離婚寸前から関係修復|私たち夫婦がモラハラを解決した被害者妻の道のり
この記事は、以前公開した「モラハラを乗り越えた妻の記録」をベースに、より詳しく、わかりやすくブラッシュアップした内容です。
私はリジェネ所長の太田瑠美です。
夫と共にモラハラを解決した実体験を持ち、現在は専門相談員として活動しています。
過去に新聞取材を受けた記事がYahoo!ニュースに転載された際、「この人はまだ洗脳されている」「こんなことで治るのはモラハラじゃない」といったコメントをいただきました。
確かに、一般的に想像される被害者像とは異なるかもしれません。
しかし、モラハラ被害者にも様々なタイプがあります。
今回は、私自身の被害者体質がどのように形成され、どう克服したかを詳しくお伝えします。
同じような状況で悩む方の参考になれば幸いです。
この記事はこんな方におすすめです
- モラハラ被害者の方
- モラハラ被害の実態が知りたい方
- モラハラ被害者からの回復過程が知りたい方
もくじ
- モラハラ被害の実態|常に息苦しい夫婦生活
- カウンセラーに突き放された絶望体験
- 離婚ではなく自分で解決の道を切り開く決意をした転機
- 解決への具体的な取り組み
- 被害者体質の形成過程|幼少期の影響
- 夫の発達障害に気づいた瞬間と関係改善
- 発達障害夫との健全な関係性の築き方
- モラハラ解決から学んだこと
- 夫といると息苦しいあなたへ
モラハラ被害の実態|常に息苦しい夫婦生活
夫といると頭がおかしくなりそうだった。
モラハラを受けていた時期、夫と暮らしていると常に息苦しさを感じていました。
明確な暴言はほとんどありませんでしたが、全てが「夫が正しい=私が間違っている」という図式で進む空間にいると、頭がおかしくなりそうでした。
夫は私の過去の失敗を持ち出し、年齢や社会経験の違いを根拠に冷静に説教してきます。
客観的に見れば筋が通っているように思えるため「私が間違っているのかな」と誰でも思ってしまうでしょう。
夫のモラハラには以下のような特徴がありました。
日常的な圧迫感
- イライラしている時の黒いオーラ
- 長時間続く溜息
- 無言の威圧
理不尽な怒りのパターン
- そっとしておくと「無視された」とキレる
- 慌てて対応すると「労いがない」と指摘される
- 最終的に離婚や別れを匂わされる
- 時間が経つと軽い謝罪で「アドバイスだった」と言われる
優しい時もある夫
ただし、夫のモラハラには一般的なケースと異なる点がありました。
優しい時の態度
- 普段は冷静でおかしなことは言わない
- 思いやりや優しさを示す時もある
- 特定の状況でのみモラハラ行動が発生
不機嫌になる時のパターン
- 私を楽しませようとしている時
- 自分が楽しみにしている時
- 初めての経験で自信がない時
- 慣れていない状況に置かれた時
これらの状況では、ASD特性による変化への拒否感から脳内がパニック状態になり、その混乱を言語化できないためにキレるという特徴がありました。
「自分が正しい」と証明するまで、静かにキレ続けるという特徴がありました。
この行為が後に「不機嫌ハラスメント(フキハラ)」と呼ばれるものだと理解できました。
カウンセラーに突き放された絶望体験
息苦しさを感じた時点で、一度カウンセリングを受けました。
そこで以下の診断を受けました。
初回カウンセリングでの診断
- 夫の行為は明確にモラハラである
- 私はカサンドラ症候群で共依存状態にある
- 離婚か別居を強く推奨
夫がまるで犯罪者のような扱いを受け、カウンセラーは私の意見を全く聞こうとしませんでした。
違和感と二次被害
しかし、この診断に私は違和感を覚えました。
「夫は本当にそこまで悪い人なのでしょうか?」と質問すると、矢継ぎ早に以下の返答がありました。
- 「あなたは共依存だから、まともな判断ができなくなっている」
- 「モラハラは自己愛性で絶対に治らないから離婚すべき」
確かにカサンドラ症候群の状態で思考は鈍くなっていましたし、共依存状態でもあったと思います。
しかし、当時の私には突き放された言葉に感じられ「離婚しかないのか」「やっぱり私がおかしいんだ…」と自分を責める気持ちになりました。
これが後に気づく「二次被害」でした。
唯一の理解者になってくれるはずのカウンセラーにさえ理解されないという絶望感は、被害者をさらに追い詰めます。
離婚ではなく自分で解決の道を切り開く決意をした転機
カウンセリング後、なかなか納得できずにいました。
当時は現在ほどの解像度で物事を見られていなかったため、モヤモヤした感情を誰にも伝えられずにいました。
そこで、自分で思いつく限りの対処法を試し、ネットで検索し、本で調べるなど様々なことを実践しました。
しかし、なかなか上手くいきませんでした。
幼少期から学んだ考え方の活用
追い込まれた時、幼少期に大人から言われた言葉を思い出しました。
- 「過去と他人は変えられないが、未来と自分は変えることができる」
- 「乗り越えられない困難は与えられない。きっと乗り越えられる」
父が出ていった時、母がノイローゼのようになった時、姉たちが出ていって母と祖母だけになった時、電気を止められて寒さに震えた時…
様々な困難の度に、この言葉を思い返して行動してきました。
そこで今回も「もしかして、私が変われば彼も変わってくれるかもしれない!」と希望を胸に勉強を開始しました。
解決への具体的な取り組み
最初は全く上手くいかず、逆に夫からの攻撃は激化しました。
何度も自分の行動と言動を振り返った結果、「押し付けがましい気持ちがあった」ことに気づきました。
「あなたのことを知りたい、あなたと良好な関係を築きたい」という姿勢でアドバイスをやめていくと、徐々に夫との関係が改善され、対話する機会が増えました。
夫からの重要なフィードバック
その頃、夫から「否定しなくなったから話しやすい」と言われました。
今まで夫に良くなってほしい気持ちから言っていたことが、否定として捉えられていたのです。
この気づきにより、自分のコミュニケーション方法にも問題があったことを理解しました。
「わかり合いたい」という気持ちから発していても、コミュニケーション次第でこれほどすれ違うのかと落ち込みましたが、同時に解決の光も見えました。
自己理解の深化
夫のことがわからなかった理由は「私の価値観で判断していたから」でした。
そこで自分自身を掘り下げることにしました。
私の基本性格の分析
- 何でもいい・どうでもいいと思う部分が大きい
- 他者のステータスに興味がない
- 揉めるくらいなら相手に譲ることが平気
- 諸行無常の考え方、悪いことはすぐ忘れる
- 問題があるとまず自分に原因を求める
- 周りに負荷をかけるのが嫌
- 一人で思考実験をするのが好き
まさにモラハラをする人間にとって都合の良い性格をしていました。
被害者体質の形成過程|幼少期の影響
三姉妹の年の離れた末っ子として、かなり可愛がられて育ちました。
しかし、小学4年生の時に父が多額の借金を抱えたため、母と経営していた会社を捨てて愛人の元に行き、その愛人と子どもを作りました。
それまでの裕福な生活から、突然電気やガスを止められるレベルの貧困な母子家庭に転落しました。
借金取りも来るようになり、家庭は常に不安定な状況でした。
空気を読む子どもへの変化
父親が出ていったショックで母が抑うつ状態で酒浸りになり、姉たちのメンタルも崩壊していきました。
わがままだった私も、家庭内が不穏になり、母や姉たちの顔色を常に伺うようになっていきました。
お金のやりくり・仕事・家事で疲れている母や家族に負担をかけたくない、困らせたくないという思いから、家庭では常に明るく振る舞い、辛いことがあっても「自分の心の問題は見ないようにする」癖がついてしまいました。
自分よりも他者を優先する思考の形成
父が家を出たため、母や姉たちのメンタルが不安定になり、小学校低学年にも関わらず、家庭を円滑に運営するために私が家事を行うようになりました。
また、中学になると姉の子どもも生まれ、姉は育児よりも仕事を優先しなければいけない環境だったため、その子守りも自然と行うようになりました。
今思えば、これは典型的なヤングケアラー状態でした。
幼少期からヤングケアラー体質で、年齢の割にかなり全体を見渡し、常に落ち着いていたため、障害のある生徒のサポートをお願いされるなど学校の先生からも頼りにされる存在になっていきました。
そのため、私には反抗期がなく、自分の気持ちは常に押し殺すのが当たり前で、そのことを苦痛とも思わなくなり、全体が上手くいくためにはどうすれば良いかを常に考えるようになっていました。
年齢の割には大人びた部分のある子どもだったと思います。
学校よりも家庭を優先する生活
小学校はすぐ近くにありましたが、次第に学校よりも家庭を優先するようになりました。
母親も不登校を咎めるタイプではなかったので、自然と優先順位が家庭優先となりました。
姉も母も「自分を優先しなさい」とは言ってくれましたが、大切な家族が目の前で困ると分かっていながら、自身を優先させることは出来ませんでした。
夫の発達障害に気づいた瞬間と関係改善
自分を掘り下げる過程で、児童向けの心理学書を読んでいると、発達障害について記載された部分がありました。
それを読んで「あれ。夫ガチで発達障害やん」と気づきました。
夫は以前から「たぶん発達障害だと思う」と言っていました。
後になって病院を受診した結果、夫はASD・ADHDの混合型と診断されました。
しかし当時の私は軽く流してきちんと受け入れていませんでした。
「ちょっとコミュ障なだけ」「ちょっと人見知りなだけ」程度に考えていたのです。
夫の困りごとの理解
当時はまだ発達障害への理解が浅く、以下の行動を「困った癖」程度に捉えていました。
しかし後の診断により、これら全てがASD・ADHDの特性だったと判明しました。
夫の特性として観察できたこと
- 空気を読めない
- 距離感がおかしい
- 無反応で無視をしているように見える
- 不用意な発言で周りを困惑させる
- 想定外のミスをする
- 人間に興味がない
- 変化への拒否感
- 強いこだわり
- 決めた通りにならないとフリーズする
- 突然、沸騰したように怒り出す
相互理解の深化
夫本人の思いと私が感じていたことに違いがあると気づきました。
例:コミュニケーションの齟齬
- 夫にとって: 他人に興味がないのは特性
- 私にとって: 会話中に席を離れたり無反応だと「嫌われている」と感じる
この対応を咎めると夫は自己否定されたと感じてキレるというパターンがあると理解しました。
自分自身の特性への気づき
調べているうちに、自分自身にもADHD傾向やグレーゾーン的な特性があることに気づきました。
現在も精神科の受診はしていませんが、以下のような困りごとがありました。
私のADHD傾向による困りごと
- 光熱費等の支払いを忘れる
- 時間にルーズ
- 趣味等で時を忘れるレベルの過集中
- 片づけが苦手
また、夫の発達障害をなかなか認められなかったのは「私が選んだ男が障害者である」と認められなかった部分であり、差別の感情が少しでもあったことを自覚し、猛省しました。
発達障害夫との健全な関係性の築き方
批判から理解への転換
夫のできない部分を批判ばかりするのではなく、夫の特性自体を理解し、新たに関係性を築こうと思いました。
夫は認知行動療法と怒りの感情をコントロールすることで、私が知るどの人間よりも自己管理できる人になりました。
彼の変わった姿を見て、発達障害があっても変化は可能だと断言できます。
特性を活かした相性の良さ
夫が特別な人ではなく、ASD特性である「自分で決めたルールは守る」ということを理解して、絶対に守れる仕組みを作りいつも実践しています。
私は臨機応変に対応するのが得意なので、夫のミスは臨機応変にカバーできるというのも相性の良さだと思っています。
考え方の変化
以前は夫のできないことに落胆していましたが、今は夫らしい反応を見ると微笑ましく感じています。
人それぞれ違いがあるからこそ、お互いを補い合えるのだと気づいてから、夫の特性を楽しめるようになりました。
相互理解の姿勢
現在の私たちは、お互いの特性を受け入れた関係性を築いています。
私は夫に対して「あなたの特性も含めて、あなた個人を気に入っている。だからこそ結婚したし、今も一緒にいる」という気持ちを伝えています。
同時に「あなたはあなた、私は私」というスタンスで、私がカバーすることが当たり前にならないようにお互いを尊重しながら過ごしています。
人は変化したいと思えば変われますが、限界はあります。
古いiPhoneを最新アップデートしてしまったらパンクして動かなくなるように、自分のポテンシャルは理解しておくべきです。
自分の良し悪しを飲み込めるからこそ、他者を受け入れることができるのです。
モラハラ解決から学んだこと
夫婦喧嘩の意味
夫婦喧嘩はあっていいと思います。
それは根底に「わかり合いたい」という期待があり、一番の理解者である夫に「自分のことをわかって欲しい」という切実な思いから発生するものだからです。
夫婦喧嘩は一時的にぶつかる行為ではありますが、決して悪い行為ではありません。
長い目で見ると、夫婦が共存していくために必要な行為であると考えています。
ただし以下が重要
- お互いをわかり合うために話し合いをする意味を忘れないこと
- お互いを尊重する前提で話し合うこと
話し合いという名の支配行為
自分の意見を相手に押し付けて、言うことを聞かせるための話し合いは、話し合いなどではありません。
相手が受け入れるまで、首を縦に振るまで続く説教やモラハラと同じです。
これは相手への支配と同じ行為であり、自他の境界線もなく、相手への尊重もありません。
このことを自覚し、自己コントロールできるようになることが大切です。
夫といると息苦しいあなたへ
「夫といると頭がおかしくなりそう」「常に息苦しさを感じる」—そんなあなたの感覚は間違っていません。
私も同じ体験をしました。
明確な暴言がなくても、すべてが「夫が正しい=私が間違っている」という空間で生きるのは本当に辛いものです。
無言の威圧、長時間の溜息、不機嫌ハラスメント(フキハラ)などの受動攻撃に苦しんでいませんか?
受動攻撃とは
表面的には友好的な態度を取りながら、間接的に相手を攻撃する行為です。
「お前が悪い」と怒鳴るような明確なモラハラとは異なり、不機嫌を撒き散らす、睨む、無視するなどで相手を困らせます。
でも、その関係性は変えることができます。
一人で頑張りすぎているあなたへ
「私が変われば夫も変わるかも」「私がもっと頑張れば」—そう思って一人で抱え込んでいませんか?
カウンセラーに「夫は自己愛性だから離婚しかない」と言われて絶望しても、諦める必要はありません。
私たちリジェネは、同じ経験を持つ専門家として、あなたの被害者体質改善をサポートします。
まずはお気軽にご相談ください。
この記事を書いた人
モラハラ解決相談所って?

専門分野
- 夫婦でモラハラを解決した実体験者
- 10年間で2500件超の相談解決実績
- 行動心理学をベースとしたモラハラ加害者・被害者の心理分析
- 加害者と被害者の思考・行動パターンの解明と改善指導
- 発達障害特性を持つ夫婦関係の調整とサポート
- カサンドラ症候群からの回復支援
- 夫婦間コミュニケーション改善や改善方法の開発
- 同じ経験を持つ専門家として、あなたの状況に寄り添うことが可能
メディア掲載実績
新聞・雑誌掲載
- 週刊文春オンライン(2024年11月 3記事連載)
- 産経新聞(2021年9月)
- 神戸新聞 まいどなニュース(2021年3月)
- 中日新聞 ねぇねぇちょっと特別編(2021年12月)
- ウレぴあ総研 ハピママ(2023年7月 3記事掲載)
テレビ・ラジオ出演
- NHK「ほっと関西」(2021年11月出演)
- KBS京都「笑福亭晃瓶のほっかほかラジオ」(2021年9月出演)
など全国でモラハラ解決の専門家として紹介される
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