モラハラ夫に脅された時の対処法
今回は、モラハラ夫に脅された時の対処法を説明していきます。
モラハラ夫は、自分の思うようにならないと、あらゆる手段で妻を思い通りにしようとします。
その言い分は、第三者の目線で見れば、明らかに論理破綻や支離滅裂なものです。
しかし、当事者からすると夫の暴言や圧力で恐怖からパニックになり冷静な判断ができず、モラ夫の言いなりになることがあります。
そのような脅しに屈しないためにも、知識と反論方法を身につけて、ご自身の身を守ることが大切です。
今回は法律に基づいて、様々な実例を元に説明していきます。
また、モンスターモラ夫への対処法が知りたい方は、こちらの記事を参照にしてくださいね。
※プライバシーに配慮して本人特定できないように一部改変しています
※本人の了承確認済※
もくじ
- 別居後に子どもを連れ去りだと脅してきた場合
- 「離婚だ」「死んでやる」と脅してきた場合
- 夫からDVをしておきながら自ら警察を呼んだ場合
- 物を壊して脅してきた場合
- 「お前のせいでうつ病になった」と脅してきた場合
- 「オマエの親族と縁を切れば復縁してやる」と脅してきた場合
- まとめ
この記事はこんな方におすすめです
- モラハラ被害者の方
- モラ夫と別居中の方
- モラハラ夫への対処法が知りたい方
別居後に子どもを連れ去りだと脅してきた場合
夫からのモラハラ被害に耐えきれず、お子さんを連れて実家などに昼逃げを行って別居したケース
その際に、夫からの反省や謝罪の言葉は全くなく鬼電や大量のLINEで「子どもに会わせろ」「お前のしていることは連れ去り行為だ」「警察に通報するぞ」と脅してくる夫も多数います。
この「警察に通報するぞ」というフレーズに対し、「私が悪いのか?」と怯んでしまう妻もいますが、子どもと共に別居した行為が連れ去り行為に該当するのかを検証していきます。
子どもの連れ去り行為とは
簡単に説明すると、夫婦の片方が配偶者または元配偶者との事前の合意を得ずに、一方的に別居をして、相手のもとに返さない行為を指します。
未成年者略取に該当するか
結論から言うと、あなたが夫からのモラハラ被害から逃れるために子どもを保護する目的で連れ去った場合、未成年者略取に該当しません。
ちなみに、モラハラ(精神的DV)は2024年4月からDV防止法に含まれます。
※DV法について知りたい方は、こちらの記事も参照にしてください
夫から妻に対するモラハラも、子どもに対するモラハラも該当します。
配偶者へのDVが激しい場合は、子どもにもDV被害が及ぶ可能性があるため、DV被害を受けている配偶者がたとえ、子どもを連れ去っても違法とはならない可能性が高いといえるでしょう。
また、あなたが主たる監護者であれば、尚更、連れ去り行為には該当しません。
主たる監護者とは、該当する子どもの養育に深く関わってきた人のことです。
具体的な実績から判断され、子どもの看病や保育園、幼稚園への対応などが含まれます。
この主たる監護者であるかが親権争いにおいて重要です。
要約すると、あなたが夫からモラハラ被害を受け、主たる監護者である場合は、連れ去り行為には該当しません。
ですので、夫が「連れ去り行為だ」と主張してきた場合は、この2点を元に「連れ去り行為には該当しない」と主張してください。
どちらか一点であっても、連れ去り行為には該当しない可能性が高いです。
もし夫が警察を呼び、あなたの避難先に来た場合は、冷静に「夫からのモラハラ被害から逃れるために別居しており、私が子どもの主たる監護者である」と主張してください。
また逆に、夫が幼稚園や小学校の通学途中に子どもを待ち伏せして無理やり連れ去る、家に来て同意も得ずに子どもを連れ去る行為は、未成年者略取として刑事告訴される可能性があることを夫に伝えて釘を刺してもよいでしょう。
「離婚だ」「死んでやる」と脅してきた場合
これらの言葉は男女間の別れ際に多く使われ、あらゆる手段を講じても自分の要求が通らない時に用いられる最終手段です。
特に「死んでやる」と口にする人は、まるで「俺が死ぬのは全てお前のせいだ」と言わんばかりに、妻に罪悪感を植え付けてコントロールしようとします。
被害者体質の女性は、この言葉を真に受けて「死なれたら困る」と思い、夫の要望を受け入れてしまうことが多々あります。
ちなみに、「離婚だ」「死んでやる」という発言自体は、あなたに直接害を与えていないので脅迫罪には該当しません。
脅迫罪とは、本人や親族の生命、身体、自由、名誉、または財産に対する害悪を告知して脅迫する行為です。
脅迫罪が成立するには、「脅迫罪の対象者」に対して「害悪の告知をすること」がポイントとなります。害悪の告知とは、本人や親族の生命、身体、自由、名誉、または財産に害を与えることを告げる行為を指します。
(刑法第222条)
ただし、これらの言葉の前後の文脈によっては、さまざまな罪に該当する可能性があります。
例えば、夫が「性交渉をしないなら、死んでやる」「離婚だ」と発言する場合、強要罪に該当することがあります。
また、夫から無理やり性交渉をされた場合は不同意性交罪に該当します。
「俺に死なれたくなければ、復縁しろ」「今すぐ戻ってこい」などの発言は、義務のないことを強要しているため強要罪に該当します。
また、別居中にこれらの発言が繰り返される場合、ストーカー規制法のつきまとい行為として「面会・交際などの要求」に該当します。
※ストーカー規制法について知りたい方はこちらの記事を参照にしてください。
遺書に「お前やお前の親族の秘密を書いてやる」「その土地に二度と住めないようにしてやる」などと書かれていれば、名誉または財産への害悪の告知として脅迫罪に該当します。
別居中に「俺と別れるなら、自殺してやる」という発言は、ストーカー規制法のつきまとい行為である「乱暴な言動」に該当します。
さらに、これらの発言が繰り返された場合、ストーカー規制法の「無言電話、連続した電話、メール、FAXの送付」に該当します。
「死んでやる」などの発言を繰り返すことで、あなたがうつ病や精神疾患を患った場合、傷害罪に該当することがあります。
夫からDVをしておきながら自ら警察を呼んだ場合
これは特殊であり、かなりレアなケースですが、モラハラ夫の中にはこのような思考を持つ人もいます。
スマホで録音しようとしたのがバレて奪われそうになってもみ合いになり、投げ飛ばされる等の成り行きでDVに至ったケースや、自分から妻を馬乗りになって殴っておきながら、自分で警察を呼ぶパターンまであります。
どちらの場合でも夫としては「妻を落ち着かせるために殴った」「妻の頭がおかしいから逮捕して欲しい」「妻の頭がおかしいから殴った」と主張しますが、もちろん、妻が逮捕されることはなく、夫には傷害罪もしくは暴行罪が適用されます。
簡単に説明すると、相手が怪我をした場合は傷害罪、怪我をしなかった場合は暴行罪が適用されます。
どちらも相手に暴力を振るった際に該当します。
このケースでは、夫が自ら自供し、現行犯で逮捕されるようなもので、ある意味理解し難いですが、実際に我々も何件か見聞きしていますし、あなたの身にも起こり得るケースです。
夫は妻のことを「本当に頭がおかしいと思っていて」「頭がおかしい奴は殴っても良い」と考えているため、このような行動や発言に至るのでしょう。
このケースでは、警察から妻に対して「夫を逮捕しますか?」「被害届を出しますか?」と質問されます。
夫からの身体的暴力が日常的であるならば、治る見込みは少ないため、逮捕させる方が良いでしょう。
また、あなたやお子さんが夫からの暴力で怪我を負っている場合は、被害者保護の緊急性が高いため、夫は現行犯逮捕される可能性が高いです。
暴行罪とは、2年以下の懲役もしくは30万円以下の罰金、拘留または科料の罰則が科せられます。
(刑法第208条)
傷害罪とは、15年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられます。逮捕後に勾留された場合は最長で23日間拘束されることがあります。
(刑法第204条)
物を壊して脅してきた場合
ケンカになった時に、あなたに直接危害を加えず、物を壊すモラハラ夫もいます。
あなたのスマホを投げて壊したり、パソコンを叩き割るなどして脅してくる夫もいます。
まず、夫があなたのスマホを故意に壊す行為は器物損壊罪が適用されます。
その際に「殺すぞ」「しばくぞ」などの発言があれば脅迫罪が適用されます。
夫が自分の思い通りにならない時に物を壊すなどして威圧感を与えてくる場合、これは精神的DVに該当します。
それにより、あなたが身の危険を感じた時は迷わず警察に通報することをお勧めします。
器物損壊罪とは他人の物を損壊し、または傷害した者は3年以下の懲役または30万円以下の罰金、もしくは科料に処されます。
(刑法第261条)
「お前のせいでうつ病になった」と脅してきた場合
これも先述の「死んでやる」と口にするモラハラ夫と同じ思考です。
妻に罪悪感を植え付けてコントロールしようとするのが目的です。
このケースでも、被害者体質の女性は夫の言葉を真に受けて要望を受け入れてしまうことがあります。
ですので、まずは夫が本当にうつ病になったのかを確認してください。
「通院しているのか?」「薬はちゃんと服用しているのか?」「診断書はあるのか?」などを確認しましょう。
もしうつ病での通院が事実であれば、その上で今後どうしたいのかを確認してください。
「私を傷害罪で訴えたいのか?」「離婚したいのか?」など、夫の意思を確認することが重要です。
夫の煽り発言に振り回されず、どこまでも淡々と話すことが必要です。
夫が傷害罪で訴えると言ってきた場合は、あなたも夫からのモラハラ被害で訴えることができます。
裁判の際には証拠が必要ですので、暴言の録音やLINEのスクリーンショットを残しておくようにしてください。
ちなみに、「お前のせいでうつ病になった」と脅してきたのに、実際には夫がうつ病ではない場合、事実適示による名誉毀損罪や損害賠償請求が適用される可能性があります。
名誉毀損罪とは公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者に対して、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役若しくは禁錮、または50万円以下の罰金に処するというものです。
(刑法230条)
「オマエの親族と縁を切れば復縁してやる」と脅してきた場合
モラハラ夫は、妻側の親族との不仲がしばしば見られます。
彼らは外面が良く、最初は義両親に気を遣う姿勢を見せます。
しかし、妻側の家族との関係が良くなり交流が増えることで、家に出入りされるようになり自由が制限され、それらが苦痛に変わります。
さらに、妻が帰省する際にも、家事を妻がしないことに対して不快感を覚えるようになります。
このように、夫にとってデメリットしかないと感じることで、義家族との交流が減少し、やがて疎遠になることがあります。
モラハラによる別居の典型的なパターンとして、妻が子どもを連れて実家や親族の家に帰るケースが挙げられます。
これは、夫からの安全を確保するためにも最善策だと考えられます。
夫にとっては、妻と子どもが突然出て行き、それを義両親が援助していることが明らかになると、急に敵意を露わにすることもあります。
また、夫の中には「妻が逃げる場所があるから別居になったんだ」という論理の破綻した考えから、全ての責任を義両親に転嫁するモラハラ夫もいます。
傍から見れば、妻が子どもを連れて別居に至ったのは、夫のモラハラが原因でしかありません。
ですから、夫は義両親に頭を下げて「妻と子どもを傷つけて本当に申し訳ありませんでした」「心を入れ替えます」「もう一度チャンスをください」と謝罪すればいいのですが、モラハラ夫にその思考はありません。
彼らはすべて妻が悪いと思い、それを匿っている義両親も同罪だと考えています。
このような思考から、上から目線で「お前の親族と縁を切れ」「そうすれば、この家に帰ってくることを許してやる」という発言が出るのです。
当然のことですが、夫からのこのような要求に応える必要は全くありません。
また、夫が直接、義両親を批判したり、妻が夫に対する不満を義両親に伝えている場合、復縁は難しいと思います。
関係を続けると、あなたが夫と両親の板挟みになり、相当なストレスがかかることは容易に想像できるでしょう。
ちなみに、夫から「お前の親族と縁を切れ」という発言は、強要罪に該当する場合があります。
強要罪とは、被害者に義務のないことをさせたり、権利行使を妨害したりすると成立します。
まとめ
最後まで読んで頂きありがとうございました。
今回の記事を参考にしていただき、あなたを脅してくるモラハラ夫には絶対に屈しずに、これらの知識や法律を盾にして毅然と対応していただければと思います。
また、モラハラ加害者の方には、今回の内容は耳の痛い話になるとは思います。
悪意がなくともご自身の行為によっては刑事罰に該当する場合もあります。
その様なことにならないためにも、ぜひ第三者の意見を聞いてみて下さい。
モラハラ被害を受けておられる方は、一人で抱え込まずに、まずは気軽にご相談してくださいね。
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