夫が連れ子を可愛がらない場合の対処法
今回は、夫が連れ子を可愛がらない場合の対処法についてご説明します。
私たちはモラハラ解決を専門としていますが、最近では、子連れ再婚、いわゆるステップファミリーに関する家庭問題の相談も増加しています。
近年、子連れで再婚する家庭が増えていますが、同時に離婚率も上昇しています。
その主な理由の一つが、継親と連れ子(継子)の関係がうまくいかず、婚姻関係が続かなくなることです。
特に多くの問題が見られるのが、夫(継親)と妻の連れ子(継子)との関係です。
これは、夫が連れ子を愛せないだけでなく、連れ子も父親を受け入れられないという、相互に心を通わせることができない状況が生まれがちです。
特に思春期の子どもにとっては、突然新しい父親が現れることに戸惑うのは当然であり「今日からこの人が新しいパパだから」と母親に言われても、まだ離婚の傷が癒えていない場合、簡単に受け入れられるものではありません。
また、子連れ再婚で多く見られる問題として、家庭内のモラハラがあります。
このような相談も増えており、特に多いのが、夫(継親)が妻と自分の間にできた子ども、いわゆる「セメントベビー」には非常に甘いのに対し、連れ子(継子)には厳しい口調で接したり、時には怒鳴ったり、無視したり、物を買い与えないなど、露骨なモラハラを行うケースです。
これらの問題は、子連れ再婚における婚姻継続の大きな課題と言えます。
このような家庭内でモラハラが行われ、家族がうまく機能していない状態を「機能不全家族」と呼びますが、婚姻関係を継続するためには、この機能不全家族の状態を解消することが重要です。
さらに、最も大切なのは、子連れ再婚において常に子どもを最優先に考えることです。
これは夫をないがしろにするという意味ではありませんが、子どもは大人に比べて経験が少なく、親の離婚は大きなストレスを引き起こします。
特に、離婚の傷がまだ癒えておらず、本当は再婚を望んでいないけれど、母親を気遣って同意している場合もあります。
また、子どもは一人では生きていけません。
親に見捨てられることは、子どもにとっては大きな不安要素です。
だからこそ、あなたは常にお子さんの味方であり続けてください。
今回は、これらの問題に対する解決法について説明します。
モラハラ夫への対処法やお子さんへの接し方について詳しく解説しますので、少し長くなりますが、最後までお読みいただければ幸いです。
また、再婚相手の連れ子が好きになれないという方は、こちらの記事も参照にしてくださいね。
この記事はこんな方におすすめです
- 夫と連れ子が不仲で困っている方
- 子連れ再婚で困っている方
- 夫から子どもへのモラハラに困っている方
もくじ
- 日本における婚姻件数と離婚件数
- 子連れ再婚での離婚率
- 連れ子を可愛がらない夫への対処法集
- 母親が2人の橋渡し役になることが重要
- 夫の意見を否定せずに受容する
- 連れ子への印象を改善する
- 夫が「自分の子どもじゃないから愛せない」と言った場合
- 連れ子が父親を嫌っている場合
- 夫の発達障害の可能性を疑ってみる
- 連れ子にだけ明らかにモラハラをする場合
- 夫が自分の子どもと連れ子を比較して遠回しに批判や嫌味を言う場合
- まとめ
日本における婚姻件数と離婚件数
2023年の厚生労働省の調査によると、日本の婚姻件数は約47万4,000組、離婚件数は約18万3,800組でした。
これは、日本の夫婦の約3組に1組以上が離婚している計算になります。
婚姻件数が減少する一方で、離婚率は年々高まっており、再婚に対する社会の受け入れも広がっています。
2022年の厚生労働省の調査によれば、50万4,900組の婚姻件数のうち、再婚は12万7,000組を占めています。
内訳としては、夫が再婚で妻が初婚の夫婦が46,000組、妻が再婚で夫が初婚の夫婦が33,000組、夫婦とも再婚のケースが47,000組です。
子連れ再婚での離婚率
一方、子連れ再婚における離婚率については、一般的に50%などと言われていますが、これは厚生労働省などの公式データではなく、信頼性に欠ける情報です。
ただし、初婚や再婚を問わず、現状として3組に1組が離婚していることには変わりありません。
そのため、いかに離婚せずに結婚生活を続けるかが、今後の大きな課題であるといえます。
連れ子を可愛がらない夫への対処法集
母親が2人の橋渡し役になることが重要
夫が連れ子を可愛がらない場合、まずは夫の言い分を理解することが大切です。
夫と2人きりの場を作り、以下のように冷静に質問して、夫の本音を引き出しましょう。
夫の本音を引き出す質問の事例
- 「息子のどんなところが可愛くないのか?」
- 「なぜ愛せないと感じるのか?」
- 「どうして厳しく接してしまうのか?」
重要なのは、夫がどんな本音を言っても否定しないことです。
以下のような理由を聞いても、感情的にならず、冷静に受け止めましょう。
夫の連れ子に対する本音の事例
- 「自分の子どもじゃないから」
- 「俺のことをパパと呼ばないから」
- 「妻と元夫の血が混じっているから」
- 「俺の子どもより勉強が出来ないから」
- 「そもそも男の子どもが苦手だから」
- 「俺に全く感謝をしないから」
- 「俺に全く懐いて無いから」
- 「お前(妻)だけは好きだが子どもは違う」
- 俺を蔑むような目で見るから
これらを聞くと、多くの妻は怒りを覚えるでしょう。
そして恐らく、こう思うでしょう。
夫への怒りの感情の事例
- 父親になる権利なんて無い、失格
- 甲斐性が無い
- それなら最初から再婚すると言うなよ
- お前、マジでクズだな
- お前は自分のことしか考えてないゴミ人間
- お前何様だよ、最低だなコノヤロー
しかし、感情を爆発させると、夫との関係が悪化し、離婚に繋がる恐れがあります。
そこで、子どものためにも、まずはグッと堪えて、夫の本音を受け入れましょう。
夫の意見を否定せずに受容する
夫の言い分に同意する必要はありませんが、相手の意見を尊重する態度が大切です。
「あなたはそう思うんだね」という姿勢で、受け入れることが大切です。
これはカウンセリングの基本であり、相手に「理解された」と感じさせ、信頼を築く一歩となります。
ただし、これだけでは夫の態度は変わりません。
次に、連れ子への印象を改善するための工夫が必要です。
連れ子への印象を改善する
連れ子に対する夫の態度を変えるためには、少しずつポジティブな印象を持たせることが効果的です。
例えば、次のような方法で夫に間接的に伝えることができます。
- 「息子は新しいパパは優しいから好きって言ってたよ」
- 「息子はかなり人見知りで口下手だけど、あなたのことは信頼しているみたい」
これは、実際に息子がそう思っていなくても構いません。
繰り返しこのような言葉を伝えることで、夫の態度が軟化する可能性があります。
夫が「自分の子どもじゃないから愛せない」と言った場合
夫が「自分の子どもじゃないから愛せない」と本音を吐露した場合、冷静に「そうなんだね」と受け止めた上で、次のように伝え続けましょう。
- 「私は、無理に息子を好きになって欲しいとは思わない。でも、時間がかかってもいいから、少しずつ愛してくれたら嬉しい」
- 私は、あなたの家族が大事だし、あなたの両親や義兄弟も大切に思っている
このように穏やかに話し続けることで、夫の態度も少しずつ変わるかもしれません。
連れ子が父親を嫌っている場合
反対に、連れ子が新しい父親を嫌っている場合も、同様にまずは理由を聞き出し、改善できる部分を探りましょう。
無理強いはせず、子どものペースに合わせて進めることが大切です。
家庭が安全な場所でなくなると、子どもはストレスを感じ、エネルギーが枯渇してしまいます。
その結果、うつ病や適応障害に繋がり、不登校や引きこもりになるリスクが高まるため、慎重に対応する必要があります
また、注意すべき点として、夫と連れ子が直接話し合うのは、両者の関係性が十分に改善されていない時点では避けるべきです。
母親であるあなたが橋渡し役として間に入り、お互いの不満や言い分を聞き、それを相手が受け入れやすい形で伝えることが大切です。
少しずつ家族関係を改善していくのが理想です。
しかし、そうなると「私のストレスはどうすればいいのか」「ずっと家族の仲介役に徹して我慢し続けなければならないのか」といった不満が湧いてくることもあるでしょう。
そのようなときは、我々のような専門家やカウンセラーに頼ることが重要です。
カウンセリングを通じて、不満やストレスを吐き出してもらうことができ、それが私たちの役割です。
夫の発達障害の可能性を疑ってみる
もし、夫が自分の子どもであっても、子どもそのものに興味がないと感じる場合、発達障害の一種であるASD(自閉スペクトラム症)を疑ってみることが必要かもしれません。
ASDは、主に情緒的なコミュニケーションが苦手な特性を持つ発達障害です。
知能に遅れはなく、むしろIQが高い人も多く見られます。
自分の興味のあることには集中力を発揮するため、社会的に成功している人も少なくありません。
ASDの主な特徴
- 他人に興味がない
- 空気が読めない
- 相手の気持ちが理解できない
- 家事や子育てに協力しない
- 妻の悩みを理解できない
- 思い通りにならないと癇癪を起こす
- 妻の話を聞かず、自分の話ばかりする
- 独特なこだわりやルールを持っている
これらの特徴が見られる場合、妻は家庭内で孤独感や絶望感を感じることがあり、その結果、うつ状態に陥る「カサンドラ症候群」になることもあります。
もし夫の行動に心配がある場合、ASDの可能性を考慮して、適切な対応を取ることが重要です。
ASDや発達障害について詳しく知りたい方はこちらのブログも参照してみてください。
連れ子にだけ明らかにモラハラをする場合
例えば、夫が自分の子ども(セメントベビー)には全く怒らないのに、妻の連れ子にだけ怒鳴ったり、物に当たったり、無視をするなどのモラハラ行為を行う場合、まずは毅然とした態度で対応することが重要です。
具体的には、以下のように冷静に伝えましょう
夫のモラハラへの対処法
- 「息子にだけ怒鳴るのはやめてくれる?」
- 「ドアを激しく閉めるのはやめて」
- 「息子を無視をしないで」
このときの注意点は、感情的にならず、毅然と自分の意思を伝えることです。
それでも夫が態度を改めない場合は、少し語気を強めて「しつこいんだけど」「いい加減にして」と明確に伝えます。
また、怒鳴ったり、物に激しく当たるなど、暴力に発展しそうな場合は、物理的に距離を置くことをおすすめします。
安全を第一に考え、必要なら専門家の支援を求めましょう。
夫が自分の子どもと連れ子を比較して遠回しに批判や嫌味を言う場合
夫が遠回しに連れ子を批判したり、比較して嫌味を言う場合、冷静に以下のように伝えましょう。
- 「そういう言い方をされると、私の息子がバカにされているように感じるからやめてほしい」
- 「あなたの子どもより息子が下だと言われているようで、傷つくのでやめてほしい」
夫がASD(自閉スペクトラム症)傾向にある場合、相手の感情を理解しにくいことがあります。
このようなケースでは、悪意がなく言っていることもあるため、繰り返し伝えることが必要です。
自覚させることで、少しずつ改善が見られるかもしれません。
まとめ
最後までお読みいただきありがとうございました。
今回の内容を参考にして頂き、あなたの家庭の問題が一日も早く解決するように願っています。
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