨んでくる、可愛げがない
- 自分の陰口や悪口を言っている
- 物を買ってあげても感謝しない
- ご飯を作っても全く感謝の言葉がない
- 隠れて元親に連絡を取っている
- 自分にだけ冷たい態度を取る
- 交流を深めようとしても避けられる
- 血が繋がっていないことに嫌悪感を感じる
- 会話が成り立たないほど頭が悪いと感じる
- 全てのリアクションが悪く、接しているとストレスが溜まる
これらの理由を具体的に書き出し、自分の感情がどこから来ているのかを理解することが重要です。
こうした感情は、蓄積すると自分自身にも悪影響を及ぼし、心のバランスが崩れてしまうことがあります。
しかし、感情を整理することで、冷静に対処するための第一歩を踏み出すことができます。
自分が感じていることを正直に書き出すことで、自分の感情を理解する手助けになります。
そして、それを誰かにぶつけるのではなく、まずは自分自身で向き合うことが大切です。
怒りの感情を抑圧せずに吐き出す
先ほど、連れ子に対して嫌いになった出来事やその理由が明確になりましたが、次に、その出来事に対してどのような感情を抱いているのかを書き出すことが重要です。
このプロセスは、心理学の認知行動療法でも活用されており、特に今回のように連れ子に対して生理的に嫌悪感を抱き、顔を見るのも嫌だと感じるほどの強い感情を持つ場合、背後には大きな「怒りの感情」が潜んでいることが多いです。
怒りの感情を言語化し視覚化する方法
まず、感じている怒りを抑圧せずに書き出しましょう。
漠然と抱えている怒りを言語化し、見える形にすることで、その感情をコントロールしやすくなります。
怒りの要因の一つには「不安」が隠れていることが多く、この不安は「何が起こっているのか分からない」漠然とした感覚から生じます。
ですので、感情を明確に言葉にすることで、漠然とした怒りが徐々に和らいでいくのです。
また、怒りの感情を抑圧したり、放置してしまうと、その感情はいつまでも解消されず、連れ子を見るたびにイライラしたり、攻撃的な態度を取る可能性が高まります。
ですので、感情をしっかりと「処理」することが必要不可欠です。
例えば、先ほどの事例をざっくりとまとめると、以下のようなことが怒りの要因として挙げられます。
怒りの要因の事例
- 連れ子からあなたへの感謝の言葉や態度がない
- 自分だけ除け者にされていると感じる
- 連れ子があなたに反抗してくる
これらの出来事に対して、具体的な怒りの感情を表現すると、例えば次のようなものが考えられます。
連れ子から感謝の言葉や態度がない場合の怒りの事例
- 「赤の他人のお前を養ってやってるのに感謝しないなんて、何様のつもりだ!」
- 「ガキのくせに生意気だ、ふざけるな!」
これらの怒りの背後には、あなた自身の「マイルール」が隠れていることが多いです。
これは、あなたにとって「当たり前」のことであり、考えるまでもないことかもしれませんが、怒りの根源を探るためには、この部分を掘り下げていく必要があります。
例えば、以下のようなマイルールが潜んでいるかもしれません。
マイルールの事例
- 子どもは親に感謝すべき
- 親には反抗的な態度を取ってはいけない
これらは、あなたが幼少期から守ってきたルールであり、もしかしたら親から何度も言われたフレーズかもしれません。
また、厳しい躾の中で培われた価値観でもあります。
しかし、連れ子はこれらの「あなたにとっての当たり前のルール」を守らないために、あなたは強い怒りを感じるのです。
「無視されている」「軽く扱われている」と感じ、その結果として怒りが湧き上がるわけです。
次のステップとして、この怒りの感情の背後にある「本音」を理解していきましょう。
怒りの奥にある感情を探ることで、より深い自己理解が進み、連れ子との関係改善に向けた第一歩を踏み出せるようになります。
自分の本音を理解する
先ほど、連れ子との出来事に伴う「怒りの感情」や「マイルール」について理解していただいたかと思いますが、実は怒りの感情は「二次感情」です。
その根底には「一次感情」が隠れており、これはあなたの本音にあたります。
一次感情とは、「寂しい」「悲しい」「虚しい」「不安」「怖い」などの、もっと根源的な感情です。
怒りに繋がる感情の一例として、以下の状況で一次感情が生まれ、その後、怒りという形で表現されることがあります。
怒りに繋がる感情の事例
- 自分が大切にされなかったと感じたとき
- 自分が理解されなかったと感じたとき
- 自分の信じる正しさを否定されたとき
- 相手が自分のルールを無視したと感じたとき
- 自分が見下された、恥をかかされたと感じたとき
これらの出来事があったとき、一次感情として「寂しい」「悲しい」「虚しい」「不安」「怖い」などが湧き上がり、その後、それを抑え込む形で怒りが表出します。
多くの場合、自分の本音である一次感情を認めることが難しいと感じることもあります。
それは、こういった感情を「弱さ」と見なし、恥ずかしいと感じることがあるからです。
そのため、自分の本音を無視し、次のように相手を非難する行動に出ることが多いです。
- 「そんなのはおかしいだろ」
- 「お前は間違っている」
- 「言わなくてもわかるだろ」
しかし、こうした態度で相手を非難し続けると、相手は心を閉ざし、関係がさらに悪化する可能性があります。
特に、相手がまだ幼い子どもであれば、さらに傷つきやすく、一生心を閉ざしてしまう可能性すらあります。
このような最悪の事態を避けるためにも、まず大人であるあなたが、自分の本音と向き合い、それを受け入れることが大切です。
例えば、連れ子やパートナーに対して、あなたが本当はどのような対応や態度を期待しているのかを考えてみましょう。
可能性として、以下のような感情があるかもしれません。
自分の本音の事例
- 「ちゃんとお父さんとして扱ってほしい」
- 「親として認めて、受け入れてほしい」
- 「自分を歓迎してほしい」
- 「子どもよりも自分を優先して、大事にしてほしい」
これらの期待が裏切られたと感じたとき、あなたは次のような一次感情を抱いているかもしれません。
自分の一次感情の事例
- 「親として受け入れてもらえず、悲しい」
- 「自分だけ除け者にされていて、寂しい」
- 「自分を大事にしてもらえず、虚しい」
これらの本音を受け入れるのが難しく、その感情に蓋をしていると、結果として「怒り」という二次感情が表に出てしまうのです。
本音に気づいたら、まずはそれを否定せず、受け入れることが大切です。
初めは、自分の一次感情を受け入れることに抵抗を感じるかもしれませんが、最初はその感情を「意識」するだけでも大丈夫です。
例えば、連れ子の素っ気ない態度に対して怒りを感じたとき、次のように自分の中で振り返ってみましょう。
怒りを感じた時に意識するポイント
- 「ああいう態度を取られると自分は嫌なんだな」
- 「父親として認められていない感じがして、悲しいんだな」
このように、自分の本音を意識することで、怒りの感情が自然と和らぎ、その結果、感情をより適切にコントロールできるようになります。
相手を理解する
子どもの立場を理解することの重要性
連れ子やパートナーに対する怒りの感情を整理し、自己理解を深めた次のステップは、相手の気持ちや立場を理解することです。
特に連れ子には、あなたをすぐに受け入れられない理由があるかもしれません。
あなたが感じているように、連れ子もまた、戸惑いや反発心を抱いている可能性があり、それを理解することが、お互いの関係を改善する鍵となります。
例えば、連れ子があなたに素っ気なく、反抗的な態度を取る理由を探ってみましょう。
そこには、子どもなりの理由や感情が隠れているかもしれません。
それらを理解し、あなた自身が改善できる部分を見つけることができれば、関係性を良くするきっかけになるでしょう。
そのため、他者視点や客観的な視点を持つことが重要です。
子どもがはっきりと「ここが嫌だ」「こうして欲しい」と伝えてくれれば、あなたも具体的な改善に取り組むことができますが、子どもは成長段階にあり、自己理解や感情を言語化するのが難しいことがあります。
子どもの年齢や性格によっては、感情を抑え込んでしまったり、自分でも理由が分からないまま反抗的な態度を取ることも考えられます。
だからこそ、大人であるあなたが客観的な視点を持ち、連れ子の立場を理解しようと努める必要があります。
また、パートナーに連れ子がどのように感じているのかを相談してみるのも一つの方法です。
連れ子がどう思っているかについて、直接的にパートナーから聞くことができれば、関係性を改善するための手がかりになるでしょう。
以下のような視点で、連れ子の態度の背景を探ってみることが役立ちます。
元夫との関係性
例えば、連れ子が元の父親ともあまり会話がなかった場合、あなたにだけ素っ気ない態度を取っているわけではない可能性もあります。
元から父親に対して距離を感じていたのであれば、あなたとの関係も同様に難しいかもしれません。
元夫への感情
連れ子が元夫をまだ慕っている可能性もあります。
母親と元夫が不仲で離婚したとしても、子どもは両親の問題を理解しきれず、あなたが「新しい父親」として登場したことで、父親を奪われたと感じているかもしれません。
その場合、あなたに対して不満や恨みを抱いていることも考えられます。
思春期の子どもの戸惑い
思春期の子どもにとって、新しい父親が現れることは大きなストレスです。
たとえ母親が「今日からこの人が新しいパパだから」と伝えたとしても、子どもにとっては簡単に受け入れられるものではありません。
離婚の傷が癒えていない場合、心の整理がつかないことも多いでしょう。
このように相手の立場や感情を理解することで、関係を改善するための道が見えてくるかもしれません。
連れ子やパートナーの気持ちを尊重し、対話や理解を通じて少しずつ信頼関係を築くことが、最終的には家族としての一体感を育むために大切なステップとなるでしょう。
直接的な話し合いは避ける
直接的な話し合いを避ける理由は、現時点で連れ子との関係が改善されていない場合、対話が逆に子どもに不安や恐怖感を与え、関係をさらに悪化させる可能性があるからです。
特に、継父に対してまだ心を開いていない段階では、直接のやり取りが連れ子にとって重圧となり、萎縮させてしまうことがあります。
そのため、まずはパートナーを橋渡し役として活用するのが理想的です。
パートナーが双方の気持ちや不満を聞き取り、それを適切な形で伝えることで、連れ子に対してプレッシャーを与えずにコミュニケーションを図ることができます。
こうすることで、連れ子が徐々に気持ちを整理し、あなたとの関係を少しずつ受け入れる準備ができるでしょう。
重要なのは、焦らずに少しずつ関係性を改善していくことです。
信頼関係は時間をかけて築くものであり、まずは連れ子が安心して過ごせる環境を整えることが先決です。
まずは連れ子と信頼関係を築くこと
信頼関係を築くためには、まず誠実に自分の本音を伝えることが重要です。
連れ子に対して、以下のようなメッセージを伝えると良いでしょう。
連れ子に伝えるメッセージの事例
- 「君とは血のつながりはないけれど、君のことは心から大切に思っているよ。」
- 「君のためにできる限りのことはしたいし、君を守るためにはどんなことでもするつもりだ」
- 「完璧な父親ではないかもしれないけれど、自分ができることは全力でやり、家族の幸せのために全力を尽くすつもりだよ。」
など、無理に取り繕わず、誠実に本音のみを伝えればいいと思います。
連れ子に対する態度を確認する
もし現時点で連れ子に対して「大嫌い」「生理的にイヤだ」と感じているならば、自分の態度が無意識のうちに攻撃的になっている可能性があります。
無意識に連れ子に対して不機嫌な態度やオーラを出してしまっていることも考えられますが、その場合、連れ子はあなたの態度を「モラハラ」と感じているかもしれません。
特に注意すべき点として、よく見られるケースに「セメントベビー」と呼ばれる、自分とパートナーの間にできた実子には非常に甘く接しながら、連れ子には厳しく当たるというものがあります。
具体的には、連れ子に対して
無意識のモラハラの事例
- 厳しい口調で話す
- 怒鳴る
- 無視をする
- 物を買い与えない(差をつける)
などの露骨なモラハラが行われてしまうことがよくあります。
もしこうした対応に心当たりがある場合、もしくは自分では気づいていなくてもその可能性があると感じる場合は、パートナーに自分が連れ子にどう接しているか確認してもらうことをお勧めします。
自分の態度を客観的に見てもらうことで、気づかなかった偏りや問題に気づけるかもしれません。
また、もしモラハラ自体がどういったものかわからない場合は、こちらの記事を参照にしてくださいね。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
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