モラハラを解決するために知るべき「加害者の仕事のストレス」
今回はモラハラを解決するために知るべき「加害者の仕事のストレス」ついて説明します。
モラハラ加害者がモラハラ行動に至る要因について「認知の歪み」「物事の捉え方」「被害者意識の強さ」「人格障害」「発達障害」など、加害者本人の資質に問題があると結論づけられることが一般的です。
しかし、今回はこれ以外の観点から考えてみます。
特に、次の3つの要因がモラハラ行動を引き起こすストレスの大きな原因となっていることを見落としてはなりません。
- 仕事のストレス
- 食生活の乱れ
- 運動不足
それは「加害者が慢性的な高ストレス状態にある」という点です。
特に見落とされがちなのが、仕事でのストレスです。
たとえば、モラハラ加害者に多い30~40代以上の男性の多くは、中間管理職や経営者などの責任あるポジションに就いており、業務量の多さや責任の重圧から常に高いストレスを抱えています。
しかし、彼ら自身はそのストレスを自覚していない場合がほとんどです。
さらに、彼らが仕事の不満を口にしない理由として、モラハラや夫婦関係の改善を目的とした場であることに加え「男性が仕事の愚痴を専門家に相談する」という発想がそもそもないことが挙げられます。
問題なのは、彼らが自身の労働環境を「普通」と認識していることです。
周囲から見れば過酷な環境でも、会社の風土や上司の働き方、「男は働いてこそ価値がある」という価値観に影響され「これくらいは当たり前」と捉えています。
しかし実際には、20代の頃から10年以上にわたり、過剰な業務や人間関係のストレス、不眠などが蓄積し、慢性的な高ストレス状態にさらされ続けています。
その結果、職場では感情を抑えていても、家庭では仕事モードが切れた反動で、些細なことで怒りを爆発させたり、常にイライラしてフキハラ(不機嫌ハラスメント)を行ってしまうのです。
重要なのは、こうした慢性的なストレスがモラハラの根本的な要因であるにもかかわらず、本人がそれに気付かず、適切な対処をしていないことです。
そのため、自身のストレス状態を自覚し、適切な対処を行うことが心身の健康を保ち、結果的にモラハラ行動を減らす最善策であることを理解していただきたいと思います。
実際、健康診断で「糖尿病予備軍」や「生活習慣病予備軍」と診断される人が増えていることからも、食生活や運動習慣の改善が必要であることが分かります。
ただ、こうした提案をすると、一部の他責的な加害者が以下のような発言で自身の行動を正当化しようとするケースも考えられます。
- 「お前(妻)の栄養管理が悪いから俺がイライラするようになった」
- 「家族のために仕事を頑張ってるのだから、少々のモラハラは我慢しろ」
こういった主張は、自身の加害性を正当化する言い訳にすぎません。
はっきり言って、そんな言い分は通用しません。
私たちが提案しているのは、あくまであなた自身の加害性を改善するための手段です。
ストレスや体調の管理があなたの行動に影響を与えるのは確かですが、だからといってモラハラやDVといった行為が許されるわけではありません。
どれだけストレスがあろうとも、病に侵されていようとも、モラハラやDVは絶対に許されない行為であることを、ここで明確にしておきます。
改善に向けて取り組むのは、他者のためではなく、まず自分のためです。
自分の行動を見つめ直し、責任を持って変わる覚悟が求められます。
今回の記事では、チェックテストを交えながら、モラハラ加害者が心と体を安定させる方法を解説していきます。
慢性的なストレスを軽減することで、些細なことでイライラすることを減らし、モラハラやパワハラ、フキハラといった攻撃性を抑えるヒントをお伝えします。
この記事はこんな方におすすめです
- モラハラ加害者の方
- 加害者プログラムの受講を検討中の方
- モラハラ被害者の方
もくじ
- 私が見た上司の事例
- 仕事でのストレス要因について
- ストレスチェックテストとは
- 食生活と怒りの感情との関連性について
- 栄養バランスチェックテスト
- ストレスを軽減する食べ物とは
- 腸内環境を整えるとメンタルが安定する
- 怒りの感情を抑える食事のタイミングと間食の選び方
- 運動不足と怒りの感情の関連性について
- まとめ
私が見た上司の事例
本題に入る前に、私が実際に目撃したメンタル不調の事例についてお話しさせてください。
※プライベートに配慮して本人特定できないように記載しています※
私はいくつかの公的機関で勤務してきましたが、そこで接した上司たちの中に、過度なストレスや働き方の影響で体調を崩された方が何人もいました。
ある50代の上司は、普段は論理的で頭の回転が早く、穏やかで部下にも慕われる方でした。
しかし、ある時から現在のプロジェクトと別の事業との掛け持ちを任されるようになり、次第に様子が変わっていきました。
その上司は、以前のように冷静ではいられず、感情的になって周囲にマウントを取る発言をするようになったり、会議中に「俺より働いてる奴はいないだろう」と言い放つなど、的外れな発言が目立つようになりました。
表情も常に疲れ切っており、頭の回転が鈍っているように感じられました。
心配になり飲みに誘うと「毎日22時まで残業」「休日出勤が当たり前」「休みの日は寝るだけで終わる」といった愚痴を吐露されました。
その後、その上司は適応障害と診断され、3か月の休職を余儀なくされました。
復職後も以前の穏やかさを取り戻すことはなく、些細なことでイライラする場面が増え、結果的に部下からパワハラ被害を訴えられ、責任を取る形で離職されました。
また、別の公的機関では、上司たちが相次いで体調を崩し、心筋梗塞や前立腺がん、胃がんといった深刻な病気で休職、あるいは復職できなくなる事態が発生しました。
これらの経験を通じて、適切なストレスチェックや働き方の改善の重要性を痛感しています。
取り返しのつかない事態になる前に、現状のストレス状況を把握し、早めに対策を講じることが必要だと強く感じています。
仕事でのストレス要因について
では、モラハラ加害者が抱えるストレスの要因について考えてみましょう。
特に中間管理職や経営者といったポジションにいる人々の場合、以下のような要因が挙げられます。
- 業務量過多
- 責任の重圧
- 人間関係の負担
こうしたストレスが溜まると、多くの場合、飲酒などで気を紛らわそうとします。
しかし、アルコールの過剰摂取は疲労を蓄積させ、さらに不眠に繋がります。
不眠が続けば慢性的な寝不足に陥り、結果として仕事のパフォーマンスが低下。
イライラが増して再び飲酒に頼るという悪循環に陥るのです。
この悪循環の結果として現れるのが、家庭内でのモラハラという問題です。
モラハラはあくまで「氷山の一角」に過ぎず、根本的な問題は仕事やプライベートにおける生活習慣全体の「悪しきシステム」にあるといえます。
ストレスチェックテストとは
ストレスチェックは、労働安全衛生法に基づき、常時50人以上の労働者を使用する事業場において、年1回実施が義務づけられた検査です。
その目的は、労働者が自身のストレス状態に気付くきっかけを作り、メンタルヘルス不調を予防することにあります。
特に、仕事が原因となる強いストレスや精神障害を未然に防ぎ、職場環境の改善を目指します。
メンタルヘルス不調の予防は以下の3段階で構成されます。
メンタルヘルス不調の予防の3段階
- 一次予防:ストレス状態を早期に自覚し、セルフケアやカウンセリングで未然に不調を防ぐ
- 二次予防:高ストレス者を早期に発見し、適切な措置を講じることで深刻化を防ぐ
- 三次予防:休職者の復職を支援し、再休職を防ぐ
ストレスチェックでは、以下の3つの領域について調査します。
- 仕事のストレス原因(業務量や対人関係などの負担)
- 心身のストレス反応(イライラや身体的不調の自覚症状)
- 周囲のサポート(上司や同僚、家族からの支援状況)
これらの結果を点数化して分析し、ストレス状態を評価します。
ストレスチェックの質問項目には、23項目、57項目、80項目の3種類があり、厚生労働省は57項目版を推奨しています。
簡単に実施できる方法として、厚労省の「こころの耳」が提供する「5分でできる職場のストレスチェック(57項目)」が推奨されます。
このツールは点数計算が自動で、結果が判明するためおすすめです。
食生活と怒りの感情との関連性について
食生活は私たちの心身の健康に深く影響を与え、怒りの感情やストレスとも密接に関連しています。
怒りの感情は脳の「大脳辺縁系」で生まれ、内臓の副腎から分泌される「アドレナリン」によって増幅されます。
特に、血糖値が急激に低下する「低血糖症」の状態では、アドレナリンの分泌が促進され、感情的な興奮が引き起こされやすくなります。
低血糖症の原因として、甘いものの過剰摂取や糖質に偏った食生活が挙げられます。
また、興奮を抑える役割を持つ「セロトニン」の生成には、タンパク質やナイアシン、マグネシウム、ビタミンB6といった栄養素が必要ですが、これらが不足すると感情のコントロールが難しくなります。さらに、
清涼飲料水や菓子類、カフェインの過剰摂取も血糖値の急激な変動を引き起こし、怒りやストレスを誘発する可能性があります。
栄養バランスチェックテスト
次の項目に当てはまる数が多いほど、栄養バランスが偏りやすく、体や心への負担が増える可能性があります。
栄養バランスチェックテスト
- ファストフードや菓子パン、カップ麺が好きである
- 白米、パン、ラーメン、パスタ、うどんなどの炭水化物をよく食べる
- 缶コーヒー、ジュースなどの甘いドリンクをよく飲む
- ポテトチップスなどのスナック菓子やチョコレートなどを間食する
- ケーキ、ドーナツなどの甘いものが好きである
- トンカツ・唐揚げなどの揚げ物やお好み焼が好きである
- お酒は毎日飲む
- 喫煙をする
- 魚よりも肉が好きである
- 納豆、ヨーグルト、酢などの発酵食品は苦手
- コーヒーやエナジードリンクをよく飲む
- 毎食、腹いっぱいになるまで食べる
- 食べた後に、すぐ眠くなり、そのまま寝てしまう
- 野菜や果物を食べない
ストレスを軽減する食べ物とは
体に良い食べ物や悪い食べ物については、常に議論の対象となっています。
同じ食べ物であっても、学者によっては「良い」とされたり、逆に「悪い」とされたりと、全く反対の説が出ることもあり、何を信じていいのかわからない、という状態に陥ることが多いでしょう。
さらに、これに「ダイエットに良い食べ物」が混ざると、選択肢はさらに複雑になります。
しかし今回は、心と体から慢性的な高ストレス状態を改善するという視点で、ストレスが溜まりにくい、またはストレスが軽減される食べ物に焦点を当てて説明していきます。
複数の研究や論文を基に、ストレス改善に効果があると言われる食べ物についてまとめました。
以下の情報は、「世界一シンプルで科学的に証明された究極の食事」からの引用です。
体に良いとされる食べ物
- ナッツ類
- オリーブオイル
- 魚
- 茶色い炭水化物(玄米やそば、全粒粉のパン)
- 野菜と果物(ジュースやじゃがいもを除く)
体に良くないとされる食べ物
- 赤い肉(鶏肉以外)と加工肉
- 白い炭水化物:白米、うどん、パスタ、小麦粉を使用したパン、じゃがいもなど
- バターなどの飽和脂肪酸
体に良いかもしれない食べ物
- コーヒー、お茶、ヨーグルト、豆乳、納豆、酢、ダークチョコレート
また、白米は日本の主食として親しまれていますが、食べすぎると血糖値を急上昇させ、糖尿病のリスクを高める可能性があります。
この点は意外に思われるかもしれませんが、食事のバランスを意識することが重要です。
以上の食事についても「過度に節制すること」は、逆にストレスとなるので、何事もバランスを大切にしてください。
腸内環境を整えるとメンタルが安定する
腸内環境を整えることがストレスの軽減やメンタルの安定に大きな影響を与えることが分かっています。
腸と脳は「脳腸相関」と呼ばれる密接な関係を持ち、腸内に生息する善玉菌は免疫システムを調整するだけでなく、脳の神経伝達物質のバランスにも関与しています。
これにより、慢性的なストレスやイライラを和らげる効果があります。
特に、乳酸菌を含むヨーグルトや発酵食品は腸内フローラのバランスを整える効果が高く、ストレスを軽減し、うつ病や不安症の予防・改善に役立つことが研究で示されています。
日常的にこれらの食品を摂取することで、糖尿病リスクの低下にもつながり、全体的な健康をサポートします。
怒りの感情を抑える食事のタイミングと間食の選び方
食事のタイミングや内容に注意を払うことは、メンタルの安定やストレス管理において重要です。
炭水化物中心の食事や糖質・カフェインの多量摂取、ドカ食い、早食い、食事間隔を長く開けることは血糖値の急上昇を引き起こし、これがストレスや怒りっぽさを増加させる原因となるため避けるべきです。
特に、野菜に多く含まれる食物繊維は糖の吸収を穏やかにし、血糖値の急上昇を防ぐ効果があります。
野菜を積極的に摂取することで、血糖値を安定させ、ストレスの軽減や身体の調子を整える助けとなります。
また、間食をする場合は、糖質が少なめの食品を選ぶことが効果的です。
例えば、ちくわ、豆乳、ヨーグルト、ナッツ、チーズなどは血糖値を安定させ、ストレスをコントロールしやすくする助けとなります。
これらの工夫を日々の食生活に取り入れることで、腸内環境が整い、ストレスやイライラが軽減され、心身の健康が改善される第一歩となります。
運動不足と怒りの感情の関連性について
多忙なビジネスパーソンにとって、運動の時間を確保するのは容易ではありません。
厚生労働省が実施した「国民健康・栄養調査(令和4年)」によれば、30分以上の運動を週2回以上、1年以上続けている人の割合は男性で35.5%、女性で31.5%にとどまります。
また、1日あたりの平均歩数は男性で6465歩、女性で5820歩で、過去10年間で男女ともに減少傾向にあります。
運動不足は、ストレスの蓄積や怒りの感情を増幅させる大きな要因です。
身体を動かさない生活は、セロトニンやエンドルフィンといった「幸福ホルモン」の分泌を低下させ、心の安定を損ねる結果を招きます。
これにより、ストレスが解消されにくくなり、怒りの感情をコントロールすることが難しくなります。
さらに、運動不足はストレスホルモンであるコルチゾールの増加を引き起こします。
このホルモンの過剰分泌は慢性的なストレス状態を招き、自律神経の乱れやうつ病、不安症のリスクを高めることが多くの研究で指摘されています。
運動は、これらの悪循環を断ち切るための有効な手段です。
有酸素運動や筋力トレーニングを行うことで血行が促進され、脳内でセロトニンの分泌が活性化されます。また、コルチゾールの分泌を抑え、心身をリラックスさせる効果が確認されています。
日常的に20~30分程度のウォーキングや軽い運動を取り入れるだけで、ストレスの軽減や怒りの感情のコントロールが可能になります。
これを継続することで、うつ病の症状改善や予防にもつながり、心身の健康を維持するための重要な要素となります。
運動を生活の一部に組み込み、ホルモンバランスを整えることで、ストレスや怒りを軽減し、心の健康を育む一歩を踏み出しましょう。
まとめ
いかがでしたか?
今回は、仕事でのストレス改善、栄養面の改善、そして運動不足の解消を通じて、慢性的な高ストレス状態を回避し、心と体の健康を向上させる方法をご提案しました。
これにより、日常的なイライラが軽減され、結果としてモラハラやフキハラを減らす一助となることを目指しました。
もし、ストレスチェックで高ストレス状態、またはその兆候が見られる場合は、早めに心療内科や精神科を受診することをおすすめします。
専門家のサポートを受けることで、より効果的な改善が期待できます。
また、食生活や生活習慣の改善については、すべてを一気に変えるのは難しいため、無理のない範囲で取り組みやすい部分から始めてみてください。
たとえば、食事の量を少し減らす、間食をヘルシーなものに変えるといった小さな工夫からでも大きな効果が期待できます。
運動習慣についても、特別な準備や大きな時間を取る必要はありません。
私も実践していますが、スクワットを20回、腕立て伏せを20回といった簡単な種目を1日1セット行うだけでも、何もしないよりも格段に効果があります。
続けることで筋肉量や体調の変化を実感できるようになりますので、ぜひ試してみてください。
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